シグマ105mm F1.4 DG HSM Artは見事な光学性能

LensTip にシグマの大口径中望遠レンズ「105mm F1.4 DG HSM Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 105 mm f/1.4 DG HSM

  • フォーカスリングは適切な重さがあり、滑らかに回転する。最短から無限遠までの回転角は約150度で、AFレンズとしては実用的な大きさだ。
  • 中央の解像力は、開放で44.4lpmm(良像の基準値は30-32lpmm)で、これはF1.4での解像力としては、これまででテストしたレンズの中で余裕を持ってトップの値だ。F2.8に絞ると解像力は53.1lpmmになり、この値はシグマ135mm F1.8 Artにはわずかに及ばないが、違いは誤差の範囲内だ。
  • 隅の解像力は開放で35lpmmに近く、F2.8からF5.6では40lpmmを超える素晴らしい値だ。全体としてこのレンズは見事な解像力だ。

sigma105f14_mtf001.jpg

  • 解像力をライバルと比べると、シグマの3本のレンズ(85mm F1.4 Art、105mm F1.4 Art、135mm F1.8 Art)は、キヤノンの85mm F1.4L ISとニコンの105mm f/1.4Eに解像力で優っている。

sigma105f14_mtf_comp001.jpg

  • 軸上色収差の補正は完璧ではなく、ボケに若干色が付くが、非常にわずかなので実写では大きな問題はないだろう。
  • 倍率色収差は、0.04から0.06の範囲内で「低い」と「無視できる」のレベルのボーダーライン上だ。これは称賛に値する。
  • フォーカスシフトは若干見られ、F1.4からF2に絞るとピント位置がわずかに後ろ側に移動する。
  • 歪曲は、+0.33%の非常に小さな糸巻き型で、ニコンの105mm f/1.4Eが1.22%に達することを考えると、ここではシグマは非常に肯定的な評価だ。
  • コマ収差は極めて良く補正されており、APS-Cの隅では全く見られない。フルサイズの隅ではごくわずかにコマ収差が見られるが問題はない。ここではニコン105mm f/1.4Eよりもシグマが優れている。
  • 非点収差は4.5%で全く問題はないが、ニコン105mm f/1.4Eは1.8%でシグマよりも更に良好な性能だ。
  • 玉ボケは滑らかで輪郭も目立たず、絞っても同様だ。重要なのは、口径食がF2まで絞るとほぼ完全に消えることだ。ニコンはF2.8に絞っても口径食が残るので、シグマとの差は大きい。
  • 周辺光量落ちは、開放では47%(-1.85EV)で、面白いことにニコンと同じ値だ。F2に絞ると25%(-0.82EV)の穏やかな値になるが、ニコンはF2で30%でシグマよりも大きな値だ。
  • 逆光ではゴーストやフレアは出るが、極端に強いものではなく煩わしくはない。逆光耐性はまずまず良好だ。
  • AFは非常に静かだが、最短から無限遠までは1秒前後で速いとは言えない。AF精度は中央と中央付近の測距点では信頼できるが、周辺部の測距点では顕著に悪くなり、30%前後ピントを外した。後ピンや前ピンの傾向は見られなかった。
  • シグマ105mm F1.4 の価格は高く、大きさは5Ds RやD850と組わせると中判システム並みだが、見事な光学系がしっかりとした鏡筒に収められており、大きな欠点も見られない。
  • 良い点:丈夫でスタイリッシュな鏡筒、中央のセンセーショナルな画質、隅の素晴らしい画質、軸上色収差の問題がない、倍率色収差がわずか、素晴らしいコマ収差の補正、非点収差がわずか、満足の行くボケ、静かなAF。
  • 悪い点:開放で周辺光量落ちが目立つ、大きくかなり重い。

 

105mm F1.4は、Artシリーズのレンズらしく解像力は素晴らしく高く、スタジオテストの結果は申し分が無いものですね。また、ボケも綺麗で、高い解像力とボケを上手く両立しているという印象です。コマ収差や非点収差が良く補正されているので、天体写真用としても良さそうなレンズですね。