ニコンAF-S 24-120mm F4G VRは中央は素晴らしい解像力だが周辺部が少々甘い

Photozoneに、ニコンAF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VRのフルサイズ機(D3X)によるレビューが掲載されています。

Nikkor AF-S 24-120mm f/4G ED VR (FX) - Review / Test Report

  • 作りのクオリティはかなり高い。鏡筒はマグネシウム合金製で、防塵防滴のシールがされている。ズームリングとフォーカスリングは、スムーズで適度な重さがある。残念なことに、フォーカスリングには最近の他のニコンのレンズにも見られる遊びがあり、回転方向を逆にすると、実際にピントが動くまでに数ミリ回転する。これは、精密なピント合わせでは、悩ましく感じることもあるかもしれない。加えてピントリングの回転角がかなり少ないので、MFはあまり楽しくはない。
  • 前玉は回転しないので、偏光フィルターの使用に問題はない。ズームすると鏡筒は伸びるが、二重のカム構造にもかかわらずガタつきは全くない。下を向けてもズームの自重落下はなかった。SWMによるAFはまずまず速く、おおむね無音。
  • 歪曲は24mmでは顕著(-3.55%のタル型)で、直線の曲がりが目に付く。他の焦点距離でも状況はそれほど良くはなく、35mmを境に糸巻き型になり、50mm以上ではこのクラスのレンズとしてはかなり大きな糸巻き型。よいニュースは歪曲の形が均一なことで、後処理で容易に補正することができる。
  • 周辺光量落ちは35mmと50mmを除く焦点距離では、少々高い値。特に24mmでは顕著(1.92EV)で絞ってたときでさえ高い値だ。85mmと120mmでも高い値だが、絞ると改善し、実写では問題ないレベルになる。
  • 中央の解像力は24mm、35mm、50mmでは開放から素晴らしい値(excellent)。周辺部と四隅は開放では良い(good)に少し届かないが、F5.6かF8に絞ればとても良い(very good)解像力になる。しかし、このとき24mmではギリギリでとても良い(very good)の値だ。
  • 85mmでは中央の解像力が落ちるが、それでもなお素晴らしい(excellent)解像力を維持している。周辺部と四隅は絞らないととても良い(very good)の値には達しない。120mmでは解像力は顕著に落ち、中央は開放ではとても良い(very good)の値で、F5.6でも素晴らしい(excellent)の値に届くか届かないかのレベル。周辺と四隅は共に120mmでは解像力が落ち、絞ってでさえ、良い(good)の解像力にしかならない。
  • 倍率色収差はほとんどズーム全域で、どの絞り値でも高い値。しかし、倍率色収差は後処理かカメラ内の処理で補正することができる。
  • ボケは前ボケはスムーズだが、実写では、これは重要ではない。9枚の絞り羽根のおかげで、ハイライトはどの絞り値でも円形を維持しているが、残念なことにハイライトに強い輪郭が付くので、いくらかうるさくなる。このうるささは、ピント面の前後の位置のボケでも見られる。
  • 魅力的なズームレンジで、広角側の中央部では素晴らしい解像力のレンズだが、開放での周辺部と四隅の解像力は期待よりも少々低い。同じことが望遠側の解像力についても言える。歪曲は35mm以外ではとても目立ち、周辺光量落ちもいくらか大きく、倍率色収差も同様だ。従って、光学性能的には、それほど素晴らしいというわけではない。しかし、作りは素晴らしく機械的には不満はない。VR II はよく効き、AFはハイエンド単焦点ほどではないが、十分に高速だ。結論としては、しっかりとした作りと、まずまずの性能でとても魅力的なスペックを兼ね備えたレンズだ。

 

光学性能の評価は5点満点で2.5点と、最新のナノクリズームとしては少々厳しい評価になっています。MTFを見ると、確かに開放時や望遠側の周辺部などにウィークポイントがあるようですが、高価なナノクリズームとはいえ5倍ズームなので、ズーム全域で隅々まで高解像力というのは難しいのかもしれませんね。