ニコンAF-S DX 18-300mm f/3.5-5.6G VRはライバルと比べて大きさと価格に見合うほどのアドバンテージはない

Dpreviewに、ニコンAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VRのレビューが掲載されています。

Just Posted: Nikon AF-S DX Nikkor 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR lens review

  • 鏡筒は、多くの部分にハイクオリティなプラスチックが使用されており、造りはニコンの中級クラスの典型的なものだ。このレンズはD3200に装着するとややアンバランスで、より大きなD7000のようなボディとの組み合わせの方がずっとよくマッチする。
  • フォーカスリングはAF中には回転せず、フルタイムマニュアルフォーカスが可能。フォーカスリングは(カムと)機械的につながっていて、最短から無限遠への回転角も大きいので、正確なピント合わせは容易だ。前玉は大きく重いがズームの自重落下は見られなかった。
  • AFは超音波モーターで、まずまず速く、作動音はOVFで撮影する場合はほとんどしない。AF精度はD3200のテストでは、望遠端でフォーカスミスをする傾向があった。
  • ライブビューではAFは劇的に遅くなるが、とは言え最新のニコン一眼レフでは、静止している被写体なら十分実用になる。録画中のAFは、最近の動画対応レンズとは異なり、作動音がする。これは腹を立てた虫のような音で、動画のサウンドトラックにはっきりと記録される。
  • 解像力は、広角端の開放では中央のみがシャープで、周辺部はいくらか甘い。解像力はF5.6-F8が最もよい。高倍率ズームの常として、望遠側にズームすると大きく改善し、50mm前後がベストだ。50mmでは実にしっかりとした性能だが、解像力は望遠端に向かって大きく低下する。望遠端ではF8からF11がベストだ。
  • このレンズのセールスポイントは望遠端が長いことだが、望遠端の画質はあまり良くはなく、コントラストは低く、ディテールもつぶれている。解像力は中央は問題ないが、周辺部は悪化する。
  • 色収差は高倍率ズームとしては、まずまず少ない。主にズーム両端で赤/シアンの色ズレが見られ、50mm前後では強い黄色/ブルーの色ズレが見られる。
  • 周辺光量落ちは広角端開放では極めて強い(2EV)。問題は周辺光量落ちが大きいだけではなく、四隅で突然大きく落ちることで、これはより周辺光量落ちが顕著に見え、見た目にも美しくない。しかし、F5.6に絞れば気にならなくなる。周辺光量落ちは中間域では目立たないが、200-300mmでは再び目立つ。とは言え、(望遠側では)多くの場合では特に問題は起こりそうもない。
  • 歪曲はズーム全域で極めて大きい。多くの高倍率ズームと同様に、広角側は強いタル型で、望遠側は強い糸巻き型になる。105mm前後が最も歪曲が大きい。
  • 手ブレ補正は良い点と悪い点があり、広角側では良好だが、残念なことに最も手ブレ補正が必要な望遠端で効果が弱くなる。ここでは他の多くの高倍率ズームのほうがずっと良好だ。
  • VRのテストでは1/80秒前後で予期せぬ甘さが見られ、これは(1/80秒のシャッター速度で)VRが主に(横位置に構えたときの)上下方向の手ブレ補正を完全に補正できていないことを示唆している。この現象はD3200とD800の両方で見られ、2本の異なった18-300mmで確認した。この現象は1/125秒で見られ始め、1/80秒でピークになり、それより遅いシャッターでは減少する。これはミラーショックによるものではない。300mmで1/80秒では使い物になる画像はなく、1/40秒のほうがブレていない。50mmでも同じ現象が見られるが、焦点距離が短いのでブレは弱い。残念なことに、この問題はスタジオだけでなく実写テストでも全く同じだった。
  • 逆光耐性は、まずまず良好で広角側で太陽を入れると虹色のゴーストが見られるが、コントラストは良好に維持されている。
  • ボケは多くの高倍率ズーム同様に、それほど素晴らしいものではなく、輪郭が固く若干うるさい。しかし、クローズアップ撮影では、概ね魅力的なボケが得られる。
  • 18-300mmは高倍率ズームとしてはかなり典型的なレンズで、多くの妥協が見られる。解像力は広角側は良好だが、周辺部は甘くなりがちだ。望遠側は中望遠域(100mm)までは良好だ。問題は望遠端で、特に開放ではあまり画質が良くない。シグマタムロンのライバルと比べると、光学性能は望遠端でもニコンが若干よく、AFは最速だが、意外にも手ブレ補正の効きは期待はずれだ。ニコンは望遠端は長いが、ライバルの2本はずっと小型軽量で、オールインワンの旅行用レンズとしては後者の方がベターだと考えている。我々は18-300mmには、ライバルと比べて大きなサイズと高い価格を正当化する顕著なアドバンテージがあるとは思わない。
  • 良い点: 16.7倍の大きなズーム倍率、F値が5.6を維持している、中望遠までの良好な画質、高速で静かなAF、鏡筒の造りのよさ、スムーズで自重落下のないズームリング、良好な近接性能。
  • 悪い点: 望遠側では非常に甘い、ズームのほとんど全域で歪曲が極めて大きい、手ブレ補正の効きが悪い、広角側でも内蔵フラッシュがケラれる、他の高倍率ズームと比べて大きく重く高価。

 

光学性能は望遠側ではかなり落ち込みますが、それでもサードパーティー製のライバルと比べると若干のアドバンテージがあるようです。また、ニコンは鏡筒の出来や、AF性能なども優れているようですが、価格と大きさ・重さを考えると、どのレンズを選択するかは悩ましいところかもしれませんね。あと、VRが特定のシャッタースピードで効果が弱くなるという報告は少々気になるところです。