ニコン300mm f/4E PF VRはしっかりとした性能だが逆光に弱い

photozone に、ニコンの望遠単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF VR」のレビューが掲載されています。

Nikkor AF-S 300mm f/4E PF VR (FX) - Review

  • このレンズは焦点距離の割りに驚くほどコンパクトで、最初に見た時には、これが300mmとは信じられなかった。そして、価格も信じられないほど旧型から大幅に上がっている。
  • 鏡筒はハイクオリティなプラスチック製で、造りは非常にしっかりとしている。
  • AFは非常に速く、ほとんど作動音はしない。フォーカシングでレンズの全長は変わらず、前玉も回転しない。
  • 手ブレ補正に関しては、このレンズはD800シリーズで1/125秒前後のシャッターでブレるという問題が確認されており、修正ファームが提供されているが、多くのD800/810のユーザーがまだ不満を持っている。テストでは、この問題の発生しないD3Xを使用したが、VRの効果は少し弱めで、同時にテストした80-400mm VRよりも弱い。これは、このレンズが軽量なためにブレやすいのかもしれない。
  • 三脚座はオプションでRT-1が用意されている。ニコンは三脚座に関してはあまり評判が良くないが、残念ながらRT-1にもこれが当てはまる。この三脚座は一脚用としては問題無いが、三脚でしっかり固定したい場合は芳しくなく、実際に、スタジオのMTFテストでは、三脚座を使うと解像力が悪くなる。
  • 歪曲は0.64%の小さめの糸巻き型で、通常は問題無いだろう。歪曲の形は整っているので、後処理での補正は容易だ。
  • 周辺光量落ちは、開放で1EVをわずかに下回っており(0.97EV)、穏やかだ。絞れば改善し、F5.6以上ではほとんど目立たなくなる。
  • 解像力は、中央は開放から素晴らしい(excellent)。周辺部と隅は中央より少し低くなるが、どの絞り値でも、とても良好な解像力(very good)を維持している。
  • 倍率色収差は、隅で平均1.1から1.3ピクセルで、少し目立つが、これはカメラ内で(または後処理で)補正できる。軸上色収差は、よく補正されている。
  • ボケは、前ボケは少し不満だが、実写では前ボケが問題になることは希だろう。より重要な後ボケは、とても滑らかだ。玉ボケはわずかに輪郭線が付くが、概ね満足の行くものだ。
  • 逆光耐性は、回折素子(PFレンズ)を採用したレンズは弱い傾向があり、残念ながらこの300mm f/4E PF VRも例外ではない。強い光源に向うと、大規模なフレアが出てコントラストが大幅に低下し、場合によっては、メインの被写体がほとんど見えなくなってしまう。もう1つ問題があり、画像にハイライト部分があると、その周囲にハロ(にじみ)が非常に目立つ。
  • 300mm f/4E PF VR は非常にしっかりとした性能のかわいらしい小さなレンズで、使っていて大いに楽しめる。残念ながら欠点もあり、VRの効果がその1つだが、これは我々の評価にはそれほど影響していない。しかし、フレアとハロは別で、光源の方向やハイライトの強さによっては、写真が完全にダメになってしまうことがある。この問題が分かっていて、それに対処できるか、或いは許容できるなら、このレンズは非常に有用なレンズだ。

 

300mm f/4E PF VR は、非常にコンパクトなサイズにもかかわらず開放から隅まで高解像力で、解像力の点ではとても優秀なレンズという印象です。ただ、キヤノンのDOレンズと同様に、回折素子特有の問題はあるようなので、逆光時のフレアや、ハイライトのにじみには注意が必要ですね。