シグマ「14-24mm F2.8 DG DN Art」は一眼レフ用よりも小型軽量化しながら性能を改善

LensTip に、シグマのフルサイズミラーレス用の広角ズーム「14-24mm F2.8 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 14-24 mm f/2.8 DG DN

  • フォーカスリングはバイワイヤー(モーターによる駆動)で、程度な重さがあり、非常に滑らかに回転する。回転角は回す速度によって変わり、リングを素早く回すと最短から無限遠まで180度、ゆっくり回すと550度になる。回転角はかなり大きいので、正確なピント合わせが可能だ。
  • 中央の解像力は望遠側の方が高くズーム全域で揃ってはいないが、それでもなお、全ての焦点距離で開放は素晴らしい値(14mm開放で61lpmm前後、24mm開放で72lpmm前後、良像の基準値は39-41lpmm)だ。

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  • 隅の解像力は14mmと24mmでは少し低くなるが、開放時でも45lpmmに達しており、良像の基準値を少し上回っている。このレンズはミラーレス専用設計を採用することで、小型軽量化しているにもかかわらず画面全域で一眼レフ用のモデル(14-24mm F2.8 DG HSM)より優れた画質を達成している。拍手喝采だ!

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  • 軸上色収差は、開放でも色付きは見られず、問題はない。
  • 倍率色収差は19mmが一番大きくなるが、0.06%は超えず、大部分の焦点距離とF値では倍率色収差は非常に小さい。倍率色収差の補正は実に素晴らしく称賛に値する。
  • フォーカスシフトは若干見られ、F2.8からF4に絞ると、わずかに手前にピントが移動する。
  • 歪曲は14mmでは4.18%の非常に大きいタル型で、一眼レフ用の14-24mm F2.8 DG HSMと同程度だ。ミラーレス用の14-24mm F2.8 DG DNは歪曲が若干陣笠状なので、通常のタル型よりも後処理での補正は難しい。
  • コマ収差はズーム全域で明確に分かり望遠側の方が大きくなるが、望遠側でも大きな問題はない。しかし、一眼レフ用の14-24mm F2.8 DG HSMの方が少し良好だと思う。
  • 非点収差は4.6%の低い値だが、一眼レフ用の14-24mm F2.8 DG HSMは2.3%で、ここでも一眼レフ用が少し良好だ。
  • 玉ボケは、超広角レンズでは重きを置かれることは少ないが、このレンズの玉ボケは悪くはなく、非球面レンズの数を考えると玉ボケの内部はかなり滑らかだ。唯一、ボケの輪郭だけは目立つ。
  • 周辺光量落ちは14mm開放で62%(-2.79EV)の非常に高い値で、一眼レフ用の14-24mm F2.8の58%よりも若干劣っている。更に問題なのが、F4で53%(-2.19EV)、F5.6で49%(-1.93EV)、F8で44%(-1.67EV)と、絞ってもなかなか改善しないことだ。
  • 逆光耐性は非常に優れていて、ゴーストやフレアを出すのは大変だった。ゴーストやフレアが現れた場合でも、面積は小さく強いものではない。一眼レフ用の14-24mm F2.8も逆光耐性は高評価だったが、ミラレース用は逆光耐性は少し良くなっている。拍手!
  • AFはわずかな作動音すらなく、完全に無音だ。AF速度は最短から無限遠まで0.3~0.5秒で非常に速い。AF精度の問題はなく、後ピンや前ピンの傾向も見られなかった。
  • 14-24mm F2.8 DG DNは、評価の高い一眼レフ用の14-24mm F2.8 DG HSMとよく似た性能で、一眼レフ用よりも小型化しながら画面の隅の解像力を高めたのは称賛に値する。このレンズは条件の非常に厳しいフルサイズの隅の画質にも弱点はなく、F2.8通しの超広角ズームに、これ以上を要求するのは難しいだろう。
  • 良い点:頑丈で防塵防滴の鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅の良好な画質、軸上色収差の問題が見られない、倍率色収差がわずか、非点収差がわずか、速く正確で静かなAF、逆光耐性が非常に高い。
  • 悪い点:歪曲が目立ちワイド端では陣笠状になる、球面収差が目立つ、周辺光量落ちが大きい。

 

一眼レフ用の14-24mm F2.8 DG HSMも高性能なレンズでしたが、ミラーレス用の14-24mm F2.8 DG DNは小型軽量化しながら更に性能を改善した魅力的なレンズに仕上がっているという印象です。特に重さは355グラムも軽量化されているので、使い勝手はかなりよくなりそうです。逆光に強いのもポイントが高いですね。