キヤノンEF35mm F2 IS は旧型から全ての点で改善されている

LensTipに、キヤノンEF35mm F2 IS USMのレビューが掲載されています。

Canon EF 35 mm f/2 IS USM - lens review

  • EF35mm F2 IS は、このクラスのレンズではツァイスの35mm F2に次いで大きく重い。フォーカスリングは十分な重さがあり、動きの悪い部分はない。フォーカスリングの回転角は150度で、ピントをとても正確に合わせられる。この部分はトップクラスのMFレンズに劣らない。フォーカシングでフィルター枠は回転しない。
  • 手ブレ補正は公称4段分で、テストでは3段分を若干超える効果だった。これは良好な結果だが、24mm F2.8 ISと28mm F2.8 ISの方がおよそ0.5段分良好な結果だった。
  • 解像力テストは1Ds Mark III のRAWファイルで行なった。良像の基準レベルは30-32lpmm前後だ。
  • 中央の解像力は絞り開放で38lpmmに達する見事な値だ。ピークはF4付近で、このとき46lpmmの全く驚くべき値になる。APS-Cの周辺部の性能も問題なく、開放から既に実用になり(31lpmm前後)、絞ると顕著に改善する。フルサイズの周辺部はF2とF2.8では甘く(F2で24lpmm前後)、F4まで絞らないと良くならない。
  • 倍率色収差は旧型とよく似ているが、およそ0.01%-0.02%低くなっており、ピークでも0.08%付近の低い値だ。
  • 35mmの単焦点レンズはたいてい歪曲の問題はないが、このレンズも歪曲はAPS-Cで-0.65%のタル型、フルサイズで-1.34%のタル型で他のレンズ同様問題はない。
  • 周辺光量落ちは、APS-Cでは開放で28%(-0.93EV)で、中程度の大きさだが、F2.8に絞ると9%(-0.27EV)になり問題はほぼ完全に解消する。フルサイズでは開放で66%(-3.09EV)で、非常に大きく、この結果は弱いとしか表現できない。F2.8に絞ると44%(-1.67EV)、F4では25%(-0.83EV)になるが、それ以上絞っても周辺光量落ちはあまり改善しない(F5.6とF8で-0.74EV)。
  • このレンズは逆光には強く、太陽が画面外にあるときにフレア・ゴーストを出すのは非常に困難だ。画面内に太陽を入れたときでさえ、強いフレアはでない。
  • AFはノイズレスで非常に速い。最短から無限遠までは0.4秒未満で、これは素晴らしい結果だ。明るさにかかわらず、AFが顕著にスローダウンすることもなかった。テストでAFを外した回数は1%を超えず、AF精度は申し分ない。前ピンや後ピンの問題も見られなかった。
  • EF35mm F2 IS は旧型よりも全ての点で良好で間違いなくよく出来たレンズだ。問題は旧型の3倍もする価格で、EF35mm F1.4Lとシグマ35mm F1.4の存在を考えると、このレンズに3000PLNも払うのは危なっかしい。2000PLNが適切な価格に思える。
  • 良い点: コンパクトでしっかりとした鏡筒、中央部の素晴らしい画質、APS-C周辺部の良好な画質、色収差が良く補正されている、歪曲が穏やか、APS-Cでコマ収差が少ない、非点収差が気にならない、逆光耐性が非常に良好、AFがキビキビ動き正確、効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点: 開放時のフルサイズの隅の画質、フルサイズで周辺光量落ちが大きい、フルサイズでコマ収差が大きい。

 

解像力は中央は驚くほど高い値ですが、フルサイズの開放時だけは四隅が若干低めのようです。とは言え、少し絞れば全域で高い値になるので風景等の撮影でも問題はなさそうです。色収差や歪曲、逆光耐性はとても良好ですが、周辺光量落ちだけはかなり目立つようですね。

最近の多くのEFレンズのレビュー同様、ここでも価格の高さが指摘されていますが、現地ではEF35mm F2 IS は日本国内よりもずっと高価(3000PLNは約88000円)なようなので、日本国内とは少し事情が異なるかもしれません。