ソニーのG Masterは永久に使えるレンズにしたい

dpreview に、ソニーのG Masterシリーズのレンズに関するソニーのシニアエンジニアのインタビュー記事が掲載されています。

Sony engineer discusses G Master lenses

  • G Master レンズのために、ソニーは50本/mmの空間周波数でレンズを評価することを決定した(通常レンズメーカーはソニーを含めて10本/mmと30本/mmを、ツァイスブランドのレンズは10本/mm、20本/mm、40本/mmを使用している)。100本/mmでの設計も可能だが極めて大きくかさばるレンズになり実用的ではないので、サイズと光学性能とのバランスがとても重要だ。
  • 50本/mmは、40MPや4Kによって決定されたのではない。全てのFEレンズは既に少なくとも40MP対応で設計されている。我々はソニー製センサーのロードマップを知ることができるので、将来のセンサーに対応するFEレンズを開発している。G Masterは、永久に使えるレンズ群にしたい。
  • G Masterレンズは、単に、MTFの評価をより厳格にするだけではない。ソニーには、優れたボケ味のGレンズのスピリットを理解しているミノルタ出身のデザイナーが何名かいるが、これまでボケを評価する方法が無かった。我々は何が良いボケと見なされているかを調査し、ボケを評価しシミュレーションする方法を開発した。これは、レンズの性能(ボケ)を確認するためにレンズを試作する必要がないことを意味している。このことはレンズ設計の大きな変化で、ボケを後から調整するのではなく、レンズ設計の主要事項の1つにすることができることを意味している。
  • ボケに影響する要因の分析では、レンズの成形(モールディング)の精度と、レンズ面の滑らかさの両方がボケに影響していることが明らかになった。非球面レンズの表面は20-30nm程度の凹凸があり、これを改善するために磨くと、レンズが若干不規則な形になる。我々は新しいレンズのモールディングプロセスを開発しており、現在では表面を10nm前後の滑らかさにすることができ、非球面レンズをより正確な形状にできる。
  • 24-70mm F2.8GM は24-70mm F4よりもフォーカスレンズが重いので、リニアモーターではなく、ピエゾ素子のダイレクトドライブSSMを採用している。
  • 85mm F1.4GMは更にフォーカスレンズが重いために、従来はコントラストAFに弱かったリングタイプのモーターを採用しているが、制御ソフト用の優れたアルゴリズムが開発されたため、コントラストAFでも良好に機能する。
  • 70-200mm F2.8GMは、リニアモーターとリングタイプモーターを組み合わせている。このレンズは、フォーカスレンズが重すぎるために2つのレンズ群に分けて駆動している。1つのレンズ群は非常に重いのでリングタイプモーターを使用し、もう1つのレンズ群はリニアモーターを使用している。リングタイプモーターは大まかに素早くピントを合わせるために、またリニアモーターは高精度にピントを合わせるのに使用されている。
  • (APS-CのEマウントレンズについて)APS-C用のレンズは、フォーカスレンズが軽く、設計はフルサイズ用のレンズよりも容易だ。製品計画チームがAPS-Cレンズを必要だと言えば、APS-Cレンズを開発したい。

 

ソニーの新しいG Masterシリーズのレンズは、将来のセンサーに対応する高い解像力と、美しいボケ味の両立を目標にしたレンズシリーズのようです。レンズを永久に使うのは無理としても、何世代か先の高画素センサーでも問題なく使えれば、かなり長い期間レンズを使い続けることができそうです。

AFに関しては、コントラストAFに対応させるためにかなりの工夫をしているようで、これだけ設計が異なると一眼レフ用のレンズをミラーレス用に流用できないのも納得できますね。