シグマは小さくて高品質なプレミアムレンズを充実させる

DPReviewに、シグマの山木和人社長のインタビューが掲載されています。

Sigma interview: Smaller, high-quality lenses coming 'in the near future'

  • (2週間前のインタビューの時と状況が変わっているか?)
    部品の一部が中国から供給されているため、2週間前は、サプライチェーンについて心配していたが、一部の部品の遅延があったものの、これまでのところ生産に深刻な問題は発生していない。

    中国の生産と配送システムも正常化し始めているため、将来的な問題の発生もないだろう。中国の販売も心配していたが、当社の事業は安定していて、それほど悪くない。現在の最大の懸念はヨーロッパとアメリカの市場の状況だ。

  • (日本の状況は?)
    アメリカの一部地域やヨーロッパのような危機的な状況ではなく、店舗には人が戻ってきている。しかし、写真業界の状況は本当に悪くなっている。

  • (最近、一眼レフよりミラーレスのレンズの開発を優先するという発言があったが?)
    それは単に、ミラーレス用レンズの需要が高まったためだ。ミラーレスカメラ市場は、売上の減少が顕著な一眼レフ市場と比べて安定してる。一眼レフ用レンズの販売が減っているので、当然ながらミラーレス用レンズの開発に注力する必要がある。

  • (フルサイズミラーレス用のDNシリーズのレンズは売れているか?)
    24-70mm F2.8は大変好評で非常によく売れており、これまで製造能力を強化してきたが、まだ需要に生産が追い付いていない。

  • (DNレンズの売上のうちLマウントの占める割合は?)
    それは言えないが、もちろん、出荷しているレンズの大部分はEマウント用だ。Lマウントは、まだ見込み客を満足させるほどの製品ラインナップではない。潜在的な顧客は多いが、彼らはLマウントシステムの発展を待っていると思う。Lマウントシステムが完成するまでには、さらにあと1~2年は必要だろう。

  • (フルサイズカメラのfpの売れ行きは?)
    発売直後はよく売れた。正直言って、特にヨーロッパとアメリカでは、かなり売上が落ちている。日本では引き続きよく売れているが、全体としては予想を下回っている。

  • (fpが予想ほど売れていない理由は?)
    fpに興味を持っていても、Lマウントの開発を見守っている人が多いと思う。現在、fpに適したコンパクトなレンズが足りていない。現在、そのようなレンズをいくつか開発している。コンパクトなレンズのラインナップが完成したら、潜在顧客がfpを買いたいと思うかもしれない。

    また、fpが優れたカメラであることを理解してもらうには、日本では「タッチアンドトライイベント」が重要だとわかり、多くのイベントを計画していたが、新型コロナウイルスの影響でそれらが中止され、カメラを試してもらう機会が失われたことがもう1つの理由だ。

  • (よりコンパクトなレンズの開発についてもう少し詳しく教えて欲しい)
    我々は主に2つの主力製品があり、1つはArtシリーズのような本格的な写真家向けのもので、もう1つは45mm F2.8のような高品質でスタイリッシュな、非常にコンパクトなプレミアムレンズだ。ストリート写真家や小さくて高品質なレンズを求めている人のために、このようなレンズラインナップを広げていく。

  • (fpシリーズにメカシャッターやファインダーを搭載すると思うか?)
    メカシャッターを採用したら、それほどコンパクトにならない。fpが小さい理由の1つはメカシャッターを省略したためだ。センサーの読み出しが高速化しているので、将来はほとんどのカメラがメカシャッターを省くと思っている。将来の製品については、まだ決定していないが、おそらく現在のコンセプトを維持するだろう。

  • (Foveonのフルサイズ機の計画が延期されたが、その理由は?)
    まだ、克服しなければならない技術的な問題がいくつかあり、センサーの開発が大幅に遅れているためだ。順調にいけば、来年発売できるはずだが、問題が発生すればさらに遅れる可能性がある。

  • (DP Merrillシリーズに代わるレンズ固定式フルサイズ機に興味はあるか?)
    現時点では予定はない。市場調査中だが、フルサイズでここまでコンパクトにするのは難しい。ソニーRX1R II のような非常に小さいカメラもあるが、レンズを小さくするのは難しく、コンパクトなレンズにする場合、焦点距離とF値がかなり制限される。APS-Cやm4/3のレンズ固定式カメラと比べると、フルサイズは技術的にとても難しい。

  • (RF、Z、Xマウントのレンズ開発について何か言えることはあるか?)
    レンズメーカーとして、できるだけ多くのマウントに対応することが我々の使命だと思っているが、開発リソースが限られているので、マウントを選ばなければならない。我々は市場の動向を注視している。

  • (DC DNレンズのラインナップは今後増えるのか?)
    DC DNシリーズのレンズの需要は伸び続けており、これはAPS-Cカメラとレンズの市場が減少していることを考えると、驚くべきことだ。需要の大部分はEマウントとm4/3で、ピークシーズンには生産が追いつかないこともある。

  • (マイクロフォーサーズの市場はまだ堅調か?)
    マイクロフォーサーズは動画製作者に受け入れられていると思う。シグマの16mm F1.4はm4/3ユーザーの間で本当に人気がある。コンパクトなシステムを求めている人にはm4/3は依然として愛されている。

 

シグマは、コンパクトで高品質なプレミアムレンズシリーズをラインナップする計画があるようですね。フルサイズミラーレス用の高性能レンズは大柄なレンズが多いので、シグマのコンパクトで高性能なレンズシリーズは魅力的な存在になりそうです。

あと、DC DNシリーズは製造が追いつかないほど売れているということなので、APS-Cミラーレス用のレンズラインナップも拡充が期待できそうですね。