富士フイルムXF16-55mm F2.8 R LM WRはこのクラスの標準ズームではベストのレンズ

LensTip に、富士フイルムの標準ズーム「XF16-55mm F2.8 R LM WR」のレビューが掲載されています。

Fujifilm Fujinon XF 16-55 mm f/2.8 R LM WR

  • 絞りリングは1/3EVステップで、動きは非常に快適だ。ズームリングは十分な重さがあり、スムーズに動く。ここでは不満は全くない。フォーカスリングは、モーターによる駆動で、非の打ち所がない出来だ。最短から無限遠までの回転角は360度もあり、MFで高精度なピント合わせができる。
  • 中央の解像力は、16mmでは、開放で70lpmmを超え(良像の基準値は42-43lpmm)、F4では73.4lpmmに達する驚くべき値だ。35mmでは、開放は解像力が落ちる(それでもなお58lpmmで画質は良好だ)が、F4からF22の解像力は16mmとそれほど違わない。55mmでは開放で65lpmmに達しており、非常に良好で全く不満はない。F4に絞ると更に解像力は上がるが、16-35mmのズーム域ほど完璧ではない。55mmではF5.6の時にだけ解像力が落ちるが、この理由は分からない。これは、測定ミスではない。
  • 隅の解像力は、16mmでは開放から50lpmmに達しており、良像の基準値を大幅に上回っている。絞ると解像力は更にもっと改善する。35mmと55mmでは、どちらも同じような解像力(開放で39-42lpmm前後)だが、いずれもF5.6で落ち込みが見られる。35-55mmでは隅は素晴らしいとはいえず、F2.8-F5.6では良像の基準値のボーダーライン上で、F8に絞って初めて真に良好な結果になる。
  • 標準ズームの周辺部を高解像力にするのは非常に難しく、シグマの17-50mm F2.8 EX DC OS HSM は、17-30mmのズーム域では、周辺部は良像の基準値を大きく下回っており、またキヤノンEF-S17-55mm F2.8は、ズーム全域で周辺部は完全には満足行く解像力にはならない。比較するとシグマとキヤノンよりも富士の方が優っている。
  • 軸上色収差は、わずかに色付きが見られるが、心配はない。
  • 倍率色収差は、広角端では見事(最大で0.09%)で、このクラスのライバルよりもずっと良好だ。中間域では開放付近では全く問題なく、絞ると中程度のレベルになる。問題の多くは望遠端で見られ、望遠端では絞りにかかわらず0.11-0.12%の値のままだ。このカテゴリでは、とても完璧とは言えないが、ライバルと比べれば、富士は全く恥じることはない。
  • 歪曲はJPEGでは自動補正されるので問題はない(16mmで-1.45%のタル型)が、RAWでは-5.59%の非常に大きな値に達する(55mmでは+3.07%の糸巻き型)。これは各社のライバルよりも悪く、望遠端の+3.07%はこれまでにテストしたレンズの中で最も糸巻き型が強いものの1つだ。
  • 周辺光量落ちはJPEGでは自動補正されるので、大きな問題はないはずだ。RAWでは、広角端の開放で46%(-1.78EV)で、ニコン・キヤノン・シグマの方が若干良好だが、これらのレンズは17mmスタートで、16mmスタートのトキナーやソニーと比べると、広角端では富士の方が若干良い。望遠端では周辺光量落ちは42%(-1.60EV)だ。
  • 逆光ではフレアを出すのが難しく、もし何とかフレアを出せたとしてもそれは小さく、強烈なものではない。フレアは太陽が画面の隅付近で画面内にある場合にのみ見られ、太陽を画面の外に移動するとフレアは消失する。このレンズは、逆光でコントラストの低下も見られない。逆光耐性は称賛あるのみだ。
  • AFはノイズレスで非常に速い。最短から無限遠までは0.3秒前後で、AF速度は称賛に値する。AF精度も同様で、テストでAFを外したのは1%未満で、これは素晴らしい結果だ。前ピンや後ピンの傾向も見られなかった。
  • XF16-55mm F2.8 は、APS-C用のF2.8の標準ズームの中では全てのライバルの中で最高の製品に他ならない。このレンズのクオリティはとても一様で、相対的に高い。このレンズに対する我々の評価はとても肯定的なものだ。問題は他の富士のレンズと同様に価格が高いことだ。
  • 良い点: しっかりとした金属製の完全にシーリングされた鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅の良好な画質、色収差が大きくない、球面収差の問題がない、コマ収差が穏やか、逆光耐性がとても良好、静かで正確なAF、付属品が豊富。
  • 悪い点: RAWでは歪曲が大きい、ズームの両端で周辺光量落ちが目立つ。

 

このレンズはいくつかウィークポイントもあるようですが、辛口な評価も多いLensTipにしては、かなり好意的な評価になっているという印象です。

解像力は中央はびっくりするほど高い値で、APS-C用のレンズでこれほど解像力の高いレンズも珍しいですね。ただ、周辺部は中央ほど際立った解像力ではないようで、まずまず良好なレベルと言ったところのようです。とは言え、ライバルと比較すると、歪曲以外のほとんどの項目で優っているので、XF16-55mm F2.8がかなり優秀なレンズなのは間違いなさそうです。