シグマ30mm F1.4 DC HSM は旧型から全体的に改善しているが開放時の画質は今一つ

LensTipに、シグマ30mm F1.4 DC HSM のレビューが掲載されています。

Sigma A 30 mm f/1.4 DC HSM

  • フォーカスリングはスムーズで申し分のない重さがある。フォーカスリングの回転角は100度だ。AFモードでもMFモードでもフォーカスリングは機能する。フォーカシングでフィルター取り付け枠は回転しない。
  • 解像力テストはEOS 50D のRAWファイルに基づいている。良像の基準は34lpmm付近だ。
  • 中央の解像力は、開放では実用になるレベルとのボーダーラインだ。あまり厳しくないユーザーなら、良好な画質で実用的と考えるかもしれないが、厳しいユーザーには受け入れられない可能性がある。幸いなことに絞れば画質は急激に改善し、F2では46lpmmに達してとてもハイクオリティな画質になる。F2.8からF5.6では50-52lpmmの驚きの結果に達し、これはベストの単焦点レンズに相当する。旧型と比べると改善が見られるが、開放時の結果は大体似たようなものだ。絞った時の改善は新型の方が早い。
  • 隅の解像力は中央よりもずっと悪い。F1.4とF2.0では明らかにあまり実用的ではなく、F2.8以上に絞って初めて許容範囲の画質になる。解像力は中央と比ベると見劣りするが、F5.6から実用的な解像力になった旧型と比べると明確に改善されている。開放付近の解像力はニコンのAF-S DX 35mm f/1.8Gのほうが中央も隅もずっとよい。
  • 軸上色収差はF1.4とF2ではとても目立ち、F2.8に絞って初めてそれほど気にならなくなる。幸いなことに、倍率色収差は旧型と比べて大きく改善しており、新型は開放付近では良好だ。絞ると倍率色収差は大きくなるが、"高いレベル" には達しない。ここではシグマはニコンのAF-S DX 35mm f/1.8より明らかに優れている。
  • 歪曲は旧型は-1.91%のタル型だったが、新型は-1.74%のタル型で、多少改善している。
  • 周辺光量落ちは開放で32%(-1.10EV)で、これは目に付くレベルだが、それほど心配はない。F2に絞ると周辺光量落ちは15%(-0.47EV)に改善し、F2.8ではわずか6%(-0.18EV)で周辺光量落ちは完全に解消する。周辺光量落ちは旧型やライバルよりも良好で、賞賛に値する。
  • 逆光耐性は大きな問題はない。開放では光源の位置にかかわらず、弱い2つのグリーンのゴーストが現れる。絞ると更にフレア・ゴーストが目立つようになるがそれほど強烈なものではない。
  • AFはHSMでノイズレスだが、速度は特別に速くはない。最短から無限遠までは約0.8秒だ。暗所でもAFに問題はない。AF精度は旧型はスタジオテストでは20%以上ミスしており、あまり感心しなかったが、新型はミスは9%で良くなっている。しかし、まだ改善の余地はある。前ピンや後ピンの傾向は見られなかった。
  • 新型は旧型よりも全てのカテゴリで良くなっているので、不満を言うのは難しいが、個人的には満足していない。重要な開放時の画質は改善がそれほど顕著ではなく、実写では差がほとんど分からない。軸上色収差が目立つことも気がかりだ。これらのことが、しばしばシグマよりも良好な性能を見せるずっと廉価なメーカー純正の35mm F1.8を買う理由になるかもしれないが、廉価な純正の35mmが存在しないキヤノンユーザーの間では人気のレンズになるかもしれない。
  • 良い点: ハイクオリティな鏡筒、中央の素晴らしい画質、倍率色収差が良く補正されている、歪曲がそれほど気にならない、非点収差がよく補正されている、ライバルよりも周辺光量落ちがかなり少ない、AFが静か。
  • 悪い点: 開放付近で隅の画質が低すぎる、軸上色収差が目立つ、コマ収差が顕著。

 

開放では全体的に少し甘いようですが、少し絞れば問題はなさそうです。新型の光学性能は旧型と比べると全体的に改善されており、正常進化モデルと言ってよさそうですが、ズバ抜けた性能を持つ同じシグマの35mm F1.4 DG HSMほどのインパクトは無さそうですね。