・Sigma 56mm f/1.4 DC DN Contemporary - Review / Test Report
- 鏡筒は金属とハイクオリティなTSC素材で造られており、しっかりと組み立てられている。
- MFはバイワイヤ(モーター駆動)で、幅広のフォーカスリングはなめらかに回転するが、残念ながらフォーカスの動きは非常に粗く、近距離から中距離にかけてはそれほど正確なピント合わせができない。この特性は16mm F1.4 DC DNと同様だ。
- AFはとても速く、作動音はほとんどしない。
- 歪曲は未補正では2.8%の糸巻き型で、この種の単焦点レンズとしてはかなり大きく、あまり感心しない。自動補正を使えば歪曲は0.6%になり、それほど問題はない。
- 未補正の周辺光量落ちは、APS-C用のレンズとしては開放で-1.72EVの極めて大きな値で、容易に目に付く。F2に絞ると-1.09EVに改善はするが、解消するにはF4以上に絞らなければならない。自動補正を有効にすると、周辺光量落ちは開放で-0.74EVになり、状況によっては目に見えるかもしれないが、大きな問題はなく、F2.8以上ではほぼ解消する。
- このレンズの解像力は見事で、開放から中央は非常にシャープで、周辺部も中央よりわずかに劣るだけだ。中央はF2からF5.6までズバ抜けた解像力で、周辺部と隅の解像力も非常に素晴らしい。回折の影響はF8以上で見られる。像面の湾曲は小さい。
- 倍率色収差は、ピークのF1.4で0.4ピクセルを下回っており非常に小さい。F2以上では倍率色収差は実質的にゼロだ。
- 玉ボケは内部が非常に綺麗で、輪郭も目立たず、画面中央では完璧に近いが、画面の中間部分から隅にかけては口径食が目立つ。玉ボケはF1.4とF2では円形が保たれているが、F2.8では絞りの形が見え始める。
- 後ボケは絹のようになめらかだ。前ボケは後ボケよりも若干固いが、それでもとても綺麗だ。
- 軸上色収差(ボケの色付き)はF1.4とF2では目に見えるがF2.8では解消する。これは、この種の非APOレンズでは標準的だ。
- ソニーFE55mm F1.8 ZAと比べるとシグマの方が少し解像力は高い。
- シグマ56mm F1.4 DC DNは小型で光学性能を重視しているが、それほど労せずに修正できる部分は妥協していて、ミラーレス用のレンズはどうあるべきかを示す好例だ。このレンズは開放から解像力が高く倍率色収差は少ない。単焦点レンズとしては歪曲が大きく、周辺光量落ちも目立つが、これらは自動補正や後処理で補正できる。このレンズの強みはボケのクオリティの高さだ。
- 56mm F1.4 DC DNは、そのクオリティの高さと非常に手頃な価格で、このクラスでは最高の選択肢となっている。大いに推薦する。
光学性能の評価は4点(5点満点中)と、このサイトとしてはかなり高い評価になっています。シグマの56mm F1.4 DC DN は、F1.4の大口径レンズにもかかわらず開放から高解像力かつボケもとても綺麗で、とてもコストパフォーマンスに優れたレンズですね。
歪曲の補正や周辺光量落ちは自動補正にまかせることで、光学性能とサイズ、価格のバランスが良いレンズに仕上がっているという印象です。
小松原
これでフルサイズEマウントだったらなぁ…。フルサイズ56ミリの画角って面白いと思うんですけどね。APS-Cだからここまでコンパクトに出来たって事もあるでしょう。
よたすけ
同シリーズの16mmF1.4/30mmF1.4使っていたので、最後のピースとしてEF-Mマウント用買って使っています。(最後のピースにふさわしく3本セット専用ケースが付属していました)
35mm換算で90mmとポートレート用に最適なレンズなのですが、現在コロナの影響で人物撮影の機会がほとんど無く、ほぼ花写真で使っていて、とにかく後ぼけが綺麗なのは同感です。
このシリーズのデジタル補正が効く部分は割り切って、効かない部分に注力した製品開発は見事です。
何年か前のCP+で山木社長がデカ重ARTシリーズとは違う高性能コンパクトなレンズが出来たら、みなさん買いますかと会場に尋ねていていたのですが、このときのイメージから出来た製品がAPS-CコンテンポラリーF1.4シリーズやライトバズーカじゃないかなと思っています。