パナソニック12mm F1.4は価格が高すぎる

LensTip に、パナソニックの広角単焦点レンズ「LEICA DG SUMMILUX 12mm F1.4 ASPH.」のレビューが掲載されています。

Panasonic Leica DG Summilux 12 mm f/1.4 ASPH

  • 鏡筒は金属製で、「日本製」の記載がある。フォーカスリングはフォーカスバイワイヤ(モーターによる駆動)で、適切な重さがあり滑らかに回転する。フォーカスリングの回転角は、最短から無限遠までおおよそ180度だが、回転の速さによって回転角は変わる。
  • 中央の解像力は、開放で64lpmm(良像の基準値は44-45lpmm付近)に達しており、絞ると75lpmmを超える実に良好な値だ。これはレコード(これまでの最高記録)には及ばないが、この解像力はパナソニック14mm F2.5やオリンパス12mm F2を上回っている。
  • 隅の解像力は、開放から基準値を少し超える値で、ピークのF5.6では55lpmmに達するかなり良好な値だ。このレンズは、左端と右端の解像力が明らかに異なっていたので、解像力のグラフには左右の解像力の平均値を使用している。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)は非常に目立つ。倍率色収差は、開放時に0.08%、その他の絞り値では0.06%の低い値で問題は無い。
  • 球面収差には大きな問題は無いが、補正は完璧ではない。フォーカスシフトは見られなかった。
  • 歪曲はJPEGでは自動補正され-0.48%のタル型だが、未補正のRAWでは-5.39%の非常に大きな値だ。
  • コマ収差は画面の左と右で異なっており、左隅ではほとんど目立たないが、右隅は非常に目立ち、F2に絞っても改善しない。
  • 非点収差は10.3%の中程度のレベルだ。
  • 玉ボケはまずまず良好だが、縁取りが見られ、中央にドーナッツ状の模様が見られるので、このような大口径単焦点としては、今ひとつだ。
  • 周辺光量落ちは、開放では41%(-1.53EV)で目立つが、より大きなセンサー用のこの種のレンズと比べて特に高い値ではない(富士フイルムのXF16mm F1.4は49%、キヤノンのEF24mm F1.4L II は78%)。絞ると周辺光量落ちは急速に改善し、F2では17%(-0.55EV)になり、F2.8では気付かないレベルになる。
  • 逆光耐性は芳しくなく、太陽が画面内にあると、多くのフレアが出る。太陽が画面の外に出ると改善するが、ゴーストが出て、フレアもまだ残る。
  • AFは、最短から無限遠まで約0.3秒で非常に速く、作動音も静かだ。AFを外したのは、スタジオと屋外の撮影で1%で、AF精度には全く問題は無い。前ピンや後ピンの傾向も見られなかった。
  • 価格を考慮しないでこのレンズのテスト結果を考察するのは難しいだろう。このレンズは、一部のフルサイズ用の24mm F1.4よりも高価だ。フルサイズ用のレンズが、歪曲補正を後処理に頼っていないことを考えると、全てのカテゴリで素晴らしい結果だったとしても、この極めて高い価格はまだ批判されるべきだ。ライカとパナソニックの品質管理(画面の左右で画質が異なる点に関して)も問題だ。
  • 良い点:しっかりとした金属製の鏡筒、中央の非常に良好な画質、隅の妥当な画質、倍率色収差がごくわずか、絞ると周辺光量落ちが素早く改善する、静かで速いAF。
  • 悪い点:画面の左と右がはっきりと解像力が異なる、軸上色収差の問題、画面の右側のコマ収差、RAWでは歪曲が大きい、逆光耐性が今ひとつ。

 

解像力は開放から十分使えるレベルで、絞ったときにはかなり優秀な値ですが、テストした個体は左右で解像力がかなり異なっていて明らかに調整不足のようなので、きちんと調整された個体なら更によい結果になった可能性が高そうです。

また、価格の高さが指摘されていますが、国内よりも海外の方が販売価格が高いようなので、日本では少し事情が異なるかもしれません(とは言え、国内でも高価なレンズですが)。