パナソニック12-60mm F3.5-5.6 OIS は広角側は優秀だが望遠側は周辺部が甘い

LensTipに、パナソニックの標準ズーム「LUMIX G 12-60mm F3.5-5.6 APSH. POWER O.I.S」のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix G 12-60 mm f/3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.

  • ズームリングは中間域が軽く、広角端と望遠端は若干重くなる。フォーカスリングはバイワイヤ(モーター駆動)で、回転角はフォーカスリングを回す速さによって変化する。最短から無限遠までは、フォーカスリングを早く回すと回転角は180度で、ゆっくり回すと360度になる。回転角が大きいので、非常に精密なピント合わせが可能だ。
  • 手ブレ補正の効果は、最大で2.8段分で、これはまずまずの結果だが、それ以上のものではない。トップレベルの手ブレ補正は、4~4.5段分の効果がある。
  • 中央の解像力は広角端で最も高くなり、本当に見事な値だ(開放で67lpmm前後、ピークで75lpmm前後。良像の基準値は44~45lpmm)。望遠端では解像力は落ちるが、それでもで開放から既にシャープで、良好な結果(50lpmm前後)が得られる。ここではオリンパスの12-50mmよりも顕著に優れている。
  • 隅の解像力は中央ほど素晴らしくはなく、広角端に関しては全く文句は無い(開放で42lpmm前後、ピークで51lpmm前後)が、35~60mm域では開放だけでなく絞っても問題がある(60mmmでは開放で30lpmm前後、ピークで36lpmm前後)。
  • 軸上色収差は焦点距離や絞り値にかかわらず、ほとんど分からない。
  • 倍率色収差は、望遠側(35~60mm)では絞りにかかわらず0.04%の目に付かないレベルで問題は無いが、広角端では、開放付近で0.14-0.18%に達し、隅では色ズレが目に付く。このカテゴリでは、パナソニック12-60mmはオリンパス12-50mmに負けている。
  • 球面収差の補正は問題が無く、フォーカスシフト(絞りによるピント位置の移動)は全く見られない。
  • 歪曲はJPEGでは自動補正され、12mmでわずか-1.34%のタル型(望遠端では+0.15%糸巻き型)だ。未補正のRAWでは-6.45%の極めて大きなタル型だが、それでもオリンパス12-50mmよりは歪曲は小さい。望遠端では、歪曲は+1.09%の糸巻き型になる。
  • コマ収差は広角側でも大きくはなく、望遠側では更に小さくなる。全体としてコマ収差に関しては全く問題はない。非点収差は1.3%で、わずかだ。
  • 周辺光量落ちは、JPEGでは12mm開放で46%(-1.78EV)で、オリンパス12-50mmよりもずっと大きい。F5.6まで絞ると、周辺光量落ちは29%(-1.01EV)の中程度の値になる。望遠側にズームすると周辺光量落ちは改善する(60mm開放で29%、-0.99EV)。
  • RAWでの周辺光量落ちは、広角端だけJPEGと違いが見られ、12mm開放で59%(-2.62EV)に達する高い値になる。F4でも56%(-2.42EV)の高い値のままで、F5.6とF8でもそれぞれ45%(-1.73EV)と35%(-1.24EV)で大きく周辺光量が落ちる。F11でも27%(-0.90EV)で周辺光量落ちは目に見える。
  • 逆光では、広角側ではフレアやゴーストの発生は少ない。望遠側では、よりフレアやゴーストが目立つようになるが、これは太陽を画面内に入れた場合だけだ。このレンズの逆光耐性は、オリンパス12-50mmよりもずっと優れている。
  • AFはノイズレスで非常に速く、最短から無限遠までは0.2-0.3秒だ。前ピンと後ピンの傾向はG7との組み合わせでは見られなかったが、E-PL1との組み合わせでは、望遠側(40mm~60mm)で若干前ピンの傾向が見られた。
  • オリンパス12-50mm F3.5-6.3のテスト結果は熱狂からは程遠いものだったが、パナソニック12-60mm F3.5-5.6は、オリンパスと比べてより明るく、ズーム域も広く、解像力も良好で、ずっと好印象だ。価格はパナソニックがわずかに高いだけであることを考えると、私は、少しの疑問も無くパナソニックを選択するだろう。
  • 良い点:しっかりとした防塵防滴のとてもコンパクトな鏡筒、中央のズーム全域での良好な画質、軸上色収差が見られない、望遠側の倍率色収差が無視できる、球面収差の問題が無い、歪曲が望遠側では穏やか、非点収差がわずか、コマ収差が穏やか、静かで高速なAF。
  • 悪い点:35~60mmでは隅の画質が許容範囲外、広角側の開放付近では倍率色収差が非常に大きい、周辺光量落ちが顕著、12mmのRAWの歪曲が極めて大きい。

 

パナソニックの12-60mmは望遠側の周辺部の解像力が今ひとつで、周辺光量落ちも大き目のようですが、それ以外の部分では上手くまとまっており、全体としてはオリンパスの12-50mmよりずっと好印象ということなので、このクラスのレンズとしては良好な性能と言ってよさそうですね。