ソニー「α7C」はコンパクトでブイログ向きだがハンドリング面で妥協がみられる

ePHOTOzine に、ソニーのレンジファインダースタイルのコンパクトなフルサイズカメラ「α7C」のレビューが掲載されています。

Sony Alpha A7C Review

  • このカメラは手ブレ補正内蔵のフルサイズカメラでは世界最小で、FE28-60mmを付けた状態でジャケットのポケットに楽に収まる。
  • ボディはしっかりとした造りに感じる。ソニーは耐候性に優れていると主張しているが、バッテリーカバーやメモリカードスロットのカバーなどに、ゴムのシーリングはされていない。キットレンズFE28-60mmのマウント面には、ゴムのシーリングがある。
  • 背面には2つのコマンドホイールがあるが、フロントとリアにダイヤルを備えたα7 III などのカメラと比較すると、設定変更が少し面倒になることがある。

  • 露出補正ダイヤルがあるのは、α6600と比べると歓迎するべき仕様だが、カメラを取り出すときに誤って回してしまうことがあるので注意が必要だ。
  • モニタは3型92.1万ドットで、ほとんどの競合製品よりも低解像度だ。アスペクト比は4:3で、α6x00シリーズの16:9のモニタよりもスチルに向いている。
  • 235.9万ドットのEVFはクリアで発色は背面モニタと一致しているが、倍率は0.59倍とこの価格帯の他のカメラに比べるとかなり小さい(α7 IIIは0.78倍)。
  • メニューは、タッチパネルで操作できるα7S III の新しいメニューシステムが採用されていないのが残念だ。

  • バッテリーライフは、大型のZバッテリーを採用したおかげで優れている。USB充電やUSB給電も可能だ。
  • サンプル画像では、色再現は良好で肌の発色が好ましいが、曇天の撮影ではホワイトバランスの調整を勧める。露出は非常に正確で、ダイナミックレンジはとても広い。
  • AFは高速だがフォーカスエラーが発生することがあった。顔認識/瞳認識は人間と動物の両方で機能するが、被写体に応じて切り替える必要があり、自動切り替えできないのが残念だ。
  • 1/60秒で撮影した画像が、おそらくシャッターショックのためにブレていることにしばしば気付いたが、幸いなことに、1/60秒で撮影したすべての画像に影響があったわけではなかった。

  • 連写はAF/AF追従10コマ/秒で、JPEGで223枚、圧縮RAWで115枚撮影可能だった。
  • キットレンズのFE28-60mm F4-5.6はあまり寄れず、背景のボケも単焦点ように心地よいものではない。一部の画像で木の枝の周囲に色収差が見られ、画質は画面の隅では甘くなる(特に望遠端)。このズームは広角が狭く望遠も短く(ブイログでは広角端は24mm以下がいいだろう)、好きなレンズではない。ただし、絞ればクリアでディテールに富む画像が得られる。
  • 高感度はISO1600/3200からディテールの喪失が見られ始め、ISO6400でディテールの喪失がより目立つようになる。ISO12800とISO25600では更にディテールが失われるが、ノイズは上手く抑えられていおり、彩度も良好だ。ISO51200ではノイズが更に増えるので、これ以上の感度の使用は避けた方が良い。

  • ホワイトバランスはウォームトーンとホワイトを選択できるが、これはメニューから設定する必要があり、素早く変更できないようだ。白熱灯下で白を真っ白にする場合はプリセットが非常に優れている。蛍光灯下ではオートが良好に機能し、プリセットは少し色がかぶることがある。ミックス光でもオートは良好に機能する。
  • α7Cはコンパクトでモニタが正面を向くので、ブイログに最適だが、ブイログではFE28-60mmよりもワイドのレンズが必要になる場合もある。瞳認識AFは動画でも機能する。動画はディテールが豊富で良好な画質だ。

  • α7Cは小型でバリアングルモニタを備えており、ブイログや動画に関心のある人には有用かもしれない。しかし、使い勝手に関してはフロントダイヤルやデュアルカードスロット、優れたエルゴノミクス、大型のEVFを備えたα7 III の方が優れている。α7S III の新しいメニューを採用していないのも残念だ。
  • コンパクトなフルサイズ機を探している場合は、α7Cとコンパクトな単焦点との組み合わせるのは良い選択だ。EVFやキットレンズにはあまり感心しなかった。α7Cは素晴らしい画質のコンパクトなフルサイズ機で、このようなカメラを求めている人もいるかもしれない。ソニーは確かにそう思っているようだ。

  • 良い点:コンパクトなフルサイズカメラ、非常に良好な画質、優れた高感度ノイズ性能、バリアングルモニタ、高速なAF、ボディ内手ブレ補正、バッテリーライフが優れている。
  • 悪い点:新しいメニューシステムが採用されていない、タッチパネルの機能が限定的、しっくりしないキットレンズ、サイズのためにハンドリングを妥協している、カメラ内RAW現像ができない、小さく心地よくないEVF。

sony_a7c_w28-60_001.jpg

α7Cのレビューは、ePHOTOzineにしては比較的辛口という印象で、他のレビューも含めて海外のレビュワーにはα7Cはあまり受けがよくないようですね。

α7Cは画質やAFなどの性能面での評価は高くなっていますが、小型化にともなうEVFの小型化やダイヤルの省略、ズーム域の狭いキットレンズなど、使い勝手の面でマイナス評価されているようで、全体的な評価は今ひとつという感じです。