タムロン「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」は画質は18-300mmクラスに及ばないが非常に汎用性の高いレンズ

LensTip に、タムロンのAPS-C一眼レフ用の高倍率ズーム「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)」のレビューが掲載されています。

Tamron 18-400 mm f/3.5-6.3 Di II VC HLD

  • ズームのロックスイッチが用意されているが、自重落下や撮影者の動きでズームが動いてしまうことはなく、幸いなことにロックする必要はなかった。
  • ズームリングの動きは均一ではなく、ズームの中間域では重く、ズームの両端では軽くなる。
  • フォーカスリングの動きは滑らかだが、少々軽すぎる。最短から無限遠までの回転角は、約70度と非常に小さく、マニュアルフォーカスは、特に望遠端では現実的ではない。
  • 手ブレ補正は、公称は2.5段分の効果だが、望遠端でのテストで最大で3EVを少し超える効果で、メーカーの言う値を上回るとても良好な結果だ。
  • 中央の解像力は、18-400mmは超高倍率ズームにもかかわらず、ズーム全域でほとんど弱点はなく、開放から許容範囲内(広角端では開放で40lpmm、良像の基準値は37-39lpmm)だが、タムロン16-300mmやニコン18-300mm、シグマ18-300mmの方が良好な性能だ。
  • 隅の解像力は、広角端が最も良好(開放で30lpmm)だが、残念ながらF8まで絞らないと許容範囲内にはならない。望遠端では絞っても許容範囲のレベルには達しない。ここではライバルの高倍率ズームも大差は無く、どのレンズも25-30lpmmのレベルで、許容範囲外だ。
  • 軸上色収差は若干見られるが、大きな問題はない。興味深いことに、絞るとごくわずかにボケの色付きが強くなるように見える。
  • 倍率色収差は望遠端が最も弱く、開放付近では0.2%を超える高い値に達し、かなり問題がある。倍率色収差は50mmでも顕著で、18mmと100mmでは中程度~高いのレベルだが、200mmだけは問題は無い。倍率色収差はライバルに劣っている。
  • フォーカスシフトの問題は全く見られない。
  • 歪曲は、広角端は-3.90%のタル型(若干の陣笠状)で、ライバル(ニコン18-300は-5.32%)と比べると良好だ。35-50mmでは糸巻き型が強く、3%に近い歪曲は実写でも目立つ。幸いなことに200-400mmでは、歪曲は顕著に改善する(400mmで+1.17%)。
  • コマ収差は開放では望遠端を除くズーム全域で見られる。200mmは穏やかだが、18-100mmでは目立つ。しかし、それでも、極端に悪いわけでない。
  • 非点収差は15%近い大きな値で、これは望遠側(50-400mm)でも変わらないが、広角端だけは若干小さい値になる。
  • 玉ボケは明確な縁取りが付き、シグマ18-300mmほど良好なボケではないように見える。
  • 周辺光量落ちは、18mm開放で39%で、シグマやニコンと同レベルだ。50mm以降では周辺光量落ちの問題はなくなる。
  • 逆光耐性はかなり良好で、パーフェクトでないが大きな問題もない。唯一、400mmだけが例外で、画面のすぐ外側に太陽があると、フレアが画面の半分近くを覆って画像が台無しになる。幸い、400mmで太陽が画面近くに位置する写真を撮るケースは、それほど多くはないだろう。
  • AFはほとんど無音で、条件が良ければAF速度も速い(0.4-0.5秒)が、暗くなったり、望遠側で撮影するケースでは遅くなる(2-3秒)。これはテスト機のD7000だけでなく、80Dのような新しい機種でテストした場合でも同じだ。
  • AF精度は十分に調整すれば問題はないが、TAPコンソールでの調整は難しい作業だ。
  • 18-400mmの光学性能は、タムロン16-300mmや他社の18-300mmには及ばないが、ズーム域は高倍率ズームで最も広く、画質も画面の中央部分は問題はない。画質にうるさく、もっと高性能なAFが欲しい人は、18-400mmのズーム域を2本のレンズに分けた方がいいだろう。
  • 良い点:非常に汎用性の高いズーム域、中央の良好な画質、軸上色収差が適切に補正されている、球面収差の問題が無い、広角側のコマ収差がまずまず、望遠側の周辺光量落ちが少ない、効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点:開放時にズーム全域で隅の画質が弱い、50mmと400mmの倍率色収差が大きい、18mmと35-100mmで歪曲が顕著、非点収差が少々大きい、かなり調整が必要で遅いAF。

 

タムロンの18-400mmは、光学性能は18-300mmクラスの高倍率ズームには劣るようですが、望遠端が400mmの超高倍率ズームであることを考えれば、十分な性能と言ってよさそうです。

手ブレ補正は公称値では一昔前のスペックですが、実測では望遠端で3段分を超える効果があるということなので、日中野外なら望遠端でも問題なく手持ちで撮影できそうですね。