タムロン「35-150mm F2.8-4 Di VC OSD」は欠点はあるが非常に出来の良いレンズ

LensTip に、タムロンの一眼レフ用の望遠寄りの標準ズーム「35-150mm F2.8-4 Di VC OSD」のレビューが掲載されています。

Tamron 35-150 mm f/2.8-4 Di VC OSD

  • ズームリングにはロックスイッチが付いているが、ズームの自重落下は見られなかった。ズームリングの回転は、中間域が両端よりも少し重くなる。
  • フォーカスリングは少々軽すぎる。最短から無限遠までの回転角は80度で、精密なピント合わせに十分とは言えない。全体にフォーカスリングの使い勝手は、あまり関心しない。
  • 手ブレ補正は3.7段前後の効果で、公称値よりもずっと低いが、それでもこれは良好な結果だ。
  • 中央の解像力は、ズーム全域で開放でも絞った時でも大きな違いがなく、ズームレンズとしては素晴らしい。35mmと90mmでは47lpmm(良像の基準値は30-32lpmm)に達する非常に高いレベルで、最高の単焦点と比べてもわずかに低いだけだ。

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  • 隅の解像力は、35mm開放時は弱く、F4で許容範囲のレベルのボーダーライン上だ。90mm開放時も同様で、解像力はボーダーライン上にある。隅は150mmがベストで、開放のF4で既に実用的な解像力だ。この隅の解像力は大きな欠点ではなく、このレンズの解像力の非常に肯定的な評価は変わらない。

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  • 軸上色収差(ボケの色付き)の問題は全く見られない。
  • 倍率色収差は、ズームの中間域では0.04%未満の全く気付かないレベルで、望遠端でも0.04-0.05%の値が維持されている。広角端では状況が異なり、開放では「中程度」の値になるが、絞れば「低い」値になる。
  • フォーカスシフトは90mmと150mmでわずかに見られ、絞るとピントが奥に移動する。
  • 歪曲はフルサイズでは35mmで-2.64%のタル型、50mmでは+0.62%の糸巻き型、85~135mmでは+1.9%前後の糸巻き型で、それほど煩わしいものではない。
  • コマ収差はごくわずかで、これは称賛に値する。
  • 非点収差は6.2%の穏やかな値で、不満はない。
  • 玉ボケは二重の輪郭線が付いてうるさい。加えて中央部も滑らかではない。更に口径食も顕著で2段絞らないと解消しない。ボケはもっとずっと良好な性能を期待してた。
  • 周辺光量落ちは35mm F2.8で55%(-2.32EV)でかなり大きい。絞ると改善するが期待ほどではなく、F4でもまだ32%(-1.12EV)だ。中間域では若干改善(90mm開放で46%、-1.77EV)し、望遠端でもこれと同程度(150mm開放で45%、-1.74EV)だ。
  • 逆光耐性は厳しく、特に絞り込んだときには面積の大きな強いゴーストが見られる。加えて、太陽が画面外の離れた場所にある場合でもゴーストとフレアが現れる。全体的にこのカテゴリの評価は肯定的なものではない。
  • AFは無音ではないが静かだ。AF速度は最短から無限遠まで1秒以上かかり、残念ながら芳しくない。AFを外したのは2%未満の低いレベルで、AF精度の問題は見られなかった。
  • AFは2台のボディでテストしたが、そのうちの1台では顕著な後ピンの傾向が見られた。これはカメラのメニューからは調整できず、TAP-inコンソールを使用して調整しなければならなかった。
  • 35-150mm F/2.8-4は欠点の無いレンズではないが、このようなスペックのレンズでは、欠点をつぶしていくと顕著に大きく重くなってしまい価格も上がってしまうだろう。しかし、このレンズは非常に良くできており、17-35mm F/2.8-4 Di OSDとの組み合わせはとても実用的だ。個人的にはこのレンズを大いに推薦したい。
  • 良い点:良好な品質の鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅の許容範囲内の画質、軸上色収差の問題が見られない、倍率色収差がわずか、コマ収差が非常に良く補正されている、非点収差が良好、静かで正確なAF。
  • 悪い点:球面収差の補正に多少問題がある、フルサイズでは周辺光量落ちが大きい、逆光耐性が今一つ、AFが非常に遅い。

 

35-150mm F/2.8-4はSPシリーズのレンズではありませんが、解像力はズーム全域で安定していてかなり優秀という印象です。逆光耐性やAF速度、玉ボケなど、いくつか弱点はあるようですが、他にはない35-150mmのズーム域は魅力的ですね。