ニコン「Z24mm f/1.8S」は多くのカテゴリで「AF-S24mm f/1.8G」に劣っている

LensTip に、ニコンのZマウント用の広角単焦点レンズ「Z 24mm f/1.8 S」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 24 mm f/1.8 S

  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーター駆動)だ。最短から無限遠までの回転角はリング回す速度によって変わり、速く回すと約90度、遅く回すと180度を超える。非常にゆっくり回すした場合は、ピント位置が変わらない。
  • 金属製のフォーカスリングは、滑り止めの溝に非常に傷が付きやすく、カメラバッグ内でレンズ同士が擦れると容易に傷が付く。
  • 中央の解像力は、開放から50lpmm(良像の基準は42-44lpmm)を超えており、とにかく見事だ。絞ると急速に改善し、F4では80lpmmに達する。一眼レフ用のAF-S 24 mm f/1.8Gもこのカテゴリではハイレベルなレンズだが、80lpmmには達しない。
  • 隅の解像力はF1.8とF2では良像の基準値を下回り、残念ながら不満がある。隅で良像をえるにはF2.8まで絞る必要がある。中央と隅の解像力の違いは非常に大きく、F4ではその差は20lpmmを超える。AF-S24mm f/1.8Gは中央と隅の解像力の差が小さく、このレンズとの勝負では、Z24mm f/1.8Sの負けを認めざるを得ない。

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  • 軸上色収差の補正は完璧ではなく、ボケには若干の色が付いていることがわかり、1段絞ってもわずかに色が残っている。
  • 倍率色収差は絞りにかかわらず0.03%前後の非常に低い値で、実写では全く影響はない。
  • 軸上色収差のテスト画像でフォーカスシフト(絞りによるピントの移動)が見られ、F1.8からF2.8に絞ったときに後ろ側にピントが移動しているのがわかる。
  • 歪曲は-2.07%のタル型で、一眼レフ用の24mm f/1.8Gや24mm f/1.4Gと同程度だが、歪曲の形はいくらか陣笠状だ。
  • コマ収差は目立ち、これはこのレンズの隅の解像力が弱い原因の1つだ。1段絞ってもコマ収差は目立つ。しかし、それでもコマ収差は24mm f/1.8Gよりは良好だ。
  • 非点収差は20.4%の大きな値で、24mm f/1.8G(非点収差は3.1%)よりも顕著に劣っている。
  • 玉ボケは広角レンズとしては、とても素晴らしい。リングボケは見られるが、縁取りは見られず、口径食は開放時以外は目立たない。
  • 周辺光量落ちは開放で59%(-2.57EV)で、24mm f/1.8G(-2.00EV)よりも劣っている。F2に絞っても53%(-2.18EV)の高い値で、F2.8でも35%(-1.24EV)でまだかなり目立つ。周辺光量落ちを穏やかにするには、F4まで絞る必要がある(F4で-0.82EV)。
  • 逆光耐性はとても良好で、絞りにかかわらず、ゴーストやフレアを出すのは難しい。逆光耐性は24mm f/1.8Gから明確に改善している。レンズの画角と複雑なレンズ構成を考えると、逆光耐性は称賛に値する。
  • AFは静かだが無音ではない。AF速度は、最短から無限遠まで約0.7秒でほどほどだ。AFには、最短から遠方の被写体にピントを合わせると、合焦点付近でAFが迷うことがあるという問題が見られた。迷いは0.2~0.4秒続き、その後に合焦する。AF精度の問題は見られなかった。
  • Z24mm f/1.8S には、あまり感心しなかった。このレンズはミラーレス専用設計で価格も一眼レフ用の24mm f/1.8Gの2倍なので、非常に期待していたが、多くのカテゴリで24mm f/1.8Gの後塵を拝することになった。この結果はZシリーズの単焦点で最も芳しくないものだ。それらを考慮すると肯定的な評価はできない。中央は極めてシャープで、ハイクオリティな写真は撮れるが、高価なのでコストパフォーマンスは凡庸だ。
  • 良い点:総金属製で頑丈な防塵防滴の鏡筒、色収差がわずか、歪曲に大きな問題がない、静かで正確なAF、逆光耐性が非常に優れている。
  • 悪い点:周辺光量落ちが顕著、コマ収差が非常に大きい、非点収差が顕著、開放時の隅の画質が弱すぎる。

 

ePHOTOzineのレビューでは絶賛されていたZ24mm f/1.8 S ですが、ここではかなり厳しい評価になっています。

ここまで評価が違うと、どちらを信じてよいものか迷ってしまうところですが、各所で上げられているサンプル画像を見る限りでは、現代的な切れ味のいい描写をするレンズという印象なので、テストしたレンズの個体差もあるのかもしれませんね。