ニコンAF-S DX 18-300mm f/3.5-5.6G VRは高倍率ズームとしては良好な性能だが妥協も多い

photozoneに、ニコンAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VRのレビューが掲載されています。

Nikkor AF-S DX 18-300mm f/3.5-5.6 G ED VR - Review / Test Report

  • このレンズはとても大きく重さも830グラムあり、これはほとんどライバル(タムロン18-270)の2倍の重さだ。インナーフォーカスのため、前玉は回転せず、偏光フィルターの使用に問題はない。AFは超音波モーターで作動音はほとんど無いが、それほど速くはない。
  • 鏡筒の造りはコンシューマーグレードのレンズの典型で、大部分は良質なプラスチックでできている。内部の鏡筒(インナーチューブ)は2重になっているが、ガタつきは最小限に抑えられている。
  • 歪曲は広角端では3.6%のタル型で非常に目立つ。これは良い値ではないが、もっと悪いレンズも見たことがある。望遠側にズームするとすぐに糸巻き型になり、35mmでは既に糸巻き型の歪曲が目に付く。85mmでは2.3%を超える糸巻き形で、それ以上では歪曲は若干少なくなるが、かなり高いレベルを維持したままだ。
  • 周辺光量落ちはズームの中間域では極めてよく補正されているが、広角端と150mm以上のズーム域ではかなり目立つ(広角端で1.34EV、望遠端で0.84EV)。いつものように絞れば改善する。
  • 解像力はズーム倍率を考えればとても良好だが、明らかに弱い部分もある。18mmでは中央は良好で、とても良い(very good)~素晴らしい(excellent)の値だが、周辺部と四隅は、まずまず(fair)~良い(good)の値にしかならず、絞ってもそれほど改善しない。
  • 35mmと85mmでは解像力はかなり改善し、F8まで絞ると画面全域でとても良い解像力(very good)になる。150mmでは中央の解像力は若干落ちるが、それでもなお、とても良好な解像力(very good)を維持している。150mmの周辺部と四隅はF5.6では甘く、よりよい結果を得るには絞るべきだ。
  • 300mmでは画質の低下がより顕著になる。中央はそれでもなお、しっかりとした解像力だが、コントラストの低下が顕著だ。F8まで絞ると中央の解像力は若干改善するが、周辺部はあまり改善しない。
  • 倍率色収差はズーム全域で問題があり、これは明らかにこのレンズの弱点だ(ピークの18mm F8で2.72ピクセル)。意外なことに35mmと300mmでは色収差は同程度に抑えられている。
  • 16.7倍のズームであることを考えれば、ニコンはよい仕事をしているが、それでも結果には多くの妥協が見られる。弱点はズームの両端で、18mmの中央は良好だが周辺部は甘い。300mmも周辺部はいくらか甘く、中央もそれほどシャープではない。このタイプのレンズとしては、大きさと重さが問題で、コンパクトで汎用性の高いレンズが欲しいならこのレンズは対象外だ。その他には価格が問題で、ニッコールであってもライバルに比べて2倍の価格は高すぎる。もし、望遠端が200mmで良ければ、全体的にAF-S18-200mm VRが若干良いかもしれない。

 

光学性能の評価は5点満点で2~2.5点で、タムロンの18-270mm PZDが1.5点であることを考えると、高倍率ズームとしては良好な評価と言ってもよさそうですね。解像力はズーム両端では少し厳しいですが、中間域はまずまずの値で、16.7倍ズームであることを考えれば上手くまとめてあるという印象です。最大の問題は、レンズの大きさと重さでしょうか。