ツァイスOtus 1.4/55 は期待通りの見事な性能のレンズ

SLRGear に、ツァイスOtus 1.4/55 (55mm F1.4)のレビューが掲載されています。

Carl Zeiss 55mm f/1.4 Otus 1.4/55 APO Distagon (Tested)

  • 解像力は、このレンズの価格を考えて真に素晴らしい結果を期待していたが、失望させられることはなかった。フルサイズ機によるテストでは、F1.4でライバル(シグマ50mm)に完勝している。シグマ50mm F1.4 Art は、中央では同等の解像力だが、中央以外の部分ではツァイスがずっと良好で、特に隅ではツァイスが良い。
  • ツァイスはどの絞り値でもほぼ完璧に均一で、画面の全ての場所で非常にシャープだ。F2.8では、ツァイスとシグマは同程度になり、どちらも非常にシャープで均一になる。このとき、グラフからはシグマの方が若干シャープに見えるかもしれないが、その差はごくわずかで、ほとんど無視できる。
  • APS-Cでは、ツァイスは開放から非常にシャープで、素晴らしい結果だ。シグマはF1.4では若干隅が甘いが、F2では解消する。
  • 色収差は非常によく補正されており、フルサイズでもAPS-Cでも絞り値にかかわらず、一貫して低い値だ。テストでは中央も周辺部もF1.4とF8では、色収差は実質的にゼロだった。シグマは開放で隅にわずかな色収差が見られ、ハイコントラストの部分がかすかに紫になる。
  • 周辺光量落ちは、フルサイズの開放では1.25EVでかなり大きい。シグマは開放では周辺光量落ちは1EVで、ツァイスよりも小さい。シグマはF2.8に絞ると0.25EVを下回るが、ツァイスはF4までこのレベルにはならない。しかし、F4以上では、ツァイスの周辺光量落ちは低い値で一貫している。
  • 歪曲は若干のタル型でとてもよく補正されている。シグマは実質的に歪曲はゼロで、ツァイスのAPS-Cの歪曲がシグマのフルサイズの歪曲に近いが、それでも、ツァイスも歪曲も素晴らしくよく補正されている。
  • フォーカスリングは素晴らしい感触だ。回転角はおよそ270度で、とても容易に非常に正確にピントを合わせられる。これはスチルだけでなく、動画にも向いている(フォローフォーカスギアを付けたい人には)。近距離のピント合わせは、回転角が大きすぎて若干やりにくい。
  • 鏡筒の造りは戦車のようだ!Otusは巨大なだけでなく驚くほど重く、シグマの50mm F1.4 Art と同様、日常の撮り歩き用のレンズではない。このレンズは他のツァイスの一眼レフ用レンズ群と同じく、日本のコシナが製造している。このOtusシリーズの鏡筒とフードは総金属製で、極めてしっかりとした良好な造りだ。
  • このレンズと競合するのはシグマ50mm F1.4 Artで、シグマは周辺光量落ちが良好に補正され、歪曲は並外れて小さい。一方ツァイスは、開放での隅の性能が良好で、その他の性能は互角だ。他のこのクラスのレンズでは、ツァイス55mm F1.4 やシグマ50mm F1.4 Art の水準には達しない。
  • (ニコンの標準レンズとの比較では)ニコンの50mm F1.4とF1.8はずっと安価で、画質は少なくとも絞ったときは悪くはないが、どの絞り値でも全てツァイスが優っている。58mm F1.4も50mm F1.4から若干改善されているだけだ。
  • (キヤノンの標準レンズとの比較では)キヤノンの50mm F1.4とF1.8は開放では厳しいが、絞ったときは良好だ。とは言え、完全にシャープにするにはF2.8からF4まで絞る必要がある。50mm F1.2Lは隅が非常に甘く、F1.4まで絞っても隅が甘い。周辺光量落ちや色収差の問題もある。
  • (ツァイスのPlanar T* 50mm F1.4との比較では)Planarは開放では厳しく、Otusと異なり、色収差や周辺光量落ち、歪曲もより目立つ。
  • Otusは化け物だ。これは価格や重さだけでなく、性能や造りのクオリティに関しても言える。4000ドルの価格のレンズに期待した通り、Otusは見事な結果を示している。しかし、このレンズは高価で、特に、似たような性能でAF付で安価でずっと小型軽量のシグマ50mm F1.4 Artがあるので、推薦するのは難しい。一方で、もし、あなたが本格的な写真家で究極の造りとMFの機械的精度が必要なら、ツァイスが探していたレンズかもしれない。

 

Blur Index では開放から周辺部まで非常に高い解像力で、また色収差や歪曲も問題はなく、Otusが大変に高性能なレンズであることは間違いなさそうです。ウィークポイントは、周辺光量落ちが若干大き目なことくらいでしょうか。

シグマ50mm F1.4 Artと比べると、開放付近の解像力ではOtusが優っていますが(シグマのBlur Indexはこちら)、周辺光量落ちや歪曲などシグマが優っている点も結構あるようです。Otusの価格が実売でシグマの4倍もすることを考えると、シグマがOtusと正面から勝負をしていること自体がすごいことかもしれませんね。