シグマ85mm F1.4 DG HSM Art は多くのカテゴリでOtus1.4/85に優る性能

LensTip に、シグマArtシリーズの新しい中望遠単焦点レンズ「85mm F1.4 DG HSM Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 85 mm f/1.4 DG HSM

  • シグマ85mm F1.4 Artは、このクラスのライバルよりも3~4枚多くのレンズが使われており、非常に大きく重い。
  • フォーカスリングは66mmの幅があり、非常に大きい。フォーカスリングには十分な重さがあり、滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は120~130度で、AFレンズとしては理に適ったものだが、正確なMFのためには、もう少し回転角が大きい方がいい。被写界深度目盛りはあるが、F8とF16の記載しか無く、実用性は今一つだ。
  • 中央の解像力は、開放ですでに42lpmmを超えており(良像の基準値は30-32lpmm)とにかく見事だ。加えて、F2~F4では、これまでOtus1.4/28が所持していた解像力のレコードを超えている。F2.8でのシグマの解像力49.7lpmmは、5D3のテストでは、新しいレコードだ。
  • 隅の解像力も同じようにセンセーショナルなものだ(開放で38lpmm前後、F4で43lpmm前後)。シグマ85mm F1.4Artの隅の解像力は、多くの古い単焦点レンズの中央の解像力を超えている。
  • 他の大口径の85mmレンズ(キヤノンEF85mm F1.2L、Otus1.4/85、Milvus1.4/85)と解像力を比較すると、シグマが現在入手可能なこのクラスのレンズで最もシャープなレンズであることがわかる。
  • 軸上色収差の補正は完璧ではなく、開放付近でわずかに見て取れるが、問題はなく、F2に絞るとほぼ解消する。
  • 倍率色収差は0.01~0.02%付近で、驚きの低いレベルだ。倍率色収差はツァイスのOtus・Milvusと同レベルで、キヤノン85mm F1.2Lとニコン85mm f/1.4Gよりも良好だ。
  • 球面収差の補正は完璧でないが、影響は軽微で深刻な問題ではない。フォーカスシフトは全く見られなかった。
  • 歪曲は、フルサイズで+0.02%で全く問題は無い。これは、テストした85mmレンズの中では最も小さい値だが、Otus1.4/85(-0.04%)とは誤差の範囲内だろう。このカテゴリでは、シグマArtとOtusが勝者だ。
  • コマ収差は全く問題がない。Milvusも同程度の性能だが、Otusは若干劣っている。キヤノン85mm F1.2Lやニコン85mm f/1.4、シグマの旧型85mm F1.4は、ここでは明らかに悪い結果だ。
  • 非点収差は1.7%の無視して良いレベルで、これまでにテストした全ての85mmレンズの中で最も良好な結果だ。
  • 玉ボケはとても均一で、縁取りも見られない。
  • 周辺光量落ちは、開放で49%(-1.92EV)の高い値だが、MilvusとOtusに比べるとずっと低い値で、ニコン85mm f/1.4Gと同程度だ。面白いことにシグマの旧型がこのカテゴリではベストだ。幸いなことにシグマの新型の周辺光量落ちは、F2で27%(-0.89EV)のわずかな値になり、F2.8では15%(-0.34EV)になり解消する。
  • 逆光では、太陽が画面内に入ると多少のグリーンのゴーストが見られるが、太陽が画面の隅にある場合でもゴーストは増加しない。しかし、若干のコントラストの低下は見られる。逆光耐性は複雑なレンズ構成にもかかわらず良好で、絶賛するほどの性能ではないが、批判するのも難しい。逆光耐性は、シグマはライバルの中では中程度で、これはシグマがMilvusとOtusに負けている数少ないカテゴリの1つだ。
  • AFは、ノイズレスでかなり速い。最短から無限遠までは0.5~0.6秒だ。暗所でも合焦速度はそれほど落ちない。AF精度は、スタジオ内のテストではとても良好で、どのボディとの組み合わせでも、AFのキャリブレーションの必要はなかった。
  • シグマ85mm F1.4 Artは、多くの重要なカテゴリでOtus1.4/85との戦いに優っているだけでなく、これまでの解像力のレコードも塗り替えている。Otusは極めて高価だが、シグマはその1/3の価格なのを思い出して欲しい。このレンズは、LensTipの編集者賞に相応しいレンズだ。私は、ツァイスはとても強く歯ぎしりしているに違いないと想像している。
  • 良い点:しっかりしたスタイリッシュな鏡筒、中央の見事な画質、隅の非常に良好な画質、球面収差に大きな問題がない、軸上色収差が穏やか、倍率色収差がごくわずか、歪曲が実質的にゼロ、コマ収差がわずか、非点収差が取るに足らないレベル、静かで正確なAF。
  • 悪い点:フルサイズでの周辺光量落ちが大きい。

 

シグマ85mm F1.4 Art は、ずっと高価でMFレンズのツァイスOtus1.4/85と比べても、解像力を含む多くのカテゴリで優っているのは、本当にすごいですね。このレンズはボケも非常に綺麗で、高い解像力と美しいボケを両立しているのも魅力的です。

周辺光量落ちは大きいと言っても、ライバルのOtusやMilvusよりはずっと小さいようなので、これは許容範囲内と言ってよさそうです。大きさと重さは、この性能なので仕方がないところかもしれませんね。