- ズームリングは適度な重さがあり、滑らかに動く。ズームリングは広角端でロックすることができるが、ズームの自重落下は見られなかった。
- フォーカスリングはフォーカスバイワイヤ(モーター駆動)で、適度な重さがあり非常に滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は、リングを回す速度によって変わり、速く回すと180度で、ゆっくり回すと300~320度と非常に大きくなり、正確なピント合わせが可能だ。
- 中央の解像力はズームの中間域(45mm)が突出して高く、開放で既に70lpmmを超えている(良像の基準値は39-41lpmm)。これは単焦点並みの解像力で、称賛に値する。ズームの両端では中央より解像力が落ちるものの、開放から極めてシャープだ。タムロン28-75mm F/2.8 Di III RXDと比較すると広角端(タムロンは28mm)ではタムロンがわずかに優れているが、それ以外はシグマが優れている。
- 隅の解像力は、開放ではわずかに基準値を下回るが、F3.5まで絞れば実用的になる。解像力がピークになるのは24mmで、広角端を重視したことは明らかだ。ここでは、シグマの解像力はタムロン28-75mm F2.8よりも明らかに優れている。
- 軸上色収差は中間域ではとても良好だが、望遠端では非常に目立つ。軸上色収差は、タムロン28-75mm F2.8や一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8やよりも明らかに劣っている。
- 倍率色収差は全域で0.09%を超えることはなく低いまま保たれており、問題はない。ここでは、タムロン28-75mm F2.8よりも若干良く、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8よりも顕著に優れている。
- フォーカスシフト(絞りによるピントの移動)はわずかに見られ、F2.8からF4に絞ると後ろ側に少しピントが移動する。
- 歪曲は陣笠状で修正しにくい。フルサイズでは、広角端で画面全体の平均では-4.56%で、そこまで大きくは見えないが、中央の1:1のマーキングの範囲(画像を正方形に切り取った部分)では-6.47%もの大きさになる。歪曲に関しては、このレンズは芳しくなく、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8の方がずっと良好だ。
- コマ収差は中間域では非常によく補正されているが、ズームの両端では収差が残っていて、画質に影響している。コマ収差はタムロン28-75mm F2.8の方が顕著に優れている。
- 非点収差は平均の3.9%の低いレベルで、一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8よりもずっと良好で、タムロンよりも優れている。
- 玉ボケは完璧ではなく、内部にわずかにリングボケが見られる。軽い輪郭も見られ、絞ると輪郭が強くなる。口径食は、開放では円の半分近くまで削られる。
- 周辺光量落ちは24mm開放で74%(-3.91EV)のものすごい値で、自動補正は容易にできるが、ISO200で撮影した画像を4EV補正すると隅はISO3200相当になってしまう。更に悪いことに、このレンズは絞っても、F4で62%(-2.78EV)、F5.6で47%(-1.83EV)、F8で34%(-1.22EV)と改善が非常に遅い。一眼レフ用のシグマ24-70mm F2.8は開放で57%のずっと低い値で、タムロンも開放で66%で少し良好だ。
- 逆光耐性はとても良好で、フレアを出すのはかなり大変だった。フレアが出た場合でも弱く、面積も小さい。加えて、逆光でもコントラス低下は少ない。シグマの新しいコーティングはとても優れている。逆光耐性は良い出来だ!
- AFは作動音は全く無く、最短から無限遠までは0.3-0.5秒と速い。ピントを外したケースは2%未満で、AF精度もとても良好だった。AFは称賛に値する結果だ。
- シグマ24-70mm F2.8 DG DN Art はズーム全域で開放からシャープで、しっかりとした造りのレンズだが、歪曲と周辺光量落ちが不満点だ。また、多くの低分散レンズを使っているのにもかかわらず、軸上色収差が目立つのもかなり意外だった。とは言え、一眼レフ用の24-70mm F2.8と比べると、鏡筒がスリムで軽く、より安価だ。
- ライバルのタムロンの28-75mm F/2.8 Di III RXDと比べると、シグマは24mmスタートで、画面の隅の性能で顕著に上回っており、この2つは大きなセールスポイントになるだろう。
- 良い点:頑丈な防塵防滴の鏡筒、中央の優れた画質、隅の許容範囲内の画質、倍率色収差が少ない、非点収差が目につかない、速く正確なAF、逆光耐性が非常に優秀。
- 悪い点:広角端の陣笠状で非常に大きな歪曲、望遠端で球面収差が大きい、望遠端で軸上収差が顕著、周辺光量落ち。
大口径標準ズームはズーム域のどこかに弱点があることが多いですが、シグマの24-70mm F2.8 DG DN Art は、解像力に関してはズーム全域で非常に優秀で、隅の解像力も安定していますね。また、NPCコーティングの採用で、逆光に強くなっているのもポイントが高いですね。
広角端で歪曲と周辺光量落ちが目立つのが気になるところですが、これらは自動補正に頼ることが前提でしょうか。
Cakon
性能は良さそうですね。
TAMRONと比べ互角な感じですが、それぞれに勝る点劣る点があり
両者好みで決めれば良いのではないかと。
24〜と28〜とで違いがありますので撮影者のスタイルでいいのでは。
SIGMAの良いところ。
AF/MFスイッチがレンズに付いているのでレンズで切替ができる事。
反対に最大の欠点はレフ機のレンズ並みに大きい事。
finchley
sigmaのズームレンズも単焦点と同様の存在感が出てきましたね。
個人的に描写に加えて一眼用のフルサイズの標準ズームより軽くなって値段も手頃であるところが気に入っています。
赤い自転車
標準ズーム、年輪ボケが多いレンズばかりの中、このレンズはまだ少な目で惹かれています。
このレビューでは年輪ボケや解像度、逆光耐性はGMより少し優れていそうですが、無視できない弱点もあり、価格も含めて悩みどころだと思いました。
X3
陣笠型の歪曲収差の補正は、後処理のワークフローに時間がかかるので、補正が容易な樽型にまとめて欲しかったです。
としべえ
フォーカスバイワイヤと言うことはいったんは電源を落として入れ直すとピントの位置は保持されないのでしょうか!?
