キヤノンEOS 6Dは良いカメラだが妥協している部分も多い

dpreviewに、キヤノンEOS 6Dの詳細なレビューが掲載されています。

Canon EOS 6D In-Depth Review

  • 6Dは5D3と比べるとかなり軽いが、マグネシウム合金(上面はポリカーボネート)のボディはそれでもなおしっかりとしたフィーリングだ。このカメラは一日中肩にかけて持ち歩いても快適だ。
  • 大部分のボタンは操作しやすい位置にあるが、フォーカスポイントを動かす際に、マルチコントローラーを操作するために親指を大きく下の方に動かさなければならない。また、60Dから引き継がれたとても小さな被写界深度プレビューボタンは、縦位置ではかなり使いにくい。
  • 6Dのシャッター音はノーマルモードでさえ大変静かで、静音モードに設定したD600よりも静かだ。加えて、6Dにはサイレントシャッターモードも用意されている。
  • 6Dは操作のレスポンスは速いが、連写は実測で4.3コマ/秒で、D800以外のフルサイズ一眼レフでは最も遅い。6Dはバッファーで差別化されているので、RAW+JPEGの連写では比較的少ない枚数(8枚)でスローダウンする(RAWでは15枚でスローダウン)。JPEGでは制限なく連写可能だ。
  • AFは非常に速く、大部分のシチュエーションでとても正確だった。中央のAFポイントは-3EVの輝度に対応しており、他のフルサイズ機よりも1EV低輝度に強い。これは我々の実写テストでも素晴らしい性能であることが確認された。薄暗い明かりの下でもAFは一貫して速く信頼できるもので、外側のAF測距点でさえそうだった。スポーツの撮影では、連写速度よりもAFエリアが狭いことが制限となっている。
  • バッテリーライフはほぼスペック通りで、1回の充電で丸1日の撮影が可能だが、Wi-FiとGPSを使うと顕著にバッテリーを消耗する。Wi-Fi・GPSを有効にするとカメラ使用時だけでなく、スリープ時でもバッテリーライフに影響する。
  • Wi-Fiは素晴らしい機能で、ライバルとの差別化を図る6Dの売りとなっている。EOSリモートアプリケーションは、若干荒削りなのでアップデートによる改善を期待したい。
  • JPEGではISO6400までは良好なディテールが維持されている。標準の設定ではノイズレベルはライバルや5D3よりも低いが、これは比較的ノイズリダクションが強いためのように見える。ノイズリダクションを弱くするとよりライバルに近い結果になる。
  • ACRで現像したRAWでは、ノイズの量はニコンD600と互角で、5D3よりもわずかに少ない。5D3とのわずかな違いは画素数の少なさによるものだが、超高感度域ではその違いはそれほど顕著ではない。
  • JPEGによるD600とα99との高感度の比較では、デフォルトの設定では6Dがよりノイズが少なく、同等のディテールを維持しており、ニコンとソニーよりも6Dが明らかにクリーンだ。
  • 6Dのトーンカーブは5D3とα99にとてもよく似ている。D600と比較すると、D600は中間(グレー)より上はずっと直線的で、ハイライト部分の階調のスムーズさで若干劣っている。
  • 解像力テストでは、JPEGエンジンのファインディテールの描写がいかに芳しくないかが示されている。6Dは2600lph前後までは楽に描写しているが、それ以上はJPEGはすぐにギブアップしてしまう。一方RAWで現像し、半径を小さくしてシャープネスをかけると、2800lphを超えるディテールが得られる。
  • 6DはAPS-Cユーザーがフルサイズに求めるもの(素晴らしい画質、良好な使い勝手、小型軽量、低価格)の多くを備えているが、ライバルのD600は同程度の価格で画素数が若干多く、より強力なAF、デュアルカードスロット、内蔵フラッシュ、防塵防滴を誇っている。6Dが全く退屈な製品と言っているわけではなく、風景やネイチャーではリモート・コントロール機能やGPSのタギングは素晴らしく有用だ。
  • 6Dは確かに手間を掛けずに素晴らしい画質を得ることができるカメラだが、キヤノンの妥協によって、真に偉大なカメラが単なる良いカメラになってしまったかもしれないと感じずにはいられない。6Dは金賞にはわずかに届かなかったが、余裕で銀賞を獲得している。
  • 良い点: RAWの素晴らしいディテール、最高レベルの低輝度のAF性能、とても効果的なJPEGのNR、素晴らしく静かなサイレントモード、リモートコントロール機能、使いやすいHDR機能、テキストログ機能付きの内蔵GPS、動画のフルマニュアルコントロール、動画でIPBとAII-Iを選択可能、バッテリーライフが良好(GPSとWi-Fiを使わない場合)。
  • 悪い点: JPEGエンジンの低感度のディテール、AF測距点が少なく中央のみがクロス、カードスロットがシングル、ライバルと較べて連写が遅い、動画でモアレが目立つ、HDRがJPEGのみ、被写界深度プレビューボタンの位置、フラッシュが内蔵されていない、Auto ISOが洗練されていない、非圧縮動画の出力が無い、GPSとWi-Fiを使うとバッテリーの消耗が激しい。

 

6Dの評価は83%で、D800と5D3の82%を超える良好な評価ですが、D600の87%には及ばないという結果になっています。これはスペック面で、D600よりも割り切った部分が多かったためのようですね。

とは言え、6Dには小型軽量なボディやリモートコントロール機能、GPSなどのアドバンテージもあるので、全体としてはこれはこれで5D3の下位モデルとして上手くまとまっているという印象です。