ニコン「Z20mm f/1.8S」はZ24mm f/1.8SやZ35mm f/1.8Sに優る性能

LensTipに、ニコンのZマウント用の広角単焦点レンズ「Z 20mm f/1.8S」のレビューが掲載されています。

Nikkor Z 20 mm f/1.8 S - lens review

  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーターによる駆動)で、回転角は回す速度に依存する。最短から無限遠までは、速く回すと90度未満になり、遅く回すと180度を超える。
  • フォーカスリングは金属製で細かい溝がついているが、これは非常に傷がつきやすく、カメラバック内でレンズを隣り合わせに置くだけで傷がついてしまう。
  • 中央の解像力は開放付近から優れた値で、以前のテストでいくらか不満のあったZ24mm f/1.8Sはもちろんのこと、我々が称賛したZ35mm f/1.8Sよりも高い値だ。

    テストしたZレンズのうち、20mm f/1.8Sよりも中央が良好だったのは50mm f/1.8Sだけだ。しかし、Z20mm f/1.8 S は絞り込んだときの改善は75lpmmで止まるので、他のZレンズよりピークの解像力は低い。

    これは中央の解像力のレコード奪取よりも隅の解像力を重視したためだと思われる。超広角では賢明な判断だ。

    隅の解像力も比較的高い値で維持されており、Z24mm f/1.8SやZ35mm f/1.8Sよりも優れているだけでなく、Z50mm f/1.8Sをも超えており称賛に値する。

    絞っても解像力はそれほど高くならないが、このレンズは、開放から既に全域で高い解像力だ。このレンズは開放からシャープで、この画角のレンズにこれ以上の解像力を期待するのは難しいだろう。

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  • 軸上色収差は適切に補正されており、ボケの色付きは見られない。
  • 倍率色収差は「無視してよい値」と「低い値」の中間で、このレンズの焦点距離は考えると実に素晴らしい結果だ。この結果は、我々が以前のテストで大いに称賛したAF-S20mm f/1.8Gを少し上回っている。
  • フォーカスシフト(絞りによるピント位置の移動)は全く見られない。
  • 歪曲は-2.10%のタル型で、特に高い値ではなく煩わしくもないが、20mm f/1.8Gは-1.53%だったので、もう少しがんばってほしかった。
  • コマ収差は20mm f/1.8Gと同様に弱く、APS-Cの隅でも見られ、フルサイズの隅ではかなり顕著だ。1段絞ってもコマ収差は目立つ。これは天体写真を撮る人には良いニュースではないだろう。
  • 非点収差は12.9%で、「中程度」と「高い」の中間のレベルだ。ここでは20mm f/1.8Gの方が少し良好だ。
  • 玉ボケは年輪ボケが見られず、広角レンズとしては非常に素晴らしい。口径食は開放では見られるが、1~2段絞ると完全に解消する。拍手!
  • 周辺光量落ちは開放で57%(-2.47EV)で、一眼レフ用の20mm f/1.8Gよりも弱い。F2でも53%(-2.17EV)とまだ大きい値で、F2.8でも36%(-1.31EV)でまだ目立つ。周辺光量落ちはF4まで絞らないと穏やかな値(30%、-0.82EV)にはならない。
  • 画角が広く複雑な構成のレンズでは、逆光耐性を良くするのは非常に困難だが、ニコンの技術者は素晴らしい仕事をしており、このレンズの逆光耐性は全くもって見事だ。逆光耐性は、一眼レフ用の20mm f/1.8Gから大幅に改善している。
  • AFの作動音はほとんど無く、最短から無限遠までは0.5-0.6秒で実用的な速さだ。AF精度は屋外でもスタジオ内でも非常に高く、前ピンや後ピンの傾向は見られなかった。
  • 以前にテストしたZ24mm f/1.8S は、すごく印象的というわけではなかったが、Z20mm f/1.8Gの性能は嬉しい驚きだった。このレンズは開放から画面全域で均一な画質で、Z24mm f/1.8Sだけでなく我々が称賛したZ35mm f/1.8Sにも優っている。これは本当に大きな成果だ。
  • このレンズのウィークポイントは、周辺光量落ちとコマ収差の2つだけで、このうち周辺光量落ちは、この種のレンズでは誰も完璧に補正できるとは思っていないだろう。コマ収差はかなり苦しい欠点だが、このレンズの多くの優秀な点を考慮すれば、これは許容できると感じた。
  • 良い点:しっかりした防塵防滴の金属鏡筒、中央の非常に優れた解像力、隅の開放から実用的な解像力、軸上色収差が少ない、倍率色収差が目に付かない、歪曲に大きな問題がない、満足のいくボケ、静かで非常に正確なAF、素晴らしい逆光耐性。
  • 悪い点:周辺光量落ちが目立つ、コマ収差が大きな問題。

 

Z20mm f/1.8S は、収差の補正が難しい大口径の超広角レンズにもかかわらず、開放から画面の隅まで良好な解像力を実現しているのは素晴らしいですね。

フレアやゴーストがでやすい超広角なので、逆光耐性に優れているのもポイントが高いです。

周辺光量落ちは、超広角であることを考えれば許容範囲内という印象です。コマ収差が非常に目立つのは少々残念な点で、加えて非点収差も大きいので、天体用にはあまり向いてなさそうですね。