キヤノンEF50mm F1.8 STM は鏡筒の造りが大幅に改善

photozone に、キヤノンの標準単焦点レンズ「EF50mm F1.8 STM」のレビューが掲載されています。

Canon EF 50mm f/1.8 STM - Review / Test Report

  • 鏡筒のデザインは大幅に変更されており、旧型と異なり金属マウントとゴムを巻いたまともなフォーカスリングが採用されている。鏡筒は、素敵なつや消し仕上げのプラスチック製だ。フォーカシングは引き続き全群繰り出し式で、近接側では鏡筒が伸びる。
  • AFはステッピングモーターで、AF速度はよくてII 型と同程度だ。作動音はII 型よりもずっと静かだが、USMほど静かではない。マニュアルフォーカスはバイワイヤ(モーター駆動)で、申し分なく動作する。
  • 歪曲は、-0.765%のわずかなタル型で、実写では大きな問題はないはずだ。
  • 周辺光量落ちは、多くの大口径レンズの常で、このレンズも開放時のかなり強烈な周辺光量落ち(-2.56EV)に苦しんでいる。周辺光量落ちはF2.2でいくらか改善(-1.75EV)し、F2.8でずっと良くなる(-1.05EV)が、F4まで絞らないと無視できるレベルにはならない(F4で-0.47EV)。
  • 昔ながらの50mmの単焦点は、開放でかなり甘く、絞ると極めてシャープになる傾向があるが、これはEF50mm F1.8 STMにもほぼ当てはまる。しかし、旧型と異なり、このレンズは開放でも中央は非常にシャープだ。周辺部と隅は(開放から)きちんとした解像力だが、コントラストは低い。F2.8に絞ると中央は素晴らしい解像力(excellent)になり、周辺部のコントラストも改善する。周辺部と隅はF4で大きく改善し、とても良好な値(very good)になり、F5.6では画面全域で際立った値(outstanding)になる。
  • 像面の湾曲はわずかに見られ、開放付近では影響する可能性がある。テストした個体のセンタリングのクオリティ(偏芯の少なさ)は、良好だったが完璧ではなかった。
  • 倍率色収差は、周辺部で平均0.5ピクセルかそれ以下で、良く補正されていて、問題はない。
  • ボケは、玉ボケは7枚羽根の円形絞りのおかげで改善しているが、これは必ずしも完璧という意味ではない。玉ボケの内側はスムーズだが輪郭が目立つ。この輪郭はF2.8とF4では改善する。前ボケと後ボケは、エッジが左右非対称で少々うるさく見える。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)は、開放ではいくらか見られる。絞れば改善するが、F2.8ではまだいくらか見られ、F4以上ではほとんど解消する。軸上色収差のテストでは、絞ると若干の後ろ方向へのフォーカスシフトが見られた。
  • 旧型のEF50mm F1.8 II も良いレンズ(特に絞ったときには)だったが、EF50mm F1.8 STM は旧型から多少の改善が見られる(光学系よりも機械的な改善の方が大きい)。新型は開放から中央の解像力が高く、周辺部と隅のコントラストが低い問題は残っているが、解像力はとてもしっかりしている。色収差の少なさは解像感の高さに貢献しているが、旧型同様に周辺光量落ちは非常に目立つ。ボケはこのレンズの残念な弱点だ。
  • 造りのクオリティは大幅に改善しており、軽量だがもはや玩具のような感触ではない。EF50mm F1.8 STM は、間違いなく価値ある後継機だが、旧型とまるで別物という訳ではない。

 

光学性能の評価は5点満点中3点~3.5点で、旧型(3点)から若干の改善にとどまっていますが、メカのクオリティは3.5点で旧型(2点)から大幅に評価が上がっています。

光学系はコーティング以外は旧型から変わっていないようですが、解像力チャートでは、絞れば全域でoutstandingに達しているので問題はなさそうです。

ただ、ボケは少しガサついていて今一つスムーズさに欠かけるという印象です。とは言え、このレンズは金属マウントとSTMを採用して価格も抑えられているので、単焦点の入門レンズとして引き続き人気のレンズになりそうですね。