・Nikon AF-S Nikkor 58mm f/1.4G review
- フォーカスリングは無限遠から最短までの回転角は110度で、スムーズに回転する。フォーカシングでフィルター枠は回転しない。光学ユニットは鏡筒の奥まった部分にあり、鏡筒がフードのような役割をしている。
- AFは、作動音はほとんどしない。AF速度は非常に速く、迷わない。テスト機のD800では強い前ピンの傾向が合ったが、AFアジャストで調整(-16)してからは、一貫してどの距離でも正確になった。D7100ではそう単純ではなく、ポートレートの距離(2-3m)では、比較的小さな調整(-2)で済んだが、遠距離では劇的な後ピンとなった。これは、D7100では開放で全ての距離で完全に満足のいくAFアジャストの設定は無いことを意味している。
- ライブビュー(コントラストAF)ではAFは遅くなるが、精度の面では大きなアドバンテージがあり、被写体が止まっていれば、フォーカスは常に完璧だ。
- 解像力はDXでは、F1.4ではあまり感心しないが、絞ると中央は素早く改善し、F2.8では素晴らしい結果が得られる。しかし、隅はいくらか遅れをとっており、F8まで絞らないと完全にシャープにはならない。
- FXの解像力は、開放ではそれほど良くはないが、絞ると非常に早く改善する。中央の解像力はF2.8で並外れて高くなるが、隅はずっと遅れを取っており、隅がシャープになるのは、F8-F11だ。これはある程度、像面湾曲の影響がある。
- 倍率色収差はDXでは非常に少なく、通常の使用ではそれほど目につかないだろう。FXでも倍率色収差は実に少なく、通常の使用ではまったく問題ない。
- 軸上色収差は時折目に付き、ボケにマゼンタとグリーンの色が付くが、これは多くの場合はそれほど問題はない。
- 周辺光量落ちはDXでは無視できる。FXでは周辺光量落ちは開放で1.3EVで、非常に少ない。
- 歪曲はDXでは極めて小さく、実写では問題はない。FXでは歪曲は1.6%のタル型で、この種のレンズとしては大きいが、比較的単純な形なので修正は容易なはずだ。
- 逆光耐性は極めて良好で、太陽を直接フレーム内に入れてもほとんど乱れることはないが、絞り込んで、隅に太陽を入れた場合にのみ目障りなグリーンのフレアが反対側の隅に現れる。しかし、太陽が中央付近にある場合には全く問題はない。
- ボケは58mm f/1.4Gが輝いている部分の1つで、後ボケの描写は非常に魅力的だ。たまにグリーンの色収差がボケを損なうことがあるが、全体として後ボケは素晴らしい。
- 実写での50mm f/1.4Gとの比較では、解像力の違いはごくわずかだが、開放では50mm f/1.4はソフトで霞がかっている。58mm f/1.4は(開放から)コントラストが高いが、マゼンタの色収差が目立つ。F2に絞るとどちらのレンズも劇的に改善するが、58mmが全般に目に見えてシャープだ。F4では58mmは解像力チャートで見られた周辺部の甘さは見られず、どちらかと言えば50mmをしのいでいる。
- 周辺部の木々のディテールでは、58mm f/1.4Gが大きなアドバンテージがあり、50mm f/1.4Gは全てのディテールを得るにはF5.6まで絞る必要があるが、58mmはF2.8で同等のディテールが得られる。解像力では58mmにアドバンテージがあるが、これは本当に仔細に見てのことだ。
- 夜景での50mm f/1.4Gとの比較では、58mmは開放から使用することができ、余裕で50mm f/1.4Gをしのいでる。
- ボケ味での50mm f/1.4Gとの比較では、58mmが完全に役者が上であり、開放時でも絞ったときでもボケ味は58mmがはるかに魅力的だ。
