キヤノンEF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM は光学性能は優秀だが鏡筒の造りは今一つ

LensTip に、キヤノンの超広角ズーム「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」のレビューが掲載されています。

Canon EF-S 10-18 mm f/4.5-5.6 IS STM

  • ズームリングは適度な重さで、むらなく心地よく動き、非の打ち所がない。フォーカスリングは、MFモードでしか機能しない。
  • 手ブレ補正の効果は最大で2.5EVで、平均的な効果だ。
  • 解像力テストは50DのRAWで行っており、34-35lpmmが良像の基準レベルだ。中央の解像力は、ズーム全域で絞り開放から既に50lpmmの非常にハイレベルな値に達しており、焦点距離による解像力の違いは誤差の範囲内だ。このレンズの価格を考えると、これは素晴らしい結果だ。
  • 隅の解像力は、広角端が最も低く、開放では33lpmmで良像の基準レベルよりも若干低いが、これは、このレンズの唯一弱い部分で、若干絞れば基準レベルに達する。また、より望遠側では開放から全く問題はない。絞ると隅の解像力は、40lpmmのとても良好な値に達する。解像力では、がっかりするような部分は全くない。
  • 軸上色収差は、全く問題はない。倍率色収差は0.13-0.14%前後で、「中程度」と「高い」の中間のレベルだ。倍率色収差は、ズーム全域で同じような値で、開放付近が最も大きく、絞ると中程度のレベルに改善する。これはEF-S10-22mmよりも若干悪い結果だが、実写では分からないだろう。
  • フォーカスシフトは、全く見られなかった。
  • 歪曲は10mmでは-2.40%のタル型で最も大きく、14mmでは実質的にゼロ、18mmでは0.53%の糸巻き型になる。10mm時の歪曲は、EF-S10-22mmと全く同じだ。
  • 周辺光量落ちは、10mm開放時(F4.5)が53%(-2.21EV)で最も大きい。F5.6に絞ると38%(-1.41EV)で若干改善するが、まだ小さいとは言えない値で、周辺光量落ちが穏やかな値になるのはF8以上に絞った時だ(F8では28%、-0.94EV)。このカテゴリではEF-S10-22mmの方が良好だ。
  • 逆光では焦点距離や絞り値、光源の位置にかかわらず、容易にフレアが出る。これは良好とは言えない性能で、EF-S10-22mm(このレンズの逆光耐性も完璧からはほど遠いが)の方がまだ良好だ。
  • このレンズのSTM(ステッピングモーター)の性能は申し分なく、AFは完全にノイズレスで、非常に速い。無限遠から最短までは0.2秒以下で、これは驚くような結果だ。スタジオでは、AFに1つのミスもなく、後ピンや前ピンの傾向も全くなかった。
  • シグマ10-20mm F4-5.6やタムロン10-24mm F3.5-4.5は、造りはキヤノンよりも良好で、スペック(ズーム域やF値)でも優れているが、光学性能ではキヤノンに負けており価格も高い。
  • キヤノンがアマチュア向けの広角ズームのラインナップを広げるのは素晴らしい一手だと思う。今では、安い金額で、あらゆるアマチュアがこの出来の良いレンズを手に入れることができる。もし、文句を言うとしたら光学的な欠点ではなく、造りのクオリティについてだ。私は、より多くの金属パーツがマウントや鏡筒に使用されるなら、手ブレ補正と喜んで引き替えにするだろう。
  • 良い点: ズーム全域での中央の素晴らしい画質、隅のきちんとした画質、軸上色収差が少ない、球面収差の問題が無い、歪曲が適切に補正されている、コマ収差がわずか、非点収差がよく補正されている、高速で静かで正確なAF、価格の割に良好な光学性能。
  • 悪い点: プラスチック製の鏡筒とマウント、周辺光量落ちが大きい、逆光耐性が弱い。

 

キヤノンEF-S10-18mm は、安価なレンズにもかかわらず、開放から解像力が高く光学性能はなかなか優秀ですね。周辺光量落ちは大き目ですが、これはコンパクトな超広角レンズなので仕方がないところかもしれません。鏡筒の造りは、価格なりと言ったところでしょうか。