キヤノンEF85mm F1.4L ISは開放からシャープで後ボケは絹のように滑らか

OpticaLimits(旧称Photozone)に、キヤノンの中望遠単焦点レンズ「EF85mm F1.4L IS USM」のレビューが掲載されています。

 Canon EF 85mm f/1.4 USM L IS - Review / Test Report

  • 造りのクオリティは、キヤノンのLクラスのレンズに期待した通りの見事なものだ。鏡筒は、ハイクオリティなプラスチックがベースで、金属製ではないようだ。
  • フォーカスリングは、滑らかに回転する。フォーカシングでレンズの全長は変わらない。
  • 付属のフードは円形で短く、少々残念なものだ。
  • EF85mm F1.2L II のAFは遅かったが、このレンズではAF速度は改善されている。
  • 手ブレ補正は公称4段分の効果だが、ファインダーでは明らかに手ブレ補正が効いているように見えているにもかかわらず、1/20秒で撮影してそれほどシャープな結果は得られなかった。使用した個体が不良品だったのかもしれない(読者からのフィードバックを考慮すると、これは我々の使用した個体固有の現象だと思う)。
  • 歪曲は、0.244%のごくわずかな糸巻き型だ。
  • 周辺光量落ちは、開放では1.79EVで、この種のレンズとしては標準的だ。F2に絞ると周辺光量落ちは1.06EVに減少し、F2.8以上では解消する。
  • 50MP機(5Ds R)による解像力テストでは、多くのレンズが叩きのめされるが、このレンズは健闘している。中央は開放ではとても良好で、周辺部もまずまずだ。F2.8に絞ると大幅に解像力は上がり、ピークのF4とF5.6では、中央は極めてシャープになり、周辺部と隅もとても良好になる。F11以上では回折の影響がいくらか目立つ。

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  • 21MP機(5D II)による解像力テストは、このレンズにとっては楽勝で、開放から画面全域でとても良好だ。F2に絞ると主に中央の解像力が改善し、F4とF5.6では実に見事な結果が得られる。

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  • テストした個体の偏芯は少なかった。また、このレンズの像面の湾曲は小さい。
  • 倍率色収差は、どの絞り値でも低い値だ。ピークのF1.4では画面の隅で平均1.1ピクセルで、絞ると中程度の絞り値までは減少する。
  • 玉ボケは、内部が滑らかで素晴らしい描写だ。F2.8までは完璧な円形が保たれている。少なくとも伝統的なレンズとしては、玉ボケは最高だ。とは言え、開放では画面の中間域から口径食の影響が見られる。このレンズは前玉は比較的小さく、シグマ85mm F1.4 Art よりも口径食が目立つ。
  • 通常のボケは、前ボケも滑らかだが、後ボケはより一層、絹のように滑らかだ。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)は、開放では前ボケに紫、後ボケに緑の色が付く。絞ると軸上色収差は減少するが、F4でもわずかに残っている。また、軸上色収差のテスト画像からは、このレンズにはフォーカスシフト(絞ったときのピント位置の移動)が見られないことが分る。
  • 逆光耐性は平均以上だ。
  • EF85mm F1.4L ISではEF85mm F1.2L II の解像力とAF速度の問題が解決しており、開放からとてもシャープで、絞ると見事な解像力になる。ボケは素晴らしいが、口径食が目立つ。鏡筒のメカには全く弱点は見当たらないが、フードを短くしたのには困惑している。フードはこの2倍の深さが欲しい。
  • 全体のクオリティを考えると、このレンズを「大いに推薦」するのに頭を悩ます必要はないだろう。ライバルはシグマの85mm F1.4 Artだが、キヤノンのレンズには、AFがより一貫しているという利点がある。

 

光学性能の評価は5点満点中4.5点で、このサイトとしては極めて高い評価になっています。解像力は、高画素機でのテストでは芳しくない結果になるレンズも多い中、このレンズは優秀で、50MP機でも全く不満のないレベルですね。ボケは、特に後ボケが非常に綺麗で、ポートレートレンズの面目躍如と言ったところでしょうか。