花火撮っているのですが明るいうちに打ち上げ場所にピントを合わせておいてしばらく待機する事が多いです。
なまら
Artレンズとうたっているのですから、後処理で画像補正を行わないというのが筋でしょう。それから考えて一眼レフ用レンズよりも劣っている点があることなど、どうも腑に落ちないです。
Luminaire
ディストーションゼロを謳った超広角ズームが大きい重いと不評で
歪曲を補正する前提の設計の他メーカーの純正レンズが小さい軽いと高評価なのであれば、シグマもその時流に乗らざるを得ないのではないかと思います。
どちらを買うかは消費者が選べばいいことですね。
私としましてはもし買うとしたらフルサイズFOVEONにボディ内手振れ補正はたぶん入ってないでしょうからSAマウント用の方を買うでしょうね。
snpi
24-70は特に設計が難しいと言われてるレンズで各社何かしらの弱点はありますし、本レンズはシグマらしい解像に振りつつ収差はボケで柔らかさを活かしやすい望遠側に寄せ、デジタル補正で対応可能な周辺光量と歪みは各自判断、といい落とし所ではないでしょうか。個人的には価格性能比で文句ありません。
maam
24-70/2.8で歪曲の無いレンズは見たことはいというか、ズームの時点で補正無しは無理なのではないかと思います。
金額を気にしなければできるのかな?
カタスマー
maam さん
NIKONのZ24-70f2.8って歪曲ありましたっけ?
ミラーレスレンズは自動補正前提でも気付かない(気付きにくい)ので、そういう時代なんでしょうね。
歪曲を残すことで数百g軽くなるなら、そりゃあマーケティング的にそうなりますよね。
ただ、シネレンズのF2.8(T2.9〜3くらい?)は巨大で超高額な代わりに歪曲もしっかり抑え込めてる印象です。まあスチル用で100万円前後の標準ズームなんて売れるわけないと思いますが…。
noppo
一眼レフで歪曲の大きなレンズを使うとファインダーを覗くだけでやる気を無くしていたくらいですが、ミラーレスでは補正後の映像が映されているということで、全然気になりませんね。
このレンズでも、そういう時流に乗ったということでしょう。それで価格がおさえられるなら、私は歓迎です。
AO
最終的に得られる画が良好であれば
光学補正でもデジタル補正でも構いません。
画像生成過程へのこだわりはないですね。
Luminaire
ただContemporaryラインはArtラインの下にあるのではないと、シグマ自身が本当にそう考えているのであれば。
70-200mmF2.8がSportsラインで出たように24-70mmをContemporaryラインで出すべきだったのではと思います。
Robin
歪曲収差と球面収差はある程度以上修正すると、トレードオフの関係になり、両方を綺麗に消すことは非常に難しいと聞いたような?
歪曲収差を画像処理で直すのは簡単ですが、球面収差はデジタル処理で修正する事はほぼ出来ないので、そういう事なのでは。
tpr
発売日に入手して使っていて、期待通りシャープで良いのですが、
ワイ端の隅は気をつけないといけませんね。。。
レフ用24-70F2.8の時もArtの基準が甘くなってないか、とは思いましたが
もしF4通しで歪曲が小さいArtが出たらそちらに乗り換えるでしょうね。
まれすけ
ミラーレス用であっても歪曲を抑えるのは難しいんですね。
そう考えるとニコンの24-70mmは凄い。