キヤノン「RF15-35mm F2.8L IS USM」は広角ズームでは屈指の性能だが周辺光量落ちが弱点

OpticalLimits に、キヤノンのRFマウント用の広角ズーム「RF15-35mm F2.8L IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 15-35mm f/2.8 USM L IS - Review / Test Report

  • 大きさはEFの大三元広角ズームと同程度で、重さは若干重い。少しマイナスなのは、ズームが繰り出し式なことで、広角端で内側の鏡筒が約1センチほど繰り出す。
  • AFはナノUSMで、作動音はなくとても速い。AF精度は広角端では非常に高いが、それより望遠側では、絞ると球面収差の問題(フォーカスシフト)のために精度が落ちる。しかし、実写では、通常は深い被写界深度内に収まるだろう。
  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーター駆動)だが、機械式のフォーカスリングと大きな違いは感じられない。
  • 手ブレ補正の効果は公称では5段分だが、実写ではそれより1-2段分程度少ないと感じた。
  • 歪曲は、特にミラーレス用の広角ズームでは大きいレンズが多いが、キヤノンは歪曲の補正では伝統に忠実であり続けている(一眼レフのレンズと同様に歪曲を光学的に補正している)。このレンズの歪曲は、未補正では15mmで-2.81%で目には見えるが、優秀な一眼レフ用の広角ズーム並みだ。自動補正使用時は、歪曲は、ほぼ完璧に補正される。
  • 未補正の周辺光量落ちは15mm開放で4.6EVのとてつもなく大きな値で、これは残念ながら、このサイトで見にした最悪の値だ。絞ると周辺光量落ちは大きく改善するが、15mmと18mmでは絞っても周辺光量落ちは目に付く。望遠側では周辺光量落ちは小さくなるが、F2.8とF4では非常に目立つ。
  • 自動補正使用時でも周辺光量落ちは、15mm開放で2.13EVでかなり目立つが、補正しすぎるとノイズが目立つので、キヤノンは周辺光量落ちを完全に補正していないのだろう。
  • 解像力は、16mmでは、中央付近は紛れもなくズバ抜けた値だ。周辺部は開放では少し甘くなるが、それでも非常にしっかりしている。絞ると、周辺部はF5.6で素晴らしい値になり、隅も「良い」~「とても良い」解像力になる。18mm開放では周辺部と隅は少し解像力が低下するが、絞ると全体的な画質は16mmよりも若干良くなる。24mmも同じ傾向だ。35mmでは開放で若干の解像力の低下が見られるが、F5.6に絞ると見事な解像力になる。

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  • 像面の湾曲は15mmでは少ないが、望遠側では大きくなる。
  • 倍率色収差は、周辺部で1ピクセル前後で良く補正されており、ピクセル等倍で見れば気が付くかもしれないが、実写では問題はない。
  • ボケは超広角レンズとしては、とても満足の行くものだ。
  • 逆光では、画面の周辺部に太陽が入る厳しい条件では青色のゴーストが見れるが、光線はズームとしては抑えられている。
  • 歴史的にキヤノンは超広角のカテゴリではそれほど強くなかったが、これは覆された。RF15-35mm F2.8L IS にはいくつかの欠点はあるものの、全体としては、これまでテストした中では屈指の広角ズームだ。解像力は概ね非常に良好で、開放時でもまずまずだ。歪曲も中程度で、完全な直線を求めるのでなければ自動補正は必要ない。ただし、周辺光量落ちは、広角端では極めて大きい。
  • 現時点ではRFレンズの広角ズームは他にあまり選択肢がないが、あなたがプロの写真家か、予算に余裕がある人なら、他のレンズを探す必要はない。このレンズを大いに推薦する!

 

光学性能の評価は3.66点(5点満点中)で良好な評価ですが、屈指の性能という割りには若干低めのような気がします。これは周辺光量落ちで減点されたためでしょうか。

解像力は広角ズームとしては優秀で、15mmスタートにも関わらず開放から周辺部まで問題の無い解像力を実現しているのは素晴らしいですね。

歪曲は、ミラーレス用のレンズにもかかわらず電子補正にあまり頼っておらず、光学的に補正されているのはキヤノンらしいところです。ただ、周辺光量落ちに関しては、補正後でもかなり大きい値なので、少し扱いにくいかもしれませんね。