- 58mm f/1.4Gは多くの点で評価の難しいレンズだ。焦点距離の点でも光学設計の哲学の点でも異例のレンズで、開放付近ではそれほどシャープではないが、これは、その他のほぼすべての点で埋め合わせされている。価格が非常に高いので顧客は限られるが、我々は多くのオーナーがこのレンズの作り出す画像にぞっこんになると思っている。
- 良い点: ほぼいつでもきれいな画像が得られる、色収差が非常に少ない、周辺光量落ちが少ない、コマ収差が極小、うっとりするボケ味、逆光に概ね強い、比較的速く無音に近いAF、軽量だがしっかりとした造り。
- 悪い点: 開放ではかなりソフト(特にDX機では)、比較的大きい、AFが一貫性に欠ける、非常に高価。
総合評価は84%の銀賞で、なかなか高い評価となっています。58mm f/1.4Gはスタジオ内の解像力テストでは価格の割りに凡庸な結果ですが、実写テストでは遠景のディテールや夜景の点光源の描写、背景のボケ味などで50mm f/1.4Gを圧倒しているので、スタジオテストの数字では魅力が分かりにくいレンズのようですね。
有機サイバイマン
発売日に購入しました。ナノクリ単焦点は24mm1.4G・35mm1.4G・85mm1.4G・300mm2.8GIIと所有してますが、58mmばかり使ってます。可能な限りこのレンズで撮りたくなるほどの極上のボケ味。絞ったときの線の細さと高解像度が私を魅了して止まりません。
写真を始めて四半世紀(25年)約40本ほどのレンズを使いましたが、58mm1.4Gが最高のボケ味と感じました。
レヴューどおり“難しいレンズ”ですが使いこなすのに時間を要するぶん飽きが来ません。これは個性と魅力に溢れた玉だと思います。長く良いパートナーになりそう。
あ
いや、このレンズ、AFは遅いですよ。ここ最近のNIKONレンズの中ではトップレベルの遅さだと思う。
それが欠点になることはほとんど無いですけど。
s
作例がステキですね。
やはり、そのレンズを評価している人が撮ってこそ、
レンズは実力を引き出されるのでしょう。
前々から、標準画角とは50mmではなく、60mm付近ではないかと
思っていたので、その点でも気になるレンズです。
クロウサギ
キヤノンをメインに使ってますが、安くなっているD600に手を出しました。
標準ズームの次のレンズとして単焦点を探しているんですが、このレンズは変わっていて面白そうですね。
ただ、D7100ではAFに問題ありと書かれているのが、D7000のAFを積んでいるD600なら、さらに問題ありなのかと。
レンズのせいではないので、MFならクリアできるか…。
ニコタン
ますます欲しくなってきた! どうしよう・・・。
infoget
解像だけが写真の全てではないという、ニコンらしい主張を持ったレンズでしょう。Dfと同じでそれが理解できる人が買うレンズで奥深い製品だと思います。
それにしても、さまざまなサンプルを見る限り、このレンズの昼夜を問わずの開放近辺の遠景写真は素晴らしい。
ぎゃーとる
レビューを聞く限りではミノルタのGレンズのような特性なんですかね
とおりすがり
私はどうしても開放付近のボンヤリ感が気に入らなくて売っちゃいました。
やっぱり60mmマクロの方が寄れるし使い勝手が良いです。
60mmマクロと同じような値段ならこのレンズもありだと思うのですが、値段差が激しいので高く売れるうちにと思って売りました。
ガワネイティブ
キヤノンのEF 50/1.2やミノルタLimited 85/1.4みたいな感じの思想なのかな?
キヤノンの場合はボケと発色を最優先にした全郡繰り出し変形ガウス、球面収差補正不足型
残存収差でフォーカスシフトを起こす癖玉で賛否両極端に分かれました
KJ
ようやくというか、多面的に評価したレビューが出てきましたね。
このレンズの企画の意図が早い段階で伝わったであろう国内とは違って、海外ではやはり時間がかかるようで。 レビューを見てパッと買う人よりも現場からじわじわ、という形で広まるのでしょうか。