オリンパスはフルサイズに参入せず誇りを持ってm4/3に留まる

DPReview に、オリンパスの主にE-M1Xに関するインタビュー記事が掲載されています。

'Sensor size isn't the answer' - Olympus exec explains the thinking behind E-M1X

  • (E-M1Xでどのような顧客を取り込みたい?)
    E-M1Xには、3種類のユーザーがいると思っている。1つ目は、E-M1 Mark II のようなm4/3からのステップアップ。縦位置でジョイスティックを使う場合など、E-M1 Mark II では対応できない状況がある。

    2番目は、望遠の換算焦点距離が長くなることや、フルサイズよりもシステムが小さくなることからAPS-Cを使っている人の乗り換え。

    3番目はEOS 5Dシリーズや1Dシリーズ、D5のユーザーの追加購入だ。フルサイズが必要と考えている人でも、E-M1Xの性能を眼にすれば、大きさ重さを考慮えて異論はでないと思っている。
  • (AFで他社の新型カメラをどのようにベンチマークにした?)
    多くのプロに意見を聞き、AFのアルゴリズムを大幅に変更した。他社のカメラとの比較はそれほど重要ではなく、プロの声と、AI技術を重視した。
  • (プロがオリンパスのカメラを使用することは重要なことか?)
    非常に重要だ。我々の目標はオリンパスの製品が、プロから信頼されることだ。それを実現するために、究極の耐久性を実現する必要がある。我々は、m4/3システムでプロを満足させたい。
  • (2020年のオリンピックでオリンパスレンズを眼にすると思うか?)
    そうあって欲しい。アジア大会では、我々は初めてプレスセンターにサービスデポを構えた。プロのユーザーは多くはなかったが、プロサービスのために何人かのプロが我々の元を訪れた。これは最初の大きなステップだ。
  • (スマートフォンのコンピューショナルフォトグラフィー技術でカメラの将来は変わるか?)
    写真業界のリスクは、スマートフォンが非常に優れているために、人々が従来の伝統的な写真撮影への興味を失うことだ。スマートフォンからのステップアップが、大きなレンズと大きなカメラだとすると、多くの人はステップアップを諦めてスマートフォンを使うかもしれない。
  • (スマートフォンの課題にどう対処するのか?)
    まず、我々はm4/3以外の他のマウントは一切使用しない。複数のマウントを使うのは、ユーザーフレンドリーではなく、顧客を失うリスクがある。我々の強みは、小さく軽量なシステムで、これは望遠撮影や屋外での撮影に向いている。我々は、このフィールド撮影の領域に向いた製品に注力する。この種の写真は、高性能なレンズとAFが必要でスマートフォンでは対応できない。
  • (プロはE-M1Xに上面液晶の採用を望んでいないのか?)
    上面に液晶が必要だろうか? それについては両方の意見がある。検討はしたが、液晶があるとカメラが大きくなり、操作性が失われる。研究開発チームが、プロカメラマンの隣に座って、彼らがどのようにカメラを使うのか観察した。そこからインスピレーションを得ている。
  • (より小型軽量のカメラの開発に、まだ興味はあるか?)
    昨年は、多くの研究開発のリソースをE-M1Xに費やした。E-M1Xは完成しており、また、今年は我々の100周年記念の年だ。さらなる製品を期待して欲しい。
  • (オリンパスはAPS-C以上の大型センサーを採用していない唯一のカメラメーカーだが、どのように差別化を図るのか?)
    我々には小型軽量、レンズの品質、手ブレ補正の3つの強みがある。これらの組み合わせは他には無いものだ。

    フルサイズは市場での流行語のようなものだが、フルサイズではレンズのサイズは小さくできない。システムで比較すると、m4/3とフルサイズの大きさ重さには目に見える違いがある。

    我々は、誰もがフルサイズを必要としているとは思っていないので、フルサイズは造らない。大部分のカメラマンにとっては携帯性がある方が良い。カメラを持っていなければ写真は取れない。我々のm4/3は、多くの人にとって良いものだと信じている。

    我々はカメラ市場は、大型のフルサイズシステムと、よりコンパクトなシステムに分かれると思っている。我々は、誇りを持って、m4/3に留まると言いたい。我々がフルサイズに参戦するのは理に適っているとは言えない。我々の顧客は、小型軽量なシステムを必要としている。

 

オリンパスは、フルサイズ参入に関しては完全否定で、ここまで明確にm4/3への注力を宣言して貰えると、ユーザーも安心してm4/3システムに投資できますね。

E-M1Xに関しては、耐久性やシステム全体でフルサイズよりも小型軽量になることをウリにして、プロを取り込む戦略のようですね。オリンピックでE-M1Xが、定番のプロ用機の間にどれだけ割って入れるのか興味深いところです。