シグマ「24-70mm F2.8 DG DN Art」はズーム全域でシャープだが歪曲と周辺光量落ちが目立つ

LensTip に、シグマのフルサイズミラーレス用の標準ズーム「24-70mm F2.8 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 24-70 mm f/2.8 DG DN

  • ズームリングは適度な重さがあり、滑らかに動く。ズームリングは広角端でロックすることができるが、ズームの自重落下は見られなかった。
  • フォーカスリングはフォーカスバイワイヤ(モーター駆動)で、適度な重さがあり非常に滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は、リングを回す速度によって変わり、速く回すと180度で、ゆっくり回すと300~320度と非常に大きくなり、正確なピント合わせが可能だ。
  • 中央の解像力はズームの中間域(45mm)が突出して高く、開放で既に70lpmmを超えている(良像の基準値は39-41lpmm)。これは単焦点並みの解像力で、称賛に値する。ズームの両端では中央より解像力が落ちるものの、開放から極めてシャープだ。タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXDと比較すると広角端(タムロンは28mm)ではタムロンがわずかに優れているが、それ以外はシグマが優れている。

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  • 隅の解像力は、開放ではわずかに基準値を下回るが、F3.5まで絞れば実用的になる。解像力がピークになるのは24mmで、広角端を重視したことは明らかだ。ここでは、シグマの解像力はタムロン28-75mm F2.8よりも明らかに優れている。

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  • 軸上色収差は中間域ではとても良好だが、望遠端では非常に目立つ。軸上色収差は、タムロン28-75mm F2.8や一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8やよりも明らかに劣っている。
  • 倍率色収差は全域で0.09%を超えることはなく低いまま保たれており、問題はない。ここでは、タムロン28-75mm F2.8よりも若干良く、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8よりも顕著に優れている。
  • フォーカスシフト(絞りによるピントの移動)はわずかに見られ、F2.8からF4に絞ると後ろ側に少しピントが移動する。
  • 歪曲は陣笠状で修正しにくい。フルサイズでは、広角端で画面全体の平均では-4.56%で、そこまで大きくは見えないが、中央の1:1のマーキングの範囲(画像を正方形に切り取った部分)では-6.47%もの大きさになる。歪曲に関しては、このレンズは芳しくなく、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8の方がずっと良好だ。
  • コマ収差は中間域では非常によく補正されているが、ズームの両端では収差が残っていて、画質に影響している。コマ収差はタムロン28-75mm F2.8の方が顕著に優れている。
  • 非点収差は平均の3.9%の低いレベルで、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8よりもずっと良好で、タムロンよりも優れている。
  • 玉ボケは完璧ではなく、内部にわずかにリングボケが見られる。軽い輪郭も見られ、絞ると輪郭が強くなる。口径食は、開放では円の半分近くまで削られる。
  • 周辺光量落ちは24mm開放で74%(-3.91EV)のものすごい値で、自動補正は容易にできるが、ISO200で撮影した画像を4EV補正すると隅はISO3200相当になってしまう。更に悪いことに、このレンズは絞っても、F4で62%(-2.78EV)、F5.6で47%(-1.83EV)、F8で34%(-1.22EV)と改善が非常に遅い。一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8は開放で57%のずっと低い値で、タムロンも開放で66%で少し良好だ。
  • 逆光耐性はとても良好で、フレアを出すのはかなり大変だった。フレアが出た場合でも弱く、面積も小さい。加えて、逆光でもコントラス低下は少ない。シグマの新しいコーティングはとても優れている。逆光耐性は良い出来だ!
  • AFは作動音は全く無く、最短から無限遠までは0.3-0.5秒と速い。ピントを外したケースは2%未満で、AF精度もとても良好だった。AFは称賛に値する結果だ。
  • シグマ24-70mm F2.8 DG DN Art はズーム全域で開放からシャープで、しっかりとした造りのレンズだが、歪曲と周辺光量落ちが不満点だ。また、多くの低分散レンズを使っているのにもかかわらず、軸上色収差が目立つのもかなり意外だった。とは言え、一眼レフ用の24-70mm F2.8と比べると、鏡筒がスリムで軽く、より安価だ。
  • ライバルのタムロンの28-75mm F/2.8 Di III RXDと比べると、シグマは24mmスタートで、画面の隅の性能で顕著に上回っており、この2つは大きなセールスポイントになるだろう。
  • 良い点:頑丈な防塵防滴の鏡筒、中央の優れた画質、隅の許容範囲内の画質、倍率色収差が少ない、非点収差が目につかない、速く正確なAF、逆光耐性が非常に優秀。
  • 悪い点:広角端の陣笠状で非常に大きな歪曲、望遠端で球面収差が大きい、望遠端で軸上収差が顕著、周辺光量落ち。

 

大口径標準ズームはズーム域のどこかに弱点があることが多いですが、シグマの24-70mm F2.8 DG DN Art は、解像力に関してはズーム全域で非常に優秀で、隅の解像力も安定していますね。また、NPCコーティングの採用で、逆光に強くなっているのもポイントが高いですね。

広角端で歪曲と周辺光量落ちが目立つのが気になるところですが、これらは自動補正に頼ることが前提でしょうか。