ニコン「Z 85mm f/1.8 S」は開放からシャープで弱点の少ないレンズ

LensTip に、ニコンのZマウント用の中望遠単焦点レンズ「Z 85mm f/1.8 S」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 85 mm f/1.8 S

  • 後玉は直径が36mmもあって非常に大きい。
  • フォーカスリングは金属製で、最短から無限遠までの回転角はリングを回す速さによって変わる。速く回すと90度未満で、ゆっくり回すと180度を超えるが、非常にゆっくり回すとピント位置が動かないので、回転角の測定は非常にやりにくい。
  • フォーカスリングの溝(滑り止め)の部分は非常に傷が付きやすく、同じレンズを並べて収納すると、お互いの塗装がこすれて簡単に傷が付いてしまう。
  • 中央の解像力は、開放で既に55-58lpmm(良像の基準値は42-44lpmm)に達しており、F2.8で75lpmm、F4では83lpmmになる。この解像力には称賛あるのみだ。AF-S85mm f/1.8Gは開放ではかろうじて良像の基準値を超えるレベルで、また、ソニーFE85mm F1.8はF5.6まで絞らないとピークに達しないので、ここではZ85mm f/1.8Sが勝っている。タムロン85mm F/1.8 Di VC USDがZ85mmの最も手強いライバルだ。
  • 隅の解像力は、開放から満足いくもので、絞っても解像力にかなり問題のあるFE85mm F1.8よりも顕著に高い。AF-S85mm f/1.8G は、良像の基準値を超えるためにはF2.2まで絞る必要がある。ここでもタムロン85mm F/1.8だけが、ニコンZ85mmと張り合うことができているようだ。

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  • Z85mm f/1.8Sは開放からシャープで、解像力テストの結果に弱点はないが、パーフェクトというわけではなく、中央と周辺部の解像力の差がもっと小さければよかった。
  • 軸上色収差はわずかで、AF-S85mm f/1.8Gよりも遥かに優れており、FE85mm F1.8よりも少し良好だ。ここでもタムロン85mm F/1.8VCは優秀だが、Z85mm f/1.8Sがわずかに勝っている。
  • 倍率色収差は0.01%~0.03%の非常に低い値で、素晴らしい結果だ。ライバルも問題の無い値だが、Z85mm f/1.8 Sに匹敵する性能のレンズはなかった。
  • フォーカスシフトは全く見られなかった。
  • 歪曲は+0.47%の糸巻き型で、ほとんど気付かない大きさだが、ここではライバルも大きな違いはない。
  • コマ収差はライバルの方が優秀で、ニコンZ85mmが一番悪い。しかし、形が崩れるのはフルサイズの隅のみで、収差は中程度のレベルなので、これは深刻な問題ではない。
  • 非点収差は7.1%の低い値で、AF-S85mm f/1.8Gやタムロンよりも劣っているが、ソニーよりは若干優れている。
  • 玉ボケは内部が均一で非常に綺麗だ。絞ると輪郭が付くが強いものではない。口径食は見られるが、2段絞ればほとんど解消する。
  • 周辺光量落ちは開放で43%(-1.61EV)で、これは85mm f/1.8Gと全く同じで、それほど批判はできない。周辺光量落ちは、ソニーやタムロンよりは顕著に優れている。F4まで絞ると気付かないレベルになる。
  • 逆光耐性は開放ではほとんど問題は無いが、絞るとゴーストとフレアが現れ、特に太陽が画面の隅のすぐ外側にある場合にはゴーストとフレアが現れる。それでも、逆光耐性は85mm f/1.8Gから明確な改善が見られる。
  • AFは静かだが完全に無音ではない。AF速度は最短から無限遠まで0.7-0.8秒で、中程度の速さだ。AF精度は屋外のテストでもスタジオ内のテストでも、全く問題は見られなかった。
  • このレンズの評価は以前にテストしたZ50mm f/1.8Sの評価の繰り返しで、「良い点」が非常に多く、「悪い点」はわずか1つだけだ。Z50mm f/1.8Sと比べるとZ85mm f/1.8Sは若干ピークの解像力が低く、開放付近の解像力は若干劣っているが、他の85mm F1.8と比べると優れている。唯一の不満は価格で、発売直後ということを考えても、このクラスの他のレンズとの価格の違いは実に大きい。
  • 良い点:しっかりとした防塵防滴の金属製鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅の良好な画質、軸上色収差が穏やか、倍率色収差がほとんどゼロ、球面収差が少ない、歪曲が目に付かない、非点収差の問題がない、静かで正確なAF、ボケが心地よい。
  • 悪い点:フルサイズでは周辺光量落ちが目立つ。

 

Z85mm f/1.8 S は、他のニコンのf/1.8Sシリーズの単焦点と同様に、収差が良く補正されていて解像力がとても高く、全体的に非常に高性能なレンズという印象です。悪い点にあげられている周辺光量落ちも平均的な値なので、大きな欠点ではありませんね。

ただ、コマ収差が少し見られるのようなので、天体撮影用にはそれほど向いてないかもしれません。