シグマ「35mm F1.2 DG DN Art」は画面の隅まで高画質なレンズ

LensTipに、シグマのフルサイズミラーレス用の大口径広角単焦点レンズ「35mm F1.2 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma A 35 mm f/1.2 DG DN

  • フォーカスリングはフォーカスバイワイヤ(モーターによる駆動)で、適切な重さがあり、非常に滑らかに動く。最短から無限遠までの回転角は580度と極めて大きく、正確なピント合わせができる。
  • 中央の解像力は開放で既に50lpmm(良像の基準値は39-41lpmm)に達しており、絞ると急速に改善し、ピークのF2.8では72.9lpmmに達する。これは結果はセンセーショナルなものだ。これはα7R IIによるテストでは3番目に良い値で、F1.4-2.8の範囲ではサムヤンのAF35mm F1.4 FEよりも顕著に優れている。
  • 隅は開放でさえ実用的な画質が得られ、絞れば60lpmmに近い値になる。隅の解像力は、これまでα7R IIでテストしたレンズの中ではトップだ。

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  • 軸上色収差の補正は完璧ではなく、絞った場合でも若干ボケに色が付くが、大きな問題ではない。
  • 倍率色収差は大部分の絞り値で0.03%程度で、全く目につかず、非の打ち所がない。開放付近では倍率色収差は若干大きくなるが、それでもなお低い値だ。
  • フォーカスシフト(絞った時のピント位置の移動)は全く見られないが、球面収差の補正は理想的とは言えない。
  • 歪曲は-2.53%のタル型で、35mmのレンズでこれだけ大きな歪曲は見たことがない。ここではシグマは他社の古い35mmレンズに遅れを取っている。
  • コマ収差の補正は完全ではなく隅で若干変形するが、それでも変形はわずかで、F1.2のレンズのコマ収差補正の困難さを考えれば不満は無い。
  • 非点収差は7.5%の穏やかな値で、心配は無い。非点収差が目に見えるのはF1.2とF1.4の時で、F2に絞ると完璧に目につかなくなる。
  • 玉ボケは良好に見えるが、2つ気になる点があり、1つは若干年輪ボケが見られることで、もう1つは開放では口径食がとても顕著なことだ。
  • 周辺光量落ちは、開放のF1.2では73%(-3.76EV)、F1.4でもまだ66%(-3.15V)で、このレンズの非常に弱い部分だ。F2でも45%(-1.71EV)で、まだ目立つ。サムヤンの35mm F1.4 FEは開放で64%で、シグマをF1.4に絞った時よりも優れている。
  • 逆光では太陽が画面内にある場合は問題ないが、画面外に出ると太陽と反対側に明確なゴーストがでる。逆光耐性は深刻なものではないが、歪曲、周辺光量落ちに続く、このレンズの3つめの弱点なのは確かだ。
  • AFは作動音はしないが、最短から無限遠まで約1秒で特別速いわけではない。AF測距点のサイズを小さくすると、コントラストのある被写体でさも、AFが遅くなり、迷いも多くなる。屋外でもスタジオでもAF精度に関する問題は見られなかった。
  • このレンズは画面全域で高画質で、非常に優れた性能だ。大口径レンズで画面の隅まで高画質にするのは、高価なミラーレス用レンズでも難しいことなので、これは本当に大きな成果だ。この大きさ重さにも関わらず、口径食と歪曲は非常に大きいが、これはおそらく全域で高解像力を維持するために収差を完全に補正しなかったのだろう。しかし、我々の意見としては、ゴーストは回避できたと思うので、そこに力を入れなかったのは残念だ。
  • 良い点:中央のセンセーショナルな画質、隅の良好な画質、軸上色収差がわずか、倍率色収差が目に付かない、コマ収差が実用的に補正されている、非点収差が少ない、静かで正確なAF。
  • 悪い点:ライバルよりも歪曲が大きい、逆光耐性が少々弱い、周辺光量落ちが極めて大きい。

 

このレンズは、F1.2の大口径広角レンズにもかかわらず、開放から画面の隅まで高解像力で、これは一昔前のレンズでは考えられない性能ですね。口径を考えると色収差やコマ収差なども良く補正されているようです。

ただ、周辺光量落ちや歪曲などは大きめで、この点ではF1.4クラスのライバルには敵わないようですね。