- X-T3から最も大きな進化はボディ内手ブレ補正で、実写では公称値の6.5段分ほど大きな効果は感じられないものの素晴らしい性能だ。
- バリアングルモニタの採用は、動画製作者やブイロガーにとっては間違いなくプラスになっている。
- AF性能の改善はX-T4を使い始めてすぐに実感できる。
- X-T4のグリップはX-T3よりも大型化され、デザインは80年代風の一眼レフから少し離れてしまったが、大型のレンズとの相性は良くなっている。
- 操作系の最大の変更は、動画モード設定がシャッターダイヤル下のスイッチに移動したことで、X-T3よりも格段に操作性が改善されているが、測光モードの設定は犠牲になっている。
- ビデオカメラとして少し残念な点は、ヘッドホン端子がないことで、USB-C端子でヘッドホンは接続できるものの、他のデバイスが接続できなくなる。ただし、オプションのバッテリーグリップにはヘッドホン端子は用意されている。
- バッテリーは容量が80%以上多い新型に代わり、CIPA規格で500枚の撮影が可能になった。撮影スタイルにもよるが、バッテリーは、まる1日の撮影でも十分な容量だ。
- ディテールは24MPのAPS-C機とほとんど同じで、32MPのEOS M6 Mark II には及ばない。ノイズレベルはこのクラスのライバルとほぼ同じだ。RAWでの色ノイズの少なさから見て、高感度ではRAWにノイズリダクションがかかっている可能性がある。
- JPEGは、いつもの富士フイルムの鮮やかで魅力的な発色だ。シャープネスのかけかたはディテールを強調しすぎていてあまり洗練されておらずα6600に及ばない。しかし、高感度のノイズリダクションは、ノイズとディテール保持のバランスが上手くとれている。ダイナミックレンジに関しては、予想の範囲内で驚きはない。
- 動体追尾AFはX-T3よりも被写体に貼り付いて、どこにピントを合わせているか、明確に表示される。
- 動体追尾AFは色に重きをおいているようで、被写体や背景によって追尾性能が変わる。被写体が等速の場合は追尾できるが、加減速するとピントを外してしまう。X-T4の動体追尾は、予測が難しい加減速をする被写体の場合は、(背景などの)状況に依存する結果になる。
- 瞳AFは低照度では被写体を見失いがちになり、遠くの目と近くの目の間にピントを合わせるようになる。被写体が下を向いていたり、小さかったりすると、顔は検出されるが、信頼性はかなり低下する。
- AFはクラスベストのライバルと比較すると、少々残念な結果だが、X-T3と比べると被写体の自動認識は改善されており、自動で気軽に撮影できるようになった。動体撮影では予測が可能な動きの被写体には優れた追尾性能を発揮し、15コマ/秒の連写で非常によい結果が得られる。
- 動画のAFはX-T3とほぼ同じで、顔認識以外では被写体を自動追尾はできず、手動でAF測距点を被写体に維持し続ける必要がある。動画の顔認識AFは、インタビューのような被写体がカメラの正面を向いたままのケースを除いては使わない方がよい。
- 動画の画質にはとても関心した。フィルムシミュレーションを使えば、カラーグレーディングなしで撮って出しで使用できる映像を簡単に撮影できる。電子シャッターのスキャン速度は20ms前後とパナソニックS1Hに匹敵する速さで、動きモノでも問題はないだろう。
- ソニーα6600との比較では、AFの追従性はα6600の方が粘りがあり、顔認識・瞳認識の信頼性は比較にならないほど高い。しかし、写真体験を楽しむという点では、X-T4のハンドリングとエルゴノミクスの方がずっと好ましいと思う。
- X-T4はスチルカメラとしては、手ブレ補正を入れてX-T3を少し改良したようなものだが、これは悪いことではない。AF性能は大きく向上し、バッテリーライフは50%以上長くなっている。動画に関してはもっと劇的な変化で、手ブレ補正の搭載でX-T3とは別物になっている。
- スチル用カメラとだけ考えれば、X-T4は魅力的ではあるが、価格を考えると銀賞止まりだろう(※X-T4の実際の評価は金賞です)。しかし、動画も撮る人にはより一層魅力的なカメラだと思う。X-T4はAPS-Cで最も高価なカメラだが、最も高性能なカメラでもある。AFはクラストップのライバルほど安定していないし、洗練されてもいないが、他の全ての点でX-T4が優れている。X-T4は画質が魅力的で、撮影していて飽きないカメラだ。
X-T4のAFはX-T3よりもかなり進化しているようですが、それでもα6600にはまだ及ばない部分があるようです。一方で、使い勝手やエルゴノミクスに関しては極めて高い評価で、α6600をリードしているようです。画質は旧型同様に高い評価ですが、24MPセンサーとの差はそれほど大きくないようですね。
カタスマー
絞り・SS・ISOが全て独立ダイヤルという点を評価して、富士フイルム機を使っているものです。それ以外にもピント拡大表示や電子・電子先幕・機械シャッター自動切り替え等、撮影体験を大切にしているエルゴノミクスが気に入っています。
SSやISOが軍艦部のダイヤルなのは賛否両論あるかもしれませんが、レンズの絞りリングは絶対的に有用なものだと思っています。なんで全メーカーがデジタル化に伴って絞りリングを廃止したのでしょう?(いや、絞り測光やオート撮影等を考えたら省略が都合良かったのはわかりますが…)
最近はソニーやシグマも絞りリングを搭載する流れで嬉しいです(ニコンキヤノンもコントロールリングを搭載する流れですし)。
まここ
「ディテールは24MPのAPS-C機とほとんど同じで、32MPのEOS M6 Mark II には及ばない。」「JPEGは、いつもの富士フイルムの鮮やかで魅力的な発色だ。シャープネスのかけかたはディテールを強調しすぎていてあまり洗練されておらずα6600に及ばない。」
このあたりは、センサーの画素数によりますし、解像感の出し方に関する考え方によりますので、フィルムっぽい絵作りをしようとしているフジの画像が好みであれば、あまり気にならないところでは。
でも、ベースとなるセンサーがSONY製である以上、ゆくゆくはAPS-Cで32MPを超えるようなセンサーを使うことになってしまうんですよね、Xシリーズでも。
弁証法
惚れ惚れするような公平で的確なレビューですね。
動画の追尾AFに改善の余地があり、またいまだに30分制限もあるようで、まだまだ動画のほうはやるべきことが多いと感じます。
supreme
α6600のAFと比較すると動体の追従性能、瞳AFのスピードと精度、動画でのAF、全てにおいて差を感じます。
出てくる絵と手振れ補正は満足ですが、できればもう少し頑張って欲しかった。
amapa
AFだけは本当に、もう少し改善してくれたら嬉しいです。
特にトラッキングと顔認識は、ソニーに比べてまだまだ…子どもを追いかけてくれません。
確かに見た目の速度は上がってますが、精度が低いんです。当たらない。
他に不満は無いので、今後に期待します。
ナイトメア
AFは他の機種と比べた場合はどうなんでしょう。
クラス最高のAFと評判の高いα6600と比較すれば、及ばない点が出てくるのはしかたない気もします。