ニコン「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」は逆光時のコントラスト低下が唯一の弱点

LensTip に、フレネルレンズを採用したニコンの超望遠レンズ「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor AF-S 500 mm f/5.6E PF ED VR

  • フォーカスリングは、遊びは全くなく、十分な重さがあり滑らかに動く。最短から無限遠までの回転角は約200度で、AFレンズとしては非常に大きい。
  • 手ブレ補正は公称4段分の効果だが、テストでは4.3段分の効果で、これは素晴らしい性能だ。
  • 解像力は、中央は開放(F5.6)で43lpmm(良像の基準値は30-32lpmm付近)で、理想的に収差が補正されているレンズでもF5.6では回折による制限で47~48lpmm程度なので、このレンズの値は称賛に値する。この解像力は300mm f/4E PFと同程度で、200-500mm f/5.6Eよりも若干優っている。
  • 隅の解像力は最高とか言いようがない(開放で37lpmm前後)。このレンズは、実に良く収差が補正されており、開放から画面全域で優れた解像力だ。

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  • 軸上色収差は開放でも全く見られない。
  • 倍率色収差は0.03%から0.04%の極めて低い値で、実写では気付かないだろう。
  • 球面収差の補正は全く問題がなく、フォーカスシフトは全く見られなかった。
  • 歪曲は+0.39%のわずかな糸巻き型で、ほぼ完璧に補正されている。
  • コマ収差の補正は見事で、中央と隅でダイオードの形はほとんど同じだ。
  • 非点収差は5.9%で、これは「低い」と「非常に低い」の境界線上で全く不満は無い。
  • 玉ボケは中央に輝点が見られるが、これがなければパーフェクトだった。
  • 周辺光量落ちは、開放で21%(-0.69EV)の非常に穏やかな値で、F8に絞ると6%(-0.19EV)になり解消する。
  • 逆光ではゴーストは大きな問題はないが、コントラストの低下は深刻な問題で、これはフレネルレンズ最大の欠点だ。コントラストの低下は、太陽が画面の隅からかなり離れている場合でさえ発生する。夜景のPFフレアの問題は、300mm f/4でもそれほど深刻な問題ではなかったが、500mm f/5.6では更に改善されている。
  • AFは作動音はしないが、最短から無限遠まで0.8~0.9秒でそれほど速くはない。幸いなことにフォーカスリミッターを使えば、0.3~0.4秒まで短縮できる。AF精度は、スタジオ内のテストでも屋外のテストでも一貫して高く、前ピン後ピンの傾向もなかった。
  • このレンズは小型軽量で扱いやすく、開放からシャープで、全ての収差がほとんど完璧に補正されている。我々が見つけることができた唯一の弱点は逆光耐性で、これはフードを使用し、上手くフレーミングすることで対応できるだろう。このレンズに編集者賞(エディターズ・チョイス)を贈る。
  • 良い点:素晴らしい中央の画質、良好な隅の画質、軸上色収差が見られない、倍率色収差がわずか、球面収差が微小、歪曲がほぼゼロ、コマ収差の補正が完璧、非点収差の補正が良好、周辺光量落ちがわずか、静かで正確なAF、非常に効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点:逆光時に顕著なコントラストの低下が見られる。

 

解像力は開放時がピークで画面全域で非常に優秀ですね。色収差や歪曲、周辺光量落ち、非点収差、コマ収差の各項目も全く問題なく、収差は極めてよく補正されているようです。

唯一の弱点は逆光耐性で、ゴーストはあまり見られないようですが、光源の位置によっては画面全体が真っ白になってしまうのが少々気になるところです。