ニコンAF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR は多くのカテゴリでライバルに遅れを取っている

LensTip に、ニコンの「AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor AF-S 16-35 mm f/4G ED VR

  • フォーカスリングは遊びがとても大きく、正確なピント合わせが難しい。これは、この価格帯の製品としては許容範囲外だ。フォーカスリングの回転角は90度未満。ズームリングはスムーズで十分な重さがあり、非の打ち所がない。
  • 手ブレ補正は35mmのテストでは、実測で2.5EVで公称の4EVには届いていない。この結果は、まずまずだが、それ以上のものではない。このクラスでは、VRにもう少し良好な性能を期待するはずだ。
  • 解像力テストは、D3XのRAWファイルで行った。測定誤差は0.2から1.4lpmmの範囲だ。良像の基準値は30-32lpmm付近で、ベストの単焦点レンズは47-49lpmm前後の値だ。
  • 中央の解像力は良いと言えるが、驚くようなものではない。高価な単焦点のような性能は無いが、ズーム全域で開放から実用的な性能(34-39lpmm前後)を維持しているのが、このレンズの強みだ。この価格の製品なら42-43lpmmに何の問題もなく届くはずと思うかもしれないが、このレンズはそこまで達していない。ここでは、より安価なライバルであるニコン18-35mm F3.5-4.5G やトキナー17-35mm F4が明らかに良好だ。
  • DX(APS-C)の周辺部は、16mmでは開放から実用的だが、それより長い焦点域では30lpmmを下回る。これは悪い知らせだ。35mmではF5.6でさえ30lpmmにわずかに届かない。ここでも16-35mm VR はニコン18-35mmとトキナーの17-35mmに劣っている。
  • FX(フルサイズ)の周辺部は、開放ではズーム全域で実用的ではなく、全く好材料は無い。実用的なレベルの解像力を得るには、F8-F11まで絞る必要があり、その場合でさえ、解像力は30lpmmをわずかに超えるだけだ。ここでは、ライバルのニコン18-35mmとトキナー17-35mmもそれほど良好ではない。
  • 軸上色収差の問題は見られない。倍率色収差は広角端の開放時が最も大きく、0.19%のハイレベルな値で問題がある。これは批判されても仕方がない。倍率色収差は絞っても改善せず、その上、中央でも色ズレが目に付く。
  • 歪曲はDXでは16mmで-1.46%で概ね良好だが、残念ながらFXでは16mmで-6.33%の大変に大きな値で、非常に悪い。このような値は、歪曲をカメラの自動補正に頼っているレンズでのみ見たことがあるものだ。
  • 周辺光量落ちはDXでは問題はない。FXでは16mm 開放で41%(-1.51EV)のずっと大きな値になるが、レンズのスペックとライバルの性能を考慮すると、それほど不満はなく、少しばかり賞賛に値するものだ。
  • 逆光ではDXではフレアは問題無いが、FXではずっと悪く、太陽が画面の外にある場合でさえ、はっきりとしたゴーストと光の線が見られる。望遠側では小さな強いフレアが時折見られる。
  • AFはとても静かで、速度も最短から無限遠まで0.5秒前後で問題はない。スタジオのAFテストでは、D7000でもD3Xでも合焦ミスは全くなく、AF精度は非常に良好だ。
  • 16-35mm f/4G VR は、ほとんど全てのカテゴリでニコン18-35mm f/3.5-4.5Gやトキナー17-35mm F4よりも悪く、ライバルの価格が大幅に安いことを考えると、このレンズの唯一の利点は手ブレ補正のみだ。
  • 良い点: しっかりした鏡筒、中央の解像力、軸上色収差、静かで高性能なAF、このクラスとしては周辺光量落ちが穏やか。
  • 悪い点: 隅の画質、フォーカスリングの遊び、広角端の歪曲、広角側の倍率色収差、球面収差、非点収差、フルサイズの周辺部のコマ収差、コストパフォーマンス。

 

16-35mm f/4G は、周辺光量落ちとAF以外は各項目ともあまり芳しくないテスト結果で、全体としてかなり厳しい評価となっているようです。ニコンのフルサイズ用の広角ズームでは、14-24mm f/2.8は大変に評価が高く、18-35mm f/3.5-4.5Gもとても良好な評価ですが、このレンズはVRを入れたことが性能に響いているのでしょうか。