・Canon EF 400 mm f/4 DO IS II USM
- このレンズは、このクラスで最も小型軽量なレンズで、DOテクノロジーによるアドバンテージは明確だ。
- フォーカスリングの最短から無限遠までの回転角は約200度。
- 手ブレ補正は、最大4段分の効果で、公称と実測が完璧に一致している。これは拍手喝采だ。
- 中央の解像力は、開放で既に45lpmm(良像の基準値は30-32lpmm)に達する見事な値で、F5.6に絞ると若干改善し45.7lpmmになる。これはEF300mm F2.8L IS II と同程度の解像力で、DOの採用による解像力の低下は全く見られない。
- 隅の解像力は開放からF11まで35lpmmを超えており(開放では約38lpmm)で、全く申し分のない値だ。
- TC1.4x III のテレコン使用時の解像力は、中央は開放から40lpmmを超え、隅も開放から基準値を超える値(約35lpmm)で、画面全域で良好な画質だ。
- このレンズは、解像力に関してはLレンズと同等で、テレコンの有無にかかわらず画面全域で素晴らしい画質だ。
- 軸上色収差は、開放ではわずかにボケに色が付くが、F5.6に絞ると完全に解消し、ほとんど問題はない。1.4xのテレコン使用時でも、軸上色収差は、ほとんど変わらない。
- 倍率色収差は0.04%を下回っており、これは無視できる値だ。1.4xのテレコン使用時は、倍率色収差は若干増えるが、それでも0.04%付近であまり変わらない。倍率色収差の補正は賞賛しかない。
- フォーカスシフト(絞りによるピント位置の移動)は、全く見られなかった。
- 歪曲は+0.34%の糸巻き型で、無視できる大きさだ。1.4xのテレコン使用時は歪曲は大きくなり、-0.69%のタル型になるが、それでもなお低いレベルだ。
- コマ収差は、レンズ単体でもテレコン使用時でも素晴らしく良く補正されている。
- 非点収差は6.6%の穏やかな値で、面白いことに、テレコンを装着しても6.6%で全く変わらない。
- 玉ボケは、DOレンズのために、中央に若干の輝点が見られる
- 周辺光量落ちは、開放で23%(-0.76EV)の穏やかな値で、F5.6では14%(-0.45EV)、F8では8%(-0.24EV)になる。テレコン装着時は開放で17%(-0.55EV)で、ほとんど気付かないレベルだ。
- 逆光では、コントラストが低下するだけでなく、回折光学素子の構造を明確に反映した多くのゴーストが現れる。加えて、これらのフレア・ゴーストは、太陽が画面の隅から少し外型にある場合でも見られる。逆光耐性はDOの唯一の弱点だ。
- AFは5D3との組み合わせでは、最短から無限遠まで約0.3-0.4秒と非常に速く、フォーカスリミッターを使う必要はない。1.4xのテレコン使用時でもAFの速度低下はごくわずかで、2.0xのテレコン使用時(中央の測距点)でも速度は同程度だったが、80Dとの組み合わせでは、テレコン使用時にAFの迷いが見られた。AF精度は5D3でも80Dでも問題はなく、テレコン使用時でも問題はなかった。
- EF400mm F4 DO IS II は、非常に興味深いレンズで、使っていて楽しめた。このレンズは小型軽量で手ブレ補正が強力なので、完全に手持ちが可能だ。DOテクノロジーは、逆光を避けている限りは、大きな問題はない。
- 良い点:非常に良好な造り、スペックの割りに小型軽量、素晴らしい中央の画質、良好な隅の画質、球面収差の問題が無い、軸上色収差が無視できる、倍率色収差が非常に少ない、歪曲がごくわずか、コマ収差が非常に少ない、非点収差の問題が見られない、周辺光量落ちが少ない、静かで精度が高く高性能なAF、効果的な手ブレ補正、1.4xのテレコンとの相性が良い。
- 悪い点:最短撮影距離が少し長い、逆光耐性が弱い。
EF400mm F4 DO IS II は、解像力が非常に高く、各収差も極めて良く補正されており、スタジオ内のテストでは蛍石を使ったLレンズと比べても遜色の無い性能ですね。
ただ、逆光耐性は II型で改善されたとはいえ、厳しい条件だとフレアで画面全体が真っ白になってしまう(サンプル画像)ので、まだまだ通常のレンズには及ばないという印象です。
旭六五郎
解像力と収差についてはその通りだと思いました。
逆光耐性に関しては元々超望遠は弱いので600-4Ⅱと比べて特段悪いという気はしません。