ニコン「Z6II」のデュアルプロセッサ化の効果はとても少ない

DPReviewに、先日発表されたニコンの新型機「Z6II」のインプレが掲載されています。

Nikon Z6 II initial review

  • ボディは基本的に旧型と同じで、ハンドリングも変わらない。旧型同様に、グリップは快適で頑丈な造りだ。ダイヤル配置も適切で操作しやすい。
  • Z6II のファインダーのスペックは、2020年現在の水準としては特別優れているわけではないが、カメラはその機能を最大限に活用している(ライバル機には、より高解像度のEVFを低解像度で駆動しているものもある)。
  • 背面のモニタも変更されておらず、解像度は妥当だが、可動機構は上下のチルトだけだ。スチルでは富士フイルムのような3軸チルト、動画ではバリアングルが好みだ。

  • メニューは、過去10年ほどに造られた多くのニコンのカメラと同様で、メニュー項目が非常に密集しているが、カスタム設定セクションは配置が適切で、色分けもされており、操作は容易だ。
  • ユーザーインターフェースの変更点は「i」クイックメニューに「ワイドエリア+顔検出」と、「ワイドエリア+動物検出」が追加されたことだ。
  • Z6IIは、説得力はあるが、それほど大規模なアップデートではないというのが最初の印象だ。これは悪いことではない。このアップデートは競争力の維持を意味しており、少しでも前進することに価値があるが、製品寿命はかなり短くなるかもしれない。

  • 興味深い点は、デュアルプロセッサ化の恩恵が、表面上はとても少ないことだ。デュアルプロセッサの余力は、バッファのクリアレートの顕著な改善と、連写枚数の改善、そして将来の4K60p録画の可能性をもたらしているが、それ以上のものは見られなかった。連写速度は上がっているが、12bitでシングルAFポイント時のみで、これは豊富な処理資源を示しているとは言えない。

  • 全体として、Z6IIや多くの競合機で採用されているIMX410センサーから、もっと多くのものを引き出すのは難しいのではないかと思う。このセンサーが4K60pで読み出せる最大の領域がAPS-Cクロップなので、この部分(4Kのクロップ倍率)で、ニコンにできることはあまりないだろう。しかし、10bitの内部収録と、60pのHDMI出力はこのセンサーでも可能で、パナソニックのS5はこの両方に対応している。

  • 個人的には、ニコンは現行のセンサーでは限界があると判断し、次世代センサーを搭載した将来のモデルに研究開発のリソースを集中させているのではないかと思っている(そのため、画像処理エンジンを新開発せずに、既存のプロセッサを2つ使用した)。これはもちろん推測だ。しかし、動画の改善以外に、ニコンが現行センサーでこれ以上何ができるのかわからない。

  • 操作部のあるバッテリーグリップやデュアルカードスロットの信頼性を本当に必要とする少数のプロとパワーユーザーを除けば、Z6のユーザーがZ6IIにアップグレードする動機は分からないが、これからZマウントに移行する人にとっては、改善されたAFやUSB給電、縦位置グリップ、デュアルカードスロットは魅力的なものになるはずだ。

  • 現在、(このクラスで)Z6IIを超えているのはEOS R6だけだが、このカメラはZ6IIと比べるとかなり高価(Z6IIは約2000ドル、R6は約2500ドル)だ。ニコンがZ6IIの(ファームウェアの)開発を製品寿命が尽きるまで続け、今後、数年にわたって追加されたハードの処理能力の活用方法が増えていくことに期待している。

 

初期のインプレで、まだ厳密なテストはしてない段階だと思いますが、DPReviewのレビュアーはかなり辛口という印象です。デュアルプロセッサ化の効果はとても少ないと述べられていますが、処理能力の向上が、AFや各種操作のキビキビ感の改善などにつながっていないのでしょうか。

それから、処理能力が向上すればノイズリダクションやJPEG画質の向上も期待できそうに思えますが、画質面ではどうなのでしょうかね。