ツァイスTouit 1.8/32 はハイクオリティだが若干期待はずれの部分もある

Photozone に、Zeiss Touit 1.8/32 (32mm F1.8)の富士フイルムX-E1によるレビューが掲載されています。

Zeiss Touit 32mm f/1.8 (Fujifilm) - Review / Test Report

  • 鏡筒は、金属(大部分は金属だ)とプラスチックがしっかりと組み立てられており、造りはとても良い。フォーカシングでは内側の鏡筒だけが動き、レンズの全長は変化しない。
  • 絞りリングは、何人かのユーザーから、軽すぎて無意識のうちに回ってしまうと批判されているが、我々もどちらかと言えばそれに同意する。とは言え、絞りリングに全くガタツキはない。
  • フォーカスリングは上手くゴムで覆われており、スムーズに回転する。MFはバイワイヤ(モーター駆動)で、精度と滑らかさにはそれほど感激はしなかったが、十分に良いものだった。
  • AFは比較的遅いが、これはテスト機(X-E1)のためかもしれない。AF精度は概して良好だった。作動音は聞こえるが、かなり小さい。
  • このレンズの最初のサンプルは、深刻なセンタリングの問題(偏芯)のために送り返さなければならなかった。これは、このような高価でシンプルなレンズとしてはとても期待はずれだ。2番目のサンプルは良好だった。
  • 若干ショッキングかもしれないが、高価なレンズにもかかわらず、このレンズは歪曲を自動補正に頼っている。未補正のRAWでは歪曲は2%で、これは劇的な大きさではないが、いくつかの場面では目に付く。奇妙なことにCaptureOneでは、自動補正を有効にすると1%の糸巻き型の歪曲になる。
  • 周辺光量落ちでも自動補正が働き、JPEGでは開放で0.8EVの穏やかな値だ。絞ると周辺光量落ちは減少し、F2.8以上ではそれほど目立たなくなる。未補正のRAWでは別の話で、開放では周辺光量落ちは1.6EVを超える非常に高い値で、F2.2でもまだ1EVだ。F4以上に絞ると周辺光量落ちは、ほぼ解消する。
  • 解像力は中央は開放ではとても良好(very good)で、F2.2からF8では素晴らしい値(excellent)だ。周辺部と隅は開放から良い(good)~とても良い値(very good)だが、絞ってもそれ以上はあまり改善しない。像面の湾曲は極めて少ない。
  • 倍率色収差は0.6ピクセル前後の低い値で、通常は心配はない。
  • 軸上色収差は開放付近ではいくらか目立つが、F2.8以上に絞ると解消する。全体としては、平均以上に良く補正されている。
  • ボケは前ボケは非常にスムーズだ。重要な後ボケは若干うるさいが、それでもなおとても良好だ。玉ボケは、若干輪郭線が付く。玉ボケの形状はF2.8までは円形を維持しているが、F4からは絞りの形状が見え始める。
  • このレンズはツァイスブランドから連想されるハイクオリティな画質だ。中央の解像力は開放から高く、絞ると驚くほどだ。周辺部の画質も良好だが、このレンズへの高い期待にはいくらか達していない。歪曲と周辺光量落ちは自動補正されるが、高価なツァイスレンズとしては少々残念なものだ。倍率色収差とボケ味は良好だ。鏡筒の造りと外観は好みだが、絞りリングは緩すぎる。
  • 問題はライバルの富士XF35mm F1.4Rに対してどうかということで、ツァイスは全体に少し良好で、特に開放付近では良いが、実写ではそれほどの違いはない。富士はより明るくより安価で、コストパフォーマンスで優っている。

 

光学性能の評価は、5点満点で3.5点とまずまず良好な評価となっています。数値的には中央の解像力はかなりのものですが、周辺部は絞ってもほとんど解像力が上がらないのが気になるところです。歪曲と周辺光量落ちは、自動補正が前提のようですね。

Touit1.8/32 は、全体として悪くはありませんが、ツァイスブランドの高価な単焦点レンズとしては、もう少し尖った部分があってもいいかもしれませんね。