キヤノンEF85mm F1.4L IS はシグマ85mm F1.4 Art に全てのカテゴリで後れを取っている

LensTip に、キヤノンの大口径中望遠単焦点レンズ「EF85mm F1.4L IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon EF 85 mm f/1.4L IS USM

  • EF85mm F1.4L IS は手ブレ補正を搭載しているが、サイズはシグマやツァイスの85mm F1.4よりもずっと小さい。
  • フォーカスリングは適切な重さがあり、滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は約130度だ。
  • 手ブレ補正は、テストでは最大4段分の効果で、キヤノンの公称値と完全に一致している。拍手喝采だ!
  • 解像力は、中央は開放で既に37lpmmを超える良好な画質(良像の基準値は30-32lpmm)で全く不満は無い。この開放の解像力は、ツァイスのMilvus 1.4/85よりも少し高い。絞ると解像力は更に高くなりF4で48lpmmに達する。ピークの解像力はMilvusとほぼ同じだが、Otusには劣っている。しかし、シグマ85mm F1.4 Artは開放でもピークでもキヤノンを上回っている。
  • 隅の解像力も開放から許容範囲内(約32lpmm)で、ウィークポイントは無いが、ここではキヤノンは、シグマやツァイスMilvusに後れを取っている。
  • 軸上色収差は、このような高価な新型レンズとしては今一つで、開放時だけでなく、F2に絞っても目に付く。軸上色収差はMilvusやシグマの方が良好だ。
  • 倍率色収差は開放時にピークになるが、ピーク時でも中程度のレベルには達せず、低いレベルを維持している。絞ると倍率色収差は非常に低いレベルまで減少する。
  • フォーカスシフトは全く見られない。
  • 歪曲は、+1.30%の糸巻き型で、シグマとOtusがほぼ歪曲ゼロなのと比べると、ここではキヤノンは弱い。正直言って、フルサイズ用の大口径の85mmでこれより歪曲が大きいレンズは思い出せない。
  • コマ収差はかなり目立ち、1段絞ってもまだ目立つ。これがキヤノンがシグマArtとツァイスMilvusより周辺部の解像力が劣っている理由の1つだ。
  • 非点収差は2.3%でごくわずかだ。シグマは1.7%、ツァイスMilvusは3.1%で、ここではMilvusが一番悪いが、それでも3本とも非常に良好に補正されている。
  • 玉ボケは、内部がとても均一で縁取りも見られず全く問題が無いが、画面の隅では口径食が見られる。
  • 周辺光量落ちは、開放で54%(-2.24EV)で、シグマの49%よりは高いが、Milvusの66%よりはずっと低い。F2に絞ると33%(-1.13EV)、F2.8では14%(-0.45EV)に改善し、F4では9%(-0.26)で完全に解消する。
  • 逆光耐性は残念ながら、シグマArtとツァイスMilvusよりも悪い。劇的と言うほど悪くはないが、逆光では非常に多くのゴーストが出る。
  • AFは静かだが、ノイズレスとは言えない。AFは最短から無限遠まで0.7-0.8秒でそれほど速くはない。AF精度は、屋外のテストではあまり感心しなかったので、スタジオで詳細にテストしたが、完全にピントが合っているのは29%で、若干ピントが甘いのが30%、ピントを完全に外したのが2%で、これは高価なLレンズに期待していた性能ではない。
  • キヤノン85mm F1.4L IS は、シグマ85mm F1.4 Art に全てのカテゴリで後れを取っていて、ツァイスMilvusとの差はそれほどではないが、Milvusの方が良好だ。しかし、キヤノンは、他にはない非常に効果的な手ブレ補正を搭載しており、ライバルよりも鏡筒のサイズが小さく軽量だ。
  • 良い点:中央の素晴らしい画質、隅のとても良好な画質、倍率色収差がわずか、非点収差が無視できるレベル、AFが静か、非常に効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点:軸上色収差が目立つ、歪曲がライバルよりも大きい、逆光耐性が今一つ、周辺光量落ちが大きい。

 

キヤノンの新しいEF85mm F1.4L IS は、光学性能ではシグマの85mm F1.4 Art ほど尖った性能ではないようですが、ISを搭載してライバルよりも小型軽量であることを考えると、使い勝手は非常に良さそうですね。

AF精度は結果が芳しくありませんが、これがテストした個体だけの問題なのかどの個体でも同じなのか気になるところです。