富士フイルムXF56mm F1.2 R は満足いく性能だがいくつか欠点もあるレンズ

LensTip に富士フイルムの大口径中望遠レンズ「XF56mm F1.2 R」のレビューが掲載されています。

Fujifilm Fujinon XF 56 mm f/1.2 R

  • 絞りリングは緩すぎる。
  • フォーカスリングは十分な重さがあり、非常にスムーズに回転するので、使っていて楽しめる。フォーカシングはモーターによる駆動で、カメラに装着していないと動作しない。フォーカシングで前玉は回転しない。
  • 中央の解像力は、開放では良像の基準値(40-41lpmm)のボーダーライン上だ。F1.2のレンズの評価としては個人の好みによるところが大きく、とても満足と考える人もいれば若干不十分だと言う人もいるかもしれない。幸いなことにF1.4では完全に許容範囲内(48lpmm前後)になり、F2では60lpmmの非常に良好なレベルに達する。F4では75.6lpmmに達し、これまでのレコードを破っている。このレンズの中央の解像力は申し分ない。
  • 隅の解像力は、F1.2とF1.4ではかなり低く(28-29lpmm前後)、F2では若干改善する(38lpmm前後)が、まだ良像の基準値を下回っている。基準を上回るのはF2.5付近で、これは誇れるようなものではない。
  • 軸上色収差は、開放で目立つのは理解できるが、1段絞っても改善しないのは意外で、少々残念な結果だ。とは言えニッコールの85mmクラスのレンズと比較すれば、富士はそれでもなお良好な結果だ。
  • 倍率色収差は開放付近から非常に小さく、素晴らしくよく補正されている。2-3段絞ると倍率色収差は実質的にゼロになる。
  • フォーカスシフトは全く見られない。
  • 歪曲はJPEGでもRAWでもほぼゼロ(+0.1%)で、問題はない。
  • 周辺光量落ちはJPEGでは自動補正され、F1.2(24%、-0.80EV)、F1.4(17%、-0.53EV)、F2(16%、-050EV)の絞り値でのみ目に付く。F2.8では5%(-0.16EV)で、ほとんど解消する。RAWでは、周辺光量落ちは開放で45%(-1.75EV)でより大きな問題だ。F1.4では40%(-1.48EV)に、F2では22%(-0.72EV)に改善し、F2.8では9%(-0.26EV)で問題はなくなる。周辺光量落ちはかなり高い値だが、それでもなおフルサイズ用の85mmクラスと比べれば良好だ。
  • 逆光では、明るい光源が画面内にある場合でのみ問題があり、このとき非常に激しいフレア・ゴーストが現れる。面白いことに、太陽が画面外に移動すると全ての問題は解消する。
  • AFは完全にノイズレスではないが静かで速い。最短から無限遠までは0.4-0.5秒だ。AFは方向によって速さが少し異なり、最短から無限遠方向の方が速い。AF精度は、浅い深度にもかかわらず一度の合焦ミスもなく、極上としかいいようがない。前ピンや後ピンの傾向もない。
  • XF56mm F1.2 は多くの優れた点があるが、一方で、その価格を考えると欠点(開放の周辺部の画質、軸上色収差、周辺光量落ち、逆光耐性)は少し気になる。このレンズは極めて明るく鏡筒のサイズはそれほど大きくないので、開放付近の周辺部の解像力に驚きはないが、逆光耐性と軸上色収差は意外だった。総括すれば、このレンズの性能に満足だが、残念ながら価格が高価なので、若干価格が下がれば全体的な印象も改善するだろう。
  • 良い点: 頑丈な鏡筒、中央の素晴らしい画質、倍率色収差が実質的にゼロ、非点収差が穏やか、高速で静かで正確なAF。
  • 悪い点: 開放付近の隅の画質が弱すぎる、軸上色収差が大きすぎる、周辺光量落ちが目立つ、逆光にもう少し強ければよかった。

 

XF56mm F1.2 R は各所のレビューで非常に評価の高いレンズですが、このLensTip のレビューでは少し辛口の評価になっているようです。

レビューでは開放付近の隅の解像力の低さが指摘されていますが、F2.8まで絞れば十分以上の解像力になるので、開放付近は背景をぼかして使うことが多いことを考えれば、あまり問題はないかもしれません。逆光耐性はサンプルを見る限りでは、確かに少し気になるところですね。