シグマ85mm F1.4 DG HSM Art は開放から驚きの解像力

Photozone に、シグマArtシリーズの中望遠単焦点レンズ「85mm F1.4 DG HSM Art」のEOS 5Ds Rによるレビューが掲載されています。

Sigma 85mm f/1.4 HSM DG ART ( Canon ) - Review / Test

  • 箱からレンズを出して、まず気付くのが、その大きさと重さだ。このレンズは、純正レンズやシグマの旧型よりも遥かに大きい。鏡筒の造りは見事で、プロの要求に応えるものだ。鏡筒は複合材TSCと金属の組み合わせで、防塵防滴構造になっている。
  • フォーカスリングは非常に幅が広く、滑らかに回転する。
  • シグマはAFを旧型よりも30%高速化していると主張しているが、これはその通りであることを確認した。AFは速く静かだが、精度は今一つだった。AFはライブビューモードでも正常に動作した。
  • 歪曲は0.1%で、実質的に歪曲はゼロだ。
  • 周辺光量落ちは、この種のレンズとしては標準的で、開放では1.8EVとかなり大きな値だが、F2に絞れば劇的に改善(0.83EV)し、F2.8でほとんど解消する(0.43EV)。
  • 50MP機の5Ds Rによる解像力テストでは、中央は開放からとても良好な値(very good)で、周辺部でさえ非常にシャープだ。この結果は驚き以外の何者でもない。F2に絞ると、画質は若干改善し、F4~F5.6で性能のピークに達する。このとき中央の解像力は極めて高い値(superb)で、周辺部も素晴らしい値(excellent)だ。F8からは回折の影響が見られるが、F11でもまだ十分に実用になる。5Ds Rによるテストは、レンズに厳しいテストだが、85mm F1.4 Artは、50MPセンサーのポテンシャルの多くを引き出している。
  • 21MP機の5D Mark II による解像力テストでは、驚くほどの解像力で、開放からF8までで(画面全域で)ほぼ素晴らしい値(excellent)だ。
  • 倍率色収差は、開放で平均0.5ピクセルの非常に低い値で、F2.8以上で実質的にゼロになる。
  • 後ボケは、コントラストの遷移がクリーミィーで、滑らかに描写されている。しかし、前ボケは、後ボケと比べると若干うるさい。玉ボケは素晴らしい描写で、玉の中は非常に均一で輪郭線も見られないが、画面の隅では口径食の影響が見られる。F2.8までは、絞っても玉ボケの形は悪くならない。
  • 軸上色収差は、開放では後ボケにグリーン、前ボケに紫の色付きがかなり目立つ。絞ると改善するが、F4までは目に見える。また、軸上色収差のテスト画像では、絞ると後ろ側にピント位置が移動する(フォーカスシフト)のが見て取れる。これは、特に近接撮影ではピント精度に影響するが、遠距離では影響は少ない。
  • 逆光耐性は比較的良好だった。
  • シグマ85mm F1.4 Art は見事なレンズだが、とは言えパーフェクトではない。解像力に関しては開放から画面全域で十分にシャープで、F2.8からF5.6では息を呑むほどの画質だ。純正レンズの熱烈なファンなら、純正以外の選択肢は考慮しないだろうが、今やそれを考え直す時かもしれない。シグマの85mm F1.4は、間違いなく純正よりも遙かにシャープで、他の部分でも全く劣っていない。このレンズは卓越した出来で、大いに推薦する!

 

光学性能の評価は5点満点中4.5点で、極めて高い評価になっています。このレンズはどこのレビューでも非常に高い評価を得ていますが、厳しい結果が出ることが多いPhotozoneの5Ds Rによるテストでも全く問題ないようです。

この85mm F1.4 Artは、解像力が高いだけでなく、ボケの美しさも両立しているのが素晴らしいですね。ただ、近接撮影時のフォーカスシフトの影響が指摘されているのは、少々気になるところです。