ニコン「Z 24-70mm f/4 S」は隅の解像力が低めだがキットレンズとしては満足のいく性能

LensTip に、ニコンのZマウント用の標準ズーム「Z24-70mm f/4 S」のレビューが掲載されています。

Nikon Nikkor Z 24-70 mm f/4 S

  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーターによる駆動)で、適切な重さがあり滑らかに動く。最短から無限遠までの回転角は、速く回すと約100度、遅く回すと約180度で非常に正確なピント合わせができる。
  • 中央の解像力は、ピークで80lpmmを超えてくるZマウントの単焦点レンズ群とは大きな違いがあり、Z24-70mm f/4 S は70lpmmにも届かない。それでも、望遠端では開放から50lpmmを超えており(良像の基準値は42-44lpmm)、良好な性能だ。

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  • 隅の解像力は、開放時はズーム全域で同程度(38lpmm前後)で、実用的とは言えないが、幸いなことにF5.0(望遠端ではF8)まで絞れば、実用的な解像力になる。このレンズはズーム全域で中央とAPS-Cの隅は高画質だが、フルサイズの隅では少々問題があり、特に開放付近は弱い。

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  • 軸上色収差は50mmではほとんど見られないが、70mmではボケに若干色が付くのがわかる。しかし、これはわずかで文句は無い。
  • 倍率色収差は望遠端では完璧に抑えられており、ズーム中間域でも低いレベルで全く問題はないが、広角端では0.1%に近い中程度のレベルだ。しかし幸いなことに、絞ると倍率色収差は改善する。このカテゴリは標準ズームとしてはとても良好で、多くの状況で色ズレの問題はないはずだ。
  • 球面収差の補正に問題はなく、フォーカスシフトは全く見られない。
  • 歪曲はJPEGでは自動補正され、大きな問題はないが、未補正のRAWでは24mmで-5.28%の極めて大きな値で、しかも歪曲の形は測定値が小さくでる陣笠状だ。35mmでは歪曲はほとんどゼロになるが、70mmでは+3.95%の極めて強い糸巻き型なり、実写でも容易にわかる。
  • コマ収差はAPS-Cの隅ではごくわずかだが、フルサイズの隅では明確になり、特に70mmでは目立つが、それほど大きいわけではなくせいぜい中程度だ。
  • 非点収差は7.3%の穏やかな値で、焦点距離による差はほとんど無い。
  • 玉ボケは完璧からはほど遠く、若干のリングボケが見られ、軽い輪郭も見られる。輪郭は絞ると更に強くなる。口径食はF5.6までは目に付く。
  • 周辺光量落ちは、自動補正の効くJPEGでも24mm開放で51%(-2.09EV)とかなり大きい。未補正のRAWでは24mm開放で62%(-2.78EV)で、F5.6に絞っても50%(-2.02EV)と大きい値のままだ。
  • フレアやゴーストはほとんど見られず、逆光耐性は全く文句はない。このレンズでフレアやゴーストを出すのは容易ではなく、フレアやゴーストが出たとしても弱いものだ。
  • AFは作動音が全くせず、AF速度は最短から無限遠まで広角側では0.3-0.4秒、望遠側で0.7-0.9秒とまずまず速い。AF精度はスタジオでも屋外でも全く問題はなかった。
  • Z24-70mm f/4S はテストの結果ではニコンの意図した通りの性能を示しており、キットレンズとしては非常に堅実で、Zマウント機と一緒に購入した全ての人はその性能に満足すると思う。このレンズは単品では約1000ドルもするが、キットなら約600ドルで許容範囲内だろう。
  • 良い点:均整の取れた使い勝手の良い鏡筒、中央の良好な画質、軸上色収差が穏やか、倍率色収差の補正が良好、球面収差が少ない、非点収差の問題が見られない、逆光耐性が優れている、静かで正確なAF。
  • 悪い点:未補正のRAWでは歪曲にかなり問題がある、フルサイズの周辺光量落ちが極めて大きい。

 

ニコンZ24-70mm f/4 S は一番最初に登場したZマウントレンズの1つで、サンプルを見て、かなり高性能なレンズという印象を持ちましたが、今回のテストでは隅の解像力が少し低めで、LensTipの評価は他のZマウントレンズほど高くはないようです。

とは言え、キットレンズとして購入すれば高価なレンズではないので、価格を考えれば十分以上の性能と言ってよさそうです。