トキナーAT-X 12-28 PRO DX (12-28mm F4)の光学性能は旧型よりも若干改善されている

LensTip に、トキナーのAPS-C用の広角ズーム「AT-X 12-28 PRO DX 」のレビューが掲載されています。

Tokina AT-X PRO DX 12-28 mm f/4

  • ズームリングは心地よい感触で、十分な重さがあり、均一に回転する。フォーカスリングは非常に手触りがよく快適で、MFではとても正確にピントを合わせることができる。フォーカスリングの回転角は90度だ。フォーカシングシステムは時代遅れで、AFモードでマニュアルでのピント調整はできない。
  • 解像力テストは、ニコンD7000のRAWファイルで行った。良像の基準は37-39lpmmだ。
  • 中央の解像力は、絞り開放から既に満足の行く結果だ。最も弱いのは20mm開放時だが、この条件でさえ、MTFは40lpmmを少し超えており、実用的だ。1-2段絞ると解像力は(ズーム全域で)50lpmm付近に達する。解像力のピークは広角側でF8に絞ったときで、52lpmmになる。
  • 隅の解像力は、明らかに12mmがベストで、開放からしっかりとしている(41lpmm前後)。望遠側は顕著に解像力が落ち、満足のいく画質を得るにはF6.3-7.1まで絞らなければならない。
  • 解像力の全体の評価は肯定的なもので、このレンズはズーム域を広げながら、旧型のトキナー12-24mm F4 と非常によく似た性能となっている。トキナー12-28mm F4 は、ニコンの12-24mmやタムロンの10-24mmよりも良好な性能だ。
  • 軸上色収差は、望遠側では若干問題で、F4とF5.6ではボケに明確な色付きが見られる。この色付きはそれほど強くはないが、確実に目立つ。
  • 倍率色収差は、トキナーの広角レンズ(11-18 F2.8 II と12-24mm )では、これまでも問題があったが、残念ながら12-28mmでは更に悪くなっている。12mm開放では倍率色収差は0.32%の恐ろしい値だ。絞ると倍率色収差はゆっくりと減少するが、絞り込んでも0.27%の非常に大きな色収差が残っている。望遠側にズームすると倍率色収差は改善するが、20mmで0.22-0.24%、28mmで0.16-0.18%で良好な値にはならない。
  • 歪曲は広角端で-2.96%のタル型で、このクラスでベストのレンズと比べると自慢できる値ではない。望遠側では20mmで0.05%、28mmで0.26%で歪曲は実質的にゼロだ。
  • 周辺光量落ちは12mm開放で-1.28EV(36%)で、それほど大きくはないが、それほど小さくもない。周辺光量落ちはF5.6で-0.65EV(20%)、F8で-0.37EV(12%)で、F11ではほとんど気付かない大きさになる。望遠側は20mm開放で-0.54EV(17%)、28mm開放でわずか-0.45EV(14%)で、実に素晴らしい。このカテゴリでは、12-28mmは間違いなく賞賛に値する。
  • 逆光耐性は11-16mm F2.8 II は厳しかったが、12-28mm F4は11-16mm F2.8 II ほど悪くはない。しかし、まだ自慢できるものではなく、太陽がフレーム外にある場合でもゴースト・フレアが発生するのが特に辛い。最も問題なのは12mmで、絞り値や太陽が画面内にあるかどうかにかかわらず、とても頻繁にフレアが現れる。
  • 20mmでは逆光耐性は顕著に改善し、開放ではほとんどゴーストは出ないが、太陽が画面隅の外側にあるときには、絞るとコントラストが顕著に低下する。逆光耐性は、28mmでも20mmと似た状況だ。
  • AFはSD-M(サイレント・ドライブモジュール)という新メカニズムを採用しているが、このパフォーマンスには若干がっかりした。作動音は、旧型のようなウィーンという音はしないが、超音波モータよりもうるさい。加えて、AFはそれほど速くはない。AF精度に関しては、テストでは全く合焦ミスが無く、問題はなかった。
  • 12-28mm F4 は性能にムラがある。中央の画質は優秀だが、一方で逆光には弱い。周辺光量落ちはクラストップだが、色収差はクラスで最低だ。このレンズを明確に評価するのは難しい。旧型の12-24mmと比べると少し性能が向上しており、同じ価格で4mm広い焦点域と若干良好な性能が得られるなら不満は無いはずだ。
  • 良い点: しっかりとした鏡筒、中央のとても良好な解像力、隅の広角側の良好な解像力、球面収差が適切に補正されている、非点収差がわずか、このクラスとしては周辺光量落ちが少ない、価格が適切。
  • 悪い点: 色収差が恐ろしいほど大きい、逆光に弱い。

 

若干辛口の評価のように感じますが、結論では評判の良かった旧型の12-24mmの光学性能を少し超えているということなので、新型はズームレンジがかなり広がったことを考慮すれば、結構がんばっていると言ってもいいかもしれません。ただ、倍率色収差と逆光耐性は、旧型からあまり改善されていないようで、この点は少し残念ですね。