ニコン「AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR」は多くの妥協が見られるが価格を考えれば満足の行く性能

LensTip に、ニコンのDX用の広角ズーム「AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor AF-P DX 10-20 mm f/4.5-5.6G VR

  • ズームリングは適切に動作するが、重さは均一ではない。これはズーム両端よりも中間域でより顕著だ。
  • 手ブレ補正の効果は、テストでは望遠端で2.7段分で公称値の3.5段分を下回ったが、この結果はキヤノンのEF-S10-18mm IS STMよりも高い値だ。
  • 中央の解像力は、開放からズーム全域で実用になる値(良像の基準値は41-43lpmm付近)で、ビギナーには十分以上だ。絞ると更に解像力は改善し、F8では60lpmmに達する。ここでは素晴らしい性能だ。

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  • 隅の解像力は、開放から完全に実用になるのは広角端の10mmだけで、加えて絞っても中央と異なって改善せず、全域で45lpmmを超えない。望遠側では更に解像力は低下し、20mmではF11まで絞らないと許容範囲の画質に達しない。

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  • 軸上色収差は、実写ではわずかにボケに色が付くが大きな問題はない。
  • 倍率色収差は、ズーム全域で0.17-0.18%の高いレベルで、このレンズのウィークポイントだ。
  • フォーカスシフトは被写界深度が深いので確認しにくいが、軸上色収差のテスト画像でF5.6からF8に絞ったときに、ピントが後方に移動していることが見て取れる。
  • 歪曲は広角端が最も大きく-3.28%のタル型で、これは興味深いことに、より高価なニコンの10-24mmの-3.77%よりも小さい。12mmでは歪曲は-1.84%に減少し、それ以上の焦点距離ではほぼ解消する。
  • コマ収差は、隅の像の崩れはわずかで大きな問題はない。コマ収差はニコンの10-24mmよりも良好だ。
  • 非点収差は良く補正されているのは望遠端(3.9%)だけだ。広角端から中間域では23.4%で、かなり問題がある。
  • 玉ボケは不均一で良好には見えないが、このカテゴリの他のレンズも同様だ。
  • 周辺光量落ちは10mm開放で44%(-1.67EV)の高い値で、ニコン10-24mmの10mm開放時の39%よりも大きい。絞るとF5.6で29%(-0.98EV)、F8で19%(-0.63EV)に改善する。
  • 逆光耐性はこのカテゴリのレンズは弱いことが多いが、このレンズは良好で称賛に値する。10-15mmでは逆光耐性は全く問題がなく、望遠端では少しフレアが出るが、せいぜい中程度の強さのものだ。
  • 新しいステッピングモーターを採用しているAFは、作動音はせず、速度は無限遠から最短までに0.2-0.3秒で、とても素晴らしい性能だ。AF精度は全く問題なかった。
  • このレンズには多くの妥協が見られるが、それでも310ドルを下回る価格のレンズとしては、最終的な結果は満足のいくものだ。
  • 良い点:中央の良好な画質、軸上色収差が良好に補正されている、コマ収差が穏やか、逆光耐性が優れている、静かで極めて速く正確なAF。
  • 悪い点:望遠側の隅の画質、倍率色収差がズーム全域で大きい、非点収差が顕著、プラスチックの鏡筒とマウント。

 

様々な面で妥協が見られるレンズのようですが、実売で3万円台の価格のレンズであることを考えると十分な性能と言ってよさそうです。逆光耐性に優れているのは、このレンズの大きなアピールポイントになりそうですね。