トキナー14-20mm F2はズーム全域で高解像力だが逆光に弱い

LensTip に、トキナーの超広角ズーム「AT-X 14-20 F2 PRO DX」のレビューが掲載されています。

Tokina AT-X PRO SD 14-20 mm f/2 (IF) DX

  • 凹凸のあるゴムで覆われたズームリングはとても良い感触で、適切な重さがある。フォーカスリングは快適で、非常に正確にピント合わせができる。無限遠から最短までのフォーカスリングの回転角は、90度未満だ。
  • トキナーは、引き続きワンタッチフォーカスクラッチという名称のAF/MF切り替え機構を採用しており、これは致命的な間違いだ。これはこれまでに見た中で最も残念なAF/MF切り替え機構で、フォーカスリングを引っ張ってMFモードに切り替えるとピント位置が少し動いてしまい、それまで合焦していたのが無駄になってしまう。
  • 中央の解像力は、F2.8とF4に絞るとズーム全域で55lpmm(良像の基準値は34-35lpmm)で、これはレコード(最高記録)のレベルだ。加えて14-17mmでは開放の解像力も50lpmmと極めて高いレベルだ。唯一20mmだけは、これほどは良くはない(44lpmm前後)がそれでもとても良好な値だ。
  • 隅は開放でも常に良像の基準値を超えており(36-42lpmm)、絞ると45lpmmの非常に良好なレベルに達する。隅の解像力に全く不満はなく、レンズのスペックを考えると、隅の解像力は賞賛に値する。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)は、開放でさえ全く問題は見られない。倍率色収差は、大部分の絞り値と焦点距離の組み合わせで0.10-0.12%のレベルをキープしており、これは中程度の大きさだ。焦点距離によって倍率色収差の違いが大きいのは開放時で、望遠端では倍率色収差は低いレベルだが、広角端では0.14%に近い「中程度~大きい」のレベルになる。
  • フォーカスシフトはごくわずかに見られ、F2からF2.8に絞ったときに手前側にピント位置が移動する。
  • 歪曲は14mmで最も大きくなり、-2.55%のタル型だ。17mmでは-1.35%に改善し、20mmでは-0.71%のごく僅かなレベルにまで減少する。
  • コマ収差はとても良く補正されており、焦点距離にかかわらず開放でさえごくわずかだ。非点収差は3.2%の非常に低いレベルだが、望遠端では広角端や中間域よりも若干大きな値になる。
  • 周辺光量落ちは、14mm開放では-0.92EVの穏やかな値で、この結果は驚きだ。中間域でも周辺光量落ちは開放で-0.84EVと広角端とほとんど変わらず、20mmでも-0.87EVで同程度だ。周辺光量落ちは、レンズの仕様を考えると十分に良く補正されている。
  • トキナーの広角レンズは、多くの場合逆光耐性に問題があるが、この14-20mmも残念ながら例外ではない。開放では逆光でもそれほど大きな問題は無いが、絞るとかなりフレアやゴーストが目立つ。太陽が画面外にある場合でも画面全域に激しいフレアが見られることも多い。トキナーの11-16mm F2.8でも同様の問題が見られたのに、トキナーがこれを長年放置しているのは驚きだ。
  • AFは速くはない。作動音はそれほど煩わしくはないが、はっきりと聞こえる。スタジオのテストでは、AFをミスしたのは4%で、これは妥当な結果だ。ズーム全域で後ピン傾向が見られたが、これはカメラ側のマイクロアジャストで調整することができる。
  • 14-20mm F2 は、もし逆光耐性の問題がなければ、卓越したレンズと言うことができ、全てのAPS-C機のユーザーに諸手を上げて推薦することができただろう。しかし、この欠点があっても、このレンズは独自のスペックとハイクオリティな光学系で多く人を満足させると思う。加えて価格設定も満足のいくものだと思う。
  • 良い点:しっかりとした鏡筒、他にはないスペック、ズーム全域で中央の見事な画質、隅のとても良好な画質、軸上色収差がほとんど見られない、歪曲が穏やか、コマ収差がわずか、非点収差が少ない、このクラスとしては周辺光量落ちが少ない、適切なAFのパフォーマンス、コストパフォーマンスが良好。
  • 悪い点: AF/MF切り替え機構の出来が良くない、逆光に非常に弱い。

 

14-20mm F2解像力は、開放からズーム全域でかなり高い値で、超大口径の広角ズームとは思えないほど優秀ですね。周辺光量落ちも開放F値を考えると非常に少ないようです。

ただ、逆光のサンプルではかなり盛大にフレアとゴーストが出ているので、逆光耐性だけはあまり褒められたものでは無いようです。