ソニーT* FE24-70mm F4 ZA OSS は造りは素晴らしいが光学性能はあまり感心しない

photozone に、ソニーのVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS のレビューが掲載されています。

Carl-Zeiss Vario-Tessar T* FE 24-70mm f/4 ZA OSS (Sony SEL2470Z) - Review / Test Report

  • このレンズはミラーレス用のレンズとしては比較的大きく、ほとんど一眼レフ用のレンズと同じくらいの大きさだが、いくらか軽量だ。鏡筒は金属製で造りは見事だ。フォーカスリングとズームリングはスムーズに回転する。望遠側にズームずるとレンズは伸びるが、ガタつきは全く見られない。
  • AFは、(テスト機のα7RのAFは必ずしも速くはないが)スポーツの撮影でない限りは十分な性能だ。AFの作動音は基本的にしない。フォーカスリングはバイワイヤ(モーター駆動)で、その出来は実によく、とても微細なピント調整が可能だ。
  • 手ブレ補正は、実写では約2~3段分の効果がある。
  • 歪曲は自動補正がONの時は、0.5%未満の取るに足らない値で心配はない。しかし、レンズ本来の歪曲は、24mmでは3.8%(タル型)、70mmで3%(糸巻き型)の非常に大きな値で、これはこのような高価なレンズとしては、素晴らしいとはいえない。
  • 周辺光量落ちは、自動補正ONでは24mm開放で1EVで、フルサイズ用のレンズとしてはとても穏やかだ。絞ると周辺光量落ちは改善するが、それほど大きくは改善しない(24mm F8で0.7EV)。
  • 未補正の周辺光量落ちは、24mm開放では2.5EVの非常に大きな値だ。24mm F8では1.1EVで、これは褒められるものではないが、フルサイズ用のレンズとしては許容範囲内だ。望遠側では周辺光量落ちは改善し、開放時のみ中程度の大きさになる。
  • 解像力は、24mmでは中央は開放から見事(superb)で、周辺部はおおむね良好(good)だが、隅はF11まで絞ってもかなり甘い(fairly soft)。35mmと50mmでは、周辺と隅は開放では良好な値(good)で、F8まで絞ると良い(good)からとても良い値(very good)になる。
  • 70mmの解像力は最も弱く、(開放では)中央は中程度の画質で、周辺部と隅はかなり悪い(rather poor)。F5.6に絞ることが望ましく、絞ればコントラストも改善する。70mmのスイートスポットはF8とF11だ。
  • テストした個体のセンタリング(調芯)のクオリティ(偏芯の少なさ)は、手ブレ補正付きのレンズとしては良好だ。
  • 倍率色収差はまずまず良く補正されており、少なくとも周辺部では1ピクセル前後(これは36MP機のテストとしては極めてよい値だ)で、よく補正されている。とは言え、隅では、倍率色収差は3ピクセル前後で、かなり顕著になる。これらは自動補正ONの時は心配はない。
  • ボケ味は、残念ながらそれほど良くはない。玉ボケは輪郭が目立ち、内部もかなりうるさい。後ボケは非常に刺々しく、前ボケの方が若干良好だ。
  • このレンズは、必ずしも我々を十分に納得させるものではなかった。ハイクオリティな仕上げや大変にスムーズな操作系は使う喜びがあるが、光学性能はあまり感心しない。ソニーツァイスはレンズの欠点をデジタル補正で修正するという想定の基にレンズを設計する醜いトレンドを追いかけているように見える。
  • このレンズはそれほどコンパクトでもないのに、どうして、これほど歪曲が大きくなるように設計しているのだろう。今や歪曲は多くの人にとって一番の関心事ではないかもしれないが、このレンズはそれほどシャープでもない(少なくともズームの両端では)。これは比較的設計のしやすい中程度の明るさのレンズであることを考えるとかなり予想外だ。色収差は24mmの隅を除けば良好で、周辺光量落ちもこのクラスの標準だが、もう1つの欠点は極めて荒々しいボケ味だ。高価な価格とこの性能が相まって、このレンズにはいくつかの疑問符が付く。

 

光学性能の評価は(自動補正ONという但し書き付きで)5点満点中2.5点と、この価格帯のレンズとしては少し物足りない評価となっています。解像力は中央は優秀ですが、周辺部と隅が全体的に低目の値で、このことと、ボケ味がナーバスなことが結論の辛口の評価につながっているようです。