ソニー「α7C」はバリアングルの採用を除けば一歩後退していると感じる

DigitalCameraWorldに、ソニーのコンパクトなフルサイズミラーレス「α7C」のレビューが掲載されています。

Sony A7C review

  • α7Cの最大のニュースはα7IIIとα6600を融合したようなデザインだ。多くの人がこのカメラの小ささを話題にしており、確かにボディはα7IIIよりも小さいが、ソニーのAPS-C機よりも厚くて大きい。
  • α7Cはファインダーが左肩に移動し、モニターがバリングルになり、外側はこれまでのα7シリーズのカメラから根本的に変わっているが、中身はかなり平凡で、センサーはα7IIIと同じで、動画は4K30p 8bitに制限されている。
  • 4K動画はセンサーの全幅から読み出され6Kからオーバーサンプリングされているので、品質は良好だ。

  • AFは高性能で、特にスポーツやアクションの撮影では効果的だ。連写は10コマ/秒と素晴らしく、バッファーも極めて大きい。
  • α7Cはコンパクトに見えるが、それほど小さいカメラではない。実はα7Cが小さく見えるのは、新しい28-60mmのキットレンズのせいだ。
  • α7Cのボディはマグネシウム合金製だが、シルバーの仕上げは見た目も手触りもプラスチッキーだ。

  • フロントグリップにはコントロールダイヤルがない。背面のダイヤルとナビゲーションパッドでカメラをコントールすることになるが、ダイヤルはもう一つあった方がいい。
  • グリップはそれほど大きくはなく、まずますのホールド感だが、これまでのα7シリーズのカメラほど握りやすいとは感じない。
  • メニューは従来のα7シリーズと同じ複雑なレイアウトのものだ。ソニーは、α7S III の新しいメニューを採用するには多くのハードウェアの見直しが必要だと言っている。
  • キットレンズのFE28-60mm F4.5-5.6は隅々までシャープで、性能の良くなかったAPS-C用のパンケーキズームE16-50mmとは対照的だ。しかし、ズーム域が狭いので汎用性は低い。

  • AF性能は素晴らしいもので、スチルでも動画でも素早く静かに合焦する。
  • 手ブレ補正は小さなα7C用に新たに設計されたものだが、それでも最大5段分の効果がある。この手ブレ補正は、立ち止まっての動画の手持ち撮影には適しているが、歩きながらの撮影ではジンバルが必要になる。ソニーの手ブレ補正システムは、微細な動きを抑えるのに優れているが、大きな動きは苦手だ。
  • 動画のスペックに際立ったものはないが、動画の品質はシャープでディテールに富んでおり、AFの応答性も高い。しかし、煩雑なメニューシステムから必要な設定(特に顔認識、瞳認識の設定)を見つけるのに時間がかかった。

  • 解像力テスト:他のソニーのα7シリーズのカメラ同様に、α7Cもディテールの解像には強く、(Z5、S5、EOS RPの3機種のうち)唯一解像力で同レベルだったのはEOS RPだけだ。
  • ダイナミックレンジのテスト:α7CはISO100からISO1600まで一貫してダイナミックレンジは広い。高感度のダイナミックレンジはパナソニックS5に及ばないが、ISO25600を除けば違いはわずかだ。
  • S/N比のテスト:α7C、EOS RP、Z5、S5の4機種でS/N比はほとんど一致しているが、EOS RPはノイズが少なく、ここではα7Cがトップではない。ISO3200以降ではα7Cはライバルよりもわずかにノイズが多くなる。

  • α7Cの性能は良好で、特にラボテストでは優れていたが、いくつかの点では期待はずれだった。α7Cのボディはこれまでのα7シリーズより小さくなったが、性能が悪くなったファインダーを補うのに十分なほど小さくはない。
  • スペックは、特に動画の面では控えめに言っても野心のないものだが、便利なバリアングルモニタや素晴らしいAFなど、カメラとして十分な性能だ。
  • ツートンカラーのボディは他のα7シリーズのような品質感はない。現在、α7Cはα7III よりも高価で、バリアングルモニタの採用を除けば、α7Cは一歩後退しているように感じられる。フルサイズミラーレス市場はこのカメラを必要としているのだろうか?このカメラは安価ではなく、技術的にもそれほど進んでない。

  • 良い点:やや小さいボディ、優れた沈胴式のレンズ、バリアングルモニタ、AF性能。
  • 悪い点:野心の無い動画スペック、魅力のないシルバーとブラックの仕上げ、価格が特に安価ではない。

 

以前に公開されたPhotographyBlogのα7Cのレビューも辛口でしたが、今回のレビューも少々辛口という印象です。

α7Cの一番のウリはデザインやサイズだと思いますが、海外のレビューでは、スペックの部分で一部後退しているのが厳しく捉えられているようですね。このカメラは、国内と海外の評価に少し温度差があるように感じられます。