タムロンSP35mm F/1.8 Di VC USDは解像力は概ね良好だが玉ボケが非常にうるさい

OpticaLimits(旧称Photozone)に、タムロンの広角単焦点レンズ「SP 35mm F/1.8 Di VC USD(model F012N)」のレビューが掲載されています。

Tamron SP 35mm f/1.8 Di USD VC (FX) - Review / Test Report

  • タムロンのレンズは伝統的に軽量化を重視しており、プラスチックを多用していたので、問題は無いもののの少々中身が詰まっていない感触で、ベストのクオリティとは感じなかった。しかし、このレンズでは金属製の鏡筒になり、これまでのものとは異なっている。
  • AFは非常に速く静かだ。
  • このレンズは0.2mまで寄ることができ、最大撮影倍率は1:2.5だ。これは素晴らしい。
  • 手ブレ補正は公称では3段分の効果だが、実写では2段分に近い効果だと感じた。
  • 歪曲は0.75%のタル型で、これは準広角レンズとしてはとても良好な値だ。
  • 周辺光量落ちは開放で1.7EVでかなり目立つが、絞ると大きく改善し、F4以上では大部分の場面で問題は無くなる。(※このテストはD3Xの未補正のJPEGで行っており、D3Xはグラデーションカーブがフラットなのでキヤノン機のテストの方がおおよそ40%大きな値になることに注意して欲しい)
  • 解像力は中央は開放から素晴らしい値だが、周辺部と隅は明らかに甘い。F4に絞ると、周辺部も隅もとても良好のレベルに改善する。解像力のピークはF5.6で、このとき中央は際立った値で、周辺部と隅はとても良好な値になる。F11以降では回折の影響が見られる。このレンズは、像面の湾曲は少ない。
  • テストした個体の偏芯は、完璧ではないが問題のないレベルだ。
  • 絞った時のフォーカスシフト(ピント位置の移動)は見られない。
  • 倍率色収差は、周辺部で0.6から0.7ピクセルで良く補正されている。
  • ボケは、良い部分と悪い部分がある。前ボケと後ボケは、後ボケの方がいくらかうるさくなるものの、どちらもとても滑らかだ。残念なことに、玉ボケはとても悪く、かなりの量の年輪ボケ(玉ねぎボケ)が見られる。このボケは通常は非球面レンズのために起きる(このレンズは2枚非球面を使用している)。玉ボケに輪郭は付かず、絞っても円形が保たれているが、この状況を解決するものではない。
  • 軸上色収差は開放付近では目立つが、絞れば改善する。また、この軸上色収差のテスト画像からは、フォーカスシフトが見られないことも分かる。
  • このレンズは評価の難しいレンズで、素晴らしい部分もあるがあまり感心しない部分もある。解像力は概ね良好だが、ボケは玉ボケが非常にうるさく、あまり感心しない。直接のライバルのニコンの35mm F1.8Gは、タムロン35mm F1.8より歪曲や周辺光量落ちは大きいが、周辺部の解像力は高く、価格も安価だ。タムロンの価格を考えると、タムロンのライバルはシグマ35mm F1.4 DG Artで、このレンズはタムロンよりも100ユーロほど高いが、より明るく、解像力も高く、ボケもずっと滑らかだ。
  • 正直に言って、価格ならニコン、明るさならシグマを選択するので、タムロンを選ぶ余地は少ない。タムロンの光学性能は良好だが、いくつかのウィークポイントを考えると、タムロンは決定的な選択肢にはならないだろう。

 

このレンズの光学性能の評価は3点(5点満点中)で良好な評価となっていますが、より安価なニコンの35mm F1.8 G は4点なので、タムロンは価格を考えると若干物足りない結果かもしれません。

問題が指摘されているボケは、サンプルを見ると、玉ボケは確かに年輪ボケが目立ちますが、後ボケは悪くないという印象です。