シグマ85mm F1.4 EX DG HSMは中央はズバ抜けた解像力だが周辺部は絞らないと甘い

photozoneに、シグマ85mm F1.4 EX DG HSMのフルサイズ機(D3X)によるレビューが掲載されています。

Sigma AF 85mm f/1.4 EX DG HSM (FX) - Review / Test Report

  • 鏡筒の造りは素晴らしい。これまでのEXシリーズと異なり、滑らかなラバーコーティング仕上げになっている。新しい仕上げはゴミが付きにくいので、これまでよりも好ましく感じる。
  • フォーカスリングはスムーズに回転する。回転角が小さいので、MFは少し繊細な操作が必要。リアフォーカスを採用しているので、ピント合わせでレンズの全長は変わらない。前玉は回転しないので、偏光フィルターの使用も問題ない。HSMによるAFは非常に速く、ほとんど無音だ。
  • 歪曲はフルサイズでは-0.0143%のタル型で、全く無視してよい大きさ。周辺光量落ちは開放で1.31EVとかなり大きく、F2では状況は改善するが、問題を解消するにはF2.8まで絞る必要がある。
  • 解像力は中央では開放から素晴らしい値だが、周辺部と四隅はフルサイズではかなり甘い。しかし、コントラストはとても高く、ツァイスZF85mm F1.4やニコンAF-D85mm F1.4よりも良好だ。絞ると解像力は序々に増し、中央はF2からF8の間ではズバ抜けた解像力になる。しかし、周辺部と四隅はF2とF2.8では感心しない値のままだ。画面全域で良好(good)な解像力を得るにはF4、とても良好(very good)な解像力を得るにはF5.6以上に絞る必要がある。このレンズはこのタイプのレンズとしては極めて典型的な解像力を示している。
  • 像面の湾曲はごくわずかで、センタリングのクオリティ(偏芯の少なさ)も非常に良好だった。大きな問題点は、周辺部と四隅では開放付近でコマ収差がかなり目立つこと。
  • 倍率色収差は周辺部で0.6ピクセル前後の非常に低い値で、フルサイズでは素晴らしい結果だ。実写では全く問題はない。軸上色収差は通常よりもいくらか大きく、F1.4からF2では色付きが非常に目立つ。F4でも軸上色収差は見られ、F5.6でも痕跡が見える。
  • ボケはハイライトは非常にスムーズで、F2.8までは円形を保っているが、F4では絞りの形がいくらか見える。前ボケはバターのように滑らかで、後ボケは若干うるさくなるもののとてもスムーズだ。
  • このレンズの性能はこのクラスのレンズとしては典型的だが、これは非常にハイレベルなものだ。中央は全ての絞りで素晴らしいコントラスト・解像力だが、コマ収差の影響で周辺部と四隅は開放付近では甘い。しかし、絞れば着実に改善し、F5.6とF8では良好な性能になる。ボケ味は素晴らしいが、ボケの色付き(軸上色収差)は大きい。造りのクオリティはプロ仕様だ。AFは高速で精度にも問題はない。サードパーティー製としては高価なレンズだが、純正と比べると大幅に安価で、極めて興味深い選択肢だ。

 

光学性能は5点満点で3点と、ニコン85mm F1.4Dを超える評価(Photozoneではニコン85mm F1.4Gは未評価)で、ツァイスT*85mm F1.4 ZFやキヤノンEF85mm F1.2 L II と同じ評価となっているので、コストパフォーマンスは抜群と言ってよさそうです。

また、このレビューでは開放付近での周辺部の甘さが指摘されていますが、このクラスのレンズはどれも似たようなものですし、絞れば周辺部も十分に解像力が上がってくるので、風景などの撮影でも大きな問題はなさそうですね。