「Nokton 50 mm F1.2 Aspherical」は開放付近の甘さを作品作りに活かしたいレンズ

LensTip に、コシナのEマウント用の大口径標準単焦点レンズ「Voigtlander Nokton 50 mm F1.2 Aspherical」のレビューが掲載されています。

Voigtlander Nokton 50 mm f/1.2 Aspherical - lens review

  • このレンズはF1.2クラスの標準レンズとしては非常に小型軽量で、キヤノンのEF50mm F1.4と比べても大きくはない。
  • フォーカスリングは、適切な重さがあり、非常に滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は約140度で、これは大口径のマニュアルレンズとしては控えめな値だ。このような大口径レンズでは、回転角は180度程度あれば良かった。
  • 中央の解像力はF1.2とF1.4では、ぼやけていて実用的とは言えないが、F1.6で実用的な値になり、F2では良好な値、F2.8では素晴らしい値、F4では際立った値になる。F4の解像力は78.6lpmmでこれまでの最高記録だ。このような興味深い解像力の測定グラフは、これまでで初めて見にした。
  • 隅は、F4よりも絞らないとシャープにならない。これは良好な結果ではないと認めざるを得ない。結果を見ての通り、F1.2の大口径と小さな鏡筒サイズ、そして要求の厳しい高解像度センサーの組み合わせは非常に厳しい。

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  • ボケに色は付かず、軸上色収差の問題は見られない。
  • 倍率色収差は0.01~0.02%で、絞りにかかわらず無視できるレベルを維持しており、大いに称賛したい。
  • フォーカスシフトは、正直に言うと、開放時のぼやけた画像では、正確なピント位置がはっきりと分からないので、絞った時にフォーカスシフトでどれだけピントがずれているのか良く分からない。
  • 歪曲は+0.29%の糸巻き型で、素晴らしく良く補正されている。拍手喝采だ。
  • コマ収差はこの種のレンズではとても厳しいことが多く、このレンズもフルサイズの隅ではコマ収差が非常に目立ち、光学性能に悪影響を及ぼしているが、APS-Cの隅では問題はない。残念なことに1段絞ってもコマ収差は目立つ。
  • 非点収差は14%で中程度だが、確実に画質に悪影響を及ぼしている。
  • 玉ボケは完璧ではないが許容範囲内だ。ボケの輪郭は開放では弱いが、絞ると目立つ。口径食は開放では目立つが1段絞ると改善する。
  • 周辺光量落ちは開放で71%(-3.62EV)と極めて大きく、F2でさえ48%(-1.92EV)で非常に目立つ。
  • 逆光耐性は、まずまず良好だが、絞ると強いゴーストやフレアが見られる。また、画面の隅に太陽を入れると画面の対角に向かって明確な光線が現れる。
  • 結論:もし、これまで複雑な光学系の50mm F1.4に頼ってきたとしたら、このレンズの性能にがっかりするかもしれないが、このレンズはF1.2の大口径にもかかわらず昔ながらのダブルガウスタイプの50mm F1.4と同等の大きさだ。開放付近の画質は弱いが、それをクリエイティブな方向で活用できれば、このレンズは期待に応えてくれるかもしれない。鏡筒の品質の高さも忘れてはならない点だ。価格は950ドルでそれほど高くはない。
  • 良い点:ほどほどの大きさの頑丈な金属製鏡筒、絞ったときの中央の記録破りの解像力、軸上色収差がわずか、倍率色収差が無視できる、素晴らしい歪曲の補正。
  • 悪い点:F1.2とF1.4での中央の画質、隅の解像力が物足りない、周辺光量落ちが極めて大きい、コマ収差が目立つ。

 

最近では、ツァイスOtusやシグマArtシリーズのように大口径レンズでも開放からシャープなレンズが増えてきていますが、このNokton 50mm F1.2 は開放ではふわっとした柔らかい描写で、昔ながらのダブルガウスタイプの標準レンズを味わいたい人には最適なレンズかもしれませんね。