富士フイルム「XF80mmF2.8 LM OIS WR Macro」は非常にシャープだが周辺光量落ちが目立つ

LensTipに、富士フイルムの望遠マクロ「XF80mmF2.8 LM OIS WR Macro」のレビューが掲載されています。

Fujifilm Fujinon XF 80 mm f/2.8 LM OIS WR Macro

  • このレンズは、フルサイズ用の多くの100mmマクロよりも大きい。鏡筒は非常にしっかりとしているが、レンズ着脱時にカタカタという音(おそらく手ブレ補正ユニットによるもの)がするのが気になる。
  • フォーカスリングは、フォーカスバイワイヤ(モーターによる駆動)で、回転角はリングを回す速度によって変わる。距離目盛りや被写界深度目盛りは無い。
  • 手ブレ補正は実測で4段分の効果で、公称の5段分には少し届かないが、素晴らしい結果だ。
  • 解像力は、中央は開放からすでに76lpmmの極めて高い値(良像の基準値は44-45lpmm)に達しており「驚くほどの」という言葉しか無い。絞るとF4で82lpmmを超え、これまでの最高記録保持者XF50mm F2との差は誤差の範囲内だ。
  • 隅も開放からシャープ(開放で52lpmm、ピークで60lpmm)で、全体的に良好な性能で問題はないが、中央と隅の解像力の違いが極めて大きいのが気になる。これはミラーレス用のレンズではよく見られることだが、マクロレンズでは珍しい。中央と隅の性能の差は、APS-CのXF80mm F2.8よりもフルサイズ用のマクロレンズの方が小さい。

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  • 軸上色収差は非常に良く補正されており、開放でさえ目に見えない。
  • 倍率色収差は開放付近で0.03-0.04%の非常に低い値で、絞ると増加するが、それでもなお低いレベルを維持していて問題はない。このカテゴリは非常に高い評価だ。
  • フォーカスシフトは全く見られなかった。
  • 歪曲は、自動補正のかかるJPEGでは+0.13%で、無視できる大きさだ。RAWでは+0.79%になるが、煩わしく感じることは無いだろう。
  • コマ収差はほぼ理想的に補正されており、開放時でも隅のダイオードの点は歪まない。
  • 非点収差は2.5%で、非常に低いレベルだ。
  • 玉ボケは、輪郭が少し付くが、円の内部はとても均一で素晴らしい。開放では隅で口径食がかなり目立つ。
  • 周辺光量落ちは自動補正のかかるJPEGでは開放で31%(-1.09EV)だが、RAWでは開放で45%(-1.74EV)でかなり大きいと感じる。周辺光量落ちはF4では26%(-0.86EV)で、F5.6では11%(-0.33EV)に改善し、F8では4%(-0.11EV)で完全に解消する。
  • 逆光耐性は最高ではないが、それほど酷いわけでもない。フレアは多くの場合は問題無いが、太陽が特定の位置に来ると顕著に現れる。
  • AFは無音で非常に速い。最短から無限遠までは0.2-0.3秒で、これはマクロレンズとしては驚くべき速さだ。加えて、このレンズは、周囲が暗い場合でもAF速度はあまり変わらない。AFのミスは、スタジオでも屋外でもほとんど無く、AF精度は全く問題ない。
  • XF80mm F2.8は非常にシャープなレンズで、AFも素晴らしく、手ブレ補正もとても効果的だ。大きなレンズには、ユーザーは妥協の無い性能を期待するのでハードルが高いが、富士フイルムはこの期待に応えている。しかし、これだけ大きなレンズにもかかわらず、周辺光量落ちが非常に目立つのは大きな欠点だ。また、中央と周辺部の画質の差をもう少し小さくして、逆光耐性ももう少し改善したい。このレンズは、期待にはわずかに届かなかった。
  • 良い点:しっかりとした防塵防滴の鏡筒、中央の驚くほどの画質、隅の良好な画質、球面収差がごくわずか、軸上色収差が非常に少ない、倍率色収差が少ない、歪曲が目に付かない、コマ収差は驚くほどよく補正されている、非点収差が目に付かない、無音で非常に速く正確なAF、効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点:RAWでは周辺光量落ちが目立つ。

 

解像力は中央は極めて高く、隅でも開放から良像の基準値を余裕で超えていて、申し分の無い性能と言ってよさそうです。色収差や歪曲も非常に優秀ですが、サイズがかなり大きいにもかかわらず周辺光量落ちが目立つため、エディターズチョイス賞には選ばれなかったようです。とは言え、総合的にはとても優秀なレンズという印象